表紙 世田谷区無電柱化推進計画中間見直し素案 令和6年4月 はじめに 世田谷区内には、多くの電力通信需要に対応するため53755本の電柱(令和4年度末現在)が林立するとともに、それらを結ぶ電線類が輻輳し、住宅都市としての美しい景観を損ねています。また、歩道に立ち並ぶ電柱は、歩行者、ベビーカーや車いす利用者の通行の妨げとなっており、さらに災害時には、電柱の倒壊による道路の閉塞や電線の切断により、避難行動、救急活動、物資の輸送等に支障をきたすとともに、電力 通信サービスの安定供給も妨げられます。 そうしたことから、世田谷区は、令和元年6月に世田谷区無電柱化推進計画を策定し、無電柱化を一層推進していくことで、区民が安全で、安心した生活ができる道路環境の整備と、電柱 電線のない美しい街並みをとりもどすことによって、世田谷区の魅力向上に取り組んできました。 このたび、策定から5年が経過することから、同計画の中間見直しを行いました。今後は、世田谷区無電柱化推進計画中間見直しに基づき、着実に無電柱化を推進していきます。 目次 1推進計画の趣旨 1.1推進計画中間見直し策定の背景 1ページ 1.2計画の目的と位置付け 2ページ 1.3計画の期間 3ページ 2無電柱化の現状と課題 4ページ 2.1無電柱化の目的 4ページ 2.2無電柱化の現状 6ページ 2.3無電柱化の課題 10ページ 2.4中間見直しの方向性 13ページ 3無電柱化を推進するための方針 14ページ 3.1無電柱化整備の基本的な考え方 14ページ 3.2重点的に整備する路線 17ページ 3.3区道の無電柱化方式 18ページ 4無電柱化を推進する計画路線 19ページ 4.1計画路線選定の考え方 19ページ 4.2計画路線 20ページ 5無電柱化を推進する施策 23ページ 5.1多様な整備手法の活用 23ページ 5.2国や都の支援制度の活用 23ページ 5.3道路工事等調整会議の活用 ページ24 5.4推進体制の強化 24ページ 5.5電柱を増やさない取組み 24ページ 5.6区民の理解と関心の向上 24ページ 1ページ目 1.推進計画の趣旨 1.1推進計画中間見直し策定の背景 世田谷区(以下、区という。)は、電線共同溝の整備等に関する特別措置法(平成7年3月23日法律第39号 以下、電線共同溝法という。)に基づき、平成8年に初めて電線類地中化整備計画を策定してからこれまでの間、関係法令および国や東京都(以下、都という。)の方針や推進計画を踏まえて、整備計画を4回更新して、計画的に無電柱化整備を進めてきました。 平成28年には、無電柱化の推進に関する法律(平成28年12月16日法律第112号 以下、無電柱化法という。)が施行され、国においては、平成30年4月に初の法定計画となる無電柱化推進計画が策定され、無電柱化施策の基本方針や目標が示されました。また、都では平成29年に、東京都無電柱化推進条例が施行され、平成30年3月には、条例に基づく東京都無電柱化計画が策定されました。 これらを踏まえ、区においても無電柱化法第8条第2項に基づき、世田谷区無電柱化推進計画(以下、当初計画という。)を令和元年6月に策定しました。当初計画策定後、5年が経過することから、国、都及び区の動向や無電柱化の進捗状況などを踏まえ、当初計画の中間見直しを行い、世田谷区無電柱化推進計画中間見直し(以下、本計画という。)を策定します。 国、都、区の動向 国 平成31年2月 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく特定道路の追加指定 特定道路とは生活関連経路を構成する道路法による道路のうち、多数の高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われる道路。国土交通大臣が指定。 国 令和3年5月  無電柱化推進計画改定 都 令和3年6月  東京都無電柱化計画改定 区 令和5年7月  世田谷区移動等円滑化促進方針の策定 区 令和6年   (仮)世田谷区基本計画の策定 2ページ目 1.2計画の目的と位置付け (1)目的 本計画は、区道における無電柱化の更なる推進に向けて方針を定めるとともに、計画路線の選定や推進するための施策を定め、区民及び関係事業者の理解と協力を得ながら、計画的かつ効率的に事業を進めていくために策定するものです。 (2)位置付け 本計画は、無電柱化法第8条第2項に基づく、区における無電柱化の推進に関する施策についての計画であり、世田谷区基本構想を具体化するための世田谷区都市整備方針等に即し、世田谷区基本計画(以下、基本計画という。)や関連するその他の計画と整合・連携を図ります。また、世田谷区無電柱化整備4ヵ年計画は、本計画に基づき無電柱化に取り組む路線の個別実施計画(工事着手を目指す路線及び継続工事の路線)となります。 図1.1 本計画の位置づけの図があります。 3ページ目 1.3計画の期間 本計画の計画期間は、基本計画と整合を図り令和9年度までとし、基本計画の中間見直しを行う時期に合わせ、本計画の改定を行います。また、無電柱化に関する国や都の動向、社会情勢の変化等にあわせて、適宜見直しを行ないます。 図1.2 計画の期間の図があります。 4ページ目 2無電柱化の現状と課題 2.1無電柱化の目的 (1)都市防災機能の強化 災害時に電柱の倒壊による道路閉塞を防ぐとともに電線類の被災を軽減し、 電気や電話などのライフラインの安定供給を確保します。 (2)安全で快適な歩行空間の確保 歩道内の電柱をなくし、歩行者はもちろん、ベビーカーや車いす利用者も移動しやすい歩行空間を確保します。 (3)良好な都市景観の創出 視線をさえぎる電柱をなくし、都市景観の向上を図ります。 5ページ目 参考資料として地中線の地震に対する防災性能についての表があります。 6ページ目 2.2無電柱化の現状 (1)これまでの電線類地中化整備計画 区は、平成8年に電線類地中化整備計画を策定し、その後も概ね5年毎に計画を4回更新してきました。また、令和元年には無電柱化法に基づく無電柱化推進計画を策定し、無電柱化を推進してきました。 表2.1これまでの整備計画 表の項目は、計画名 期間 の順番です。 世田谷区電線類地中化整備4ヵ年計画 平成8年度から平成11年度 世田谷区電線類地中化整備6ヵ年計画 平成12年度から平成17年度 世田谷区電線類地中化整備5ヵ年計画 平成16年度から平成20年度 世田谷区電線類地中化整備5ヵ年計画 平成21年度から平成25年度 世田谷区電線類地中化整備5ヵ年計画 平成26年度から平成30年度 世田谷区無電柱化推進計画 令和元年度から令和10年度 世田谷区無電柱化整備5ヵ年計画 令和元年度から令和5年度 (2)これまでの実績 区内では、平成8年度までは、駅周辺や商店街、公園をはじめとする公共施設周辺において、電線管理者による単独地中化が行われてきました。そして区は、平成8年度に初めて「電線類地中化整備計画」を策定した以後、電線共同溝整備を計画的に進めた結果、区が管理する特別区道(以下「区道」という。)における無電柱化の整備済道路延長は、令和5年3月の時点において約13.3kmであり、このうち緊急輸送道路の整備済道路延長は約0.8kmとなっています。また、5ヵ年計画路線(令和元年度から令和5年度)の無電柱化着手率(5ヵ年計画路線における無電柱化済又は無電柱化工事に着手済延長の割合)は34%(約1.4km)となっています。 表2.2無電柱化整備率の比較(近隣自治体) 表の項目は、自治体名 道路管理延長 整備済道路延長 整備率 備考 の順番です。 世田谷区 約1095km 約13.3km 約1.2% 整備済道路延長は電線共同溝本体工事整備済路線です。 杉並区 約622km 約6km 約1.0% 平成29年11月杉並区無電柱化推進方針 中野区 約340km 約3km 約0.9% 令和元年11月中野区無電柱化推進計画 目黒区 約350km 約5km 約1.4% 令和2年8月目黒区無電柱化推進計画 大田区 約777km 約13.5km 約1.7% 令和3年3月大田区無電柱化推進計画 港区 約219km 約56km 約25% 令和4年3月港区無電柱化推進計画 7ページ目 図2.1 区道の無電柱化実績の年度別の表があります。 図2.2 区道の無電柱化実績累積の表があります。 8ページ目 図2.3無電柱化済路線図があります。 9ページ目 (3)区道の電柱総数 令和4年度末現在、区道に設置されている電柱の総数は、53755本(NTT東日本柱20707本、東京電力柱33048本)となっており、これらの電柱は、電線管理者によって管理されています。 図2.4区道の電柱総数に推移の図があります。 10ページ目 2.3無電柱化の課題 (1)地上機器の設置場所と電線埋設位置の確保 無電柱化では、既に上下水道管やガス管などが埋設されている道路地下空間に、新たに電力線や通信線などの電線類を埋設する必要がありますが、区道は、幅員8m未満の生活道路が大半を占めており、その多くは電線類の収容場所である歩道が狭い又は歩道が無い道路であることから、地上機器の設置場所と電線埋設位置の確保が困難となっています。当初計画では、歩道が無い既存道路も計画路線に選定し検討を進めていますが、地上機器の空間確保などの課題があり、実施までには至っておりません。このため、地上機器については、道路区域内での設置に留まらず、地上機器を支持柱に添架するソフト地中化方式の導入、道路区域外での地上機器の設置も検討する必要があります。 生活道路について 本計画では、区民生活に一番身近な地先道路のことをいいます。ソフト地中化方式について 地上機器を道路上に設置できない道路において、変圧器等を支柱上に設置する地中化方式です。 (2)事業期間の短縮 無電柱化は、設計段階から水道、ガスなど多数の企業者との調整が必要になることに加え、支障となる埋設物の移設、電力・通信の供給工事等に段階的に取り組むなど、完成まで長期に渡る事業となります。一般的に道路延長約400mの無電柱化を実施するためには、約7年間と長い期間を要するとされています。このため、採用する工法や現地の状況によっては、沿道の土地利用などの関係者の協力が不可欠になることや、工期の短縮に向けた検討を進めていく必要があります。 図2.5無電柱化の標準的なスケジュールの表があります。 11ページ目 (3)無電柱化にかかる多額の費用の低減 現在、無電柱化工法の主流となっている電線共同溝方式の整備には、多額の費用がかかり、電線共同溝施設の延長(以下、施設延長という。)1km当たりで道路管理者が負担する特殊部や管路の整備に3.5億円、このほかに電線管理者(電気 通信事業者)が地上機器や入線を行う費用として1.8億円がかかります。全体コストは施設延長1km当たり5.3億円かかります。道路管理者及び電線管理者の負担が大きく、無電柱化が進まない要因の一つとなっています。 施設延長とは、電線共同溝施設の実延長をいい、道路の両側歩道に整備する場合には概ね道路延長の2倍となります。 全体コストは、平成26年国土交通省調べとなります。 図2.6電線共同溝施設イメージと整備に係る費用負担の図があります。 12ページ目 このため、国及び都の補助制度を積極的に活用しながら、更なる低コスト手法の採用を検討する必要があります。そこで、当初計画では、都の無電柱化チャレンジ支援事業制度を活用して、無電柱化チャレンジ事業の認定を受け、整備に向けた調査設計を進めている路線もあります。 無電柱化チャレンジ支援事業制度は平成29年4月1日より施行されている、都内の市区町村が実施する無電柱化事業(推進計画等の作成、チャレンジ路線の検討、チャレンジ事業)に対し、都か行う支援制度です。 都内の区市町村が実施する無電柱化事業(推進計画等の策定、チャレンジ路線の検討、チャレンジ事業)に対し、都が行う支援制度。 無電柱化チャレンジ事業とは、次に掲げる要件のいずれかに該当する路線において、低コスト手法を導入した新たな技術等を用いた技術検討などを行い、令和6年3月31日までにチャレンジ事業の認定を受けた場合は、都から財政支援、技術支援を受けることができる。 原則、歩道幅員が2.5m未満、または歩道がない区間があるなど、道路上に地上機器を設置することが困難な路線であること。 現道で無電柱化に新たに取組む区市町村が、無電柱化事業を行う路線であること。 13ページ目 2.4中間見直しの方向性 (1)国の動向 国は、令和3年に無電柱化推進計画を改定し、電柱倒壊リスクがある市街地等の緊急輸送道路の無電柱化着手率を38%(令和元年度末)から52%(令和7年度末)へ、特定道路における無電柱化着手率を31%(令和元年度末)から38%(令和7年度末)にするなどの目標を定め、新たに4000kmの無電柱化に取組むとしています。また、緊急輸送道路の電柱を減少させるなど、新設電柱を増やさないことを取組姿勢として挙げています。 (2)都の動向 都は、令和3年に東京都無電柱化計画を改定し、第1次緊急輸送道路の無電柱化について、2035(令和17)年度の完了を目指す整備目標を定めるなど、これまでの年間当たりの整備規模を倍増させ、スピードアップを図っていくとしています。また、区市町村道への支援強化、まちづくりにおける無電柱化の面的展開、区市町村への電柱の新設禁止の普及などを挙げています。 (3)中間見直しの方向性 国、都及び区の動向や無電柱化の進捗状況などを踏まえ、中間見直しの方向性を以下に示します。 本計画の計画期間は、基本計画の計画期間と整合を図ります。 国及び都の動向を踏まえ、緊急輸送道路や特定道路の無電柱化を重点的に進めます。 重点的に整備する路線を中心に無電柱化の必要性が高い路線を選定し、舗装更新と同時施工による効率化、面的整備事業との連動などを踏まえ、優先的に整備していく計画路線を新たに追加します。 無電柱化の更なる推進に向け、多様な整備手法の活用や新たな電柱を増やさない取組みなど、無電柱化を推進するための取組みを進めます。 14ページ目 3無電柱化を推進するための方針 3.1無電柱化整備の基本的な考え方 近年の無電柱化への期待感から、無電柱化の必要性はますます高まっており、これまで以上に整備を推進していくことが求められます。一方で、インフラ整備に係る財政負担等の増大を踏まえると、費用対効果の観点から効率的かつ効果的に事業を推進することが重要であり、無電柱化の必要性の高い路線から優先的に無電柱化を図っていく必要があります。そこで、本計画期間における無電柱化整備にあたっては、以下の各項目に示す基本的な考え方に沿って進めます。 (1)都市計画道路主要生活道路等 都市計画道路や主要生活道路の新設又は拡幅整備を実施する路線(区施行)は、原則として道路工事と同時に無電柱化整備を実施します。また、事業中の都市計画道路等と無電柱化未整備である完成済み都市計画道路等が接続する場合は、無電柱化の連続性が確保できるよう検討します。地先道路(表3.1参照)の新設又は拡幅整備を実施する路線(区施行)は、緊急輸送道路、特定道路、駅前広場に位置付けのある場合、地上機器の設置場所の確保など技術的な課題を解決できる路線について無電柱化整備にて道路上の電柱又は電線の設置及び管理を行う事業者を検討します。また、位置付けのない場合は、道路上の電柱又は電線の設置及び管理を行う事業者へ新設電柱の抑制を要請します。 (2)既存道路 既存道路においては、都市防災機能の強化など無電柱化の3つの目的を踏まえて、必要性の高い路線から優先的に整備を進めます。なお、道路幅員の狭い道路では、工事に伴う長期間の交通規制や地上機器の設置場所の確保が必要になるなど多くの課題があるため、整備の実現性も考慮します。 @都市防災機能の強化に資する路線や電柱倒壊による社会的影響が大きい緊急輸送道路などにおいて、大規模災害時の道路閉塞を未然に防ぎ、救急救命・復旧活動に必要な交通機能を確保するなど、防災に寄与する路線について無電柱化を検討します。 15ページ目 A安全で快適な歩行空間の確保に資する路線 高齢者や障害者等はもちろん、歩行者の誰もが安全で快適な歩行空間を確保するために、利用者の多い駅と公共施設や福祉施設を結ぶ道路など、効果の高い路線について、無電柱化を検討します。 B良好な都市景観の創出に資する路線 世田谷の風景づくりを地域とともに推進するために、視線をさえぎる電柱や電線をなくすことにより、良好な都市景観を創出できる路線について、無電柱化を検討します。 (3)面的整備事業等により整備する道路 土地区画整理事業市街地再開発事業や住宅団地の建替え等の面的整備事業が実施される場合には、事業者に区域内の無電柱化を働きかけるとともに、周辺区道の無電柱化を推進します。 16ページ目 表3.1世田谷区における道路の分類の表があります。せたがや道づくりプラン20ページ目より 17ページ目 3.2重点的に整備する路線 当初計画に掲げる計画路線の着実な整備を進めるとともに、国及び都の動向を踏まえ、重点的に無電柱化整備する路線を定めます。 (1)緊急輸送道路 近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、また、首都直下型地震などの大規模地震の発生も切迫しています。このため、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等による電柱倒壊対策として、緊急輸送道路(重要物流道路と補完路含む)の無電柱化整備を重点的に進めます。本計画における緊急輸送道路の整備目標を以下に示します。 整備目標 令和9年度末時点で緊急輸送道路の無電柱化着手率29% 令和15年度末時点で緊急輸送道路の無電柱化着手率50% 緊急輸送道路とは、東京都地域防災計画に定める、高速自動車国道、一般国道及びこれらを連絡する幹線的な道路並びにこれらの道路と知事が指定する拠点(指定拠点)とを連絡し、又は指定拠点を相互に連絡する道路です。 無電柱化着手率とは、緊急輸送道路における無電柱化済又は無電柱化工事に着手済延長の割合です。令和6年3月現在は22%。 重要物流道路とは、全国的な貨物輸送網の形成を図るため、貨物積載車両の能率的な運行の確保を図ることが特に重要と認められる道路。国土交通大臣が指定。 補完路とは、重要物流道路と災害時拠点(備蓄基地や総合病院等)を結ぶ道路。国土交通大臣が指定。緊急輸送道路と重複。 図3.1重要物流補完路のイメージ図があります。 18ページ目 (2)特定道路 誰もが安全で安心して社会参加するために、高齢者や障害者等はもちろん、歩行者の誰もが安心して円滑に移動できるユニバーサルデザインによる歩行空間の整備が急務となっていることを踏まえ、特定道路の無電柱化整備を進めます。 特定道路とは、生活関連経路を構成する道路法による道路のうち、多数の高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われる道路。国土交通大臣が指定。 3.3区道の無電柱化方式 区道における無電柱化は、電線共同溝方式を基本として整備を推進します。電線共同溝とは、電線共同溝法に基づき、道路管理者が電線共同溝を整備し、電線管理者が電線及び地上機器等を整備する方式のことです。 図3.2電線共同溝のイメージ図があります。 19ページ目 4無電柱化を推進する計画路線 4.1計画路線選定の考え方 無電柱化を推進する路線は、3.1無電柱化整備の基本的な考え方及び3.2重点的に整備する路線に基づき、以下に示す考え方で選定します。なお、当初計画で選定した路線は、引き続き計画路線とします。 都市計画道路・主要生活道路 事業中の路線及びせたがや道づくりプランに基づく優先整備路線の全てを選定します。 既存道路 無電柱化の3つの目的である都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出に資する路線の中から、以下の評価項目に基づき、整備の実現性や計画路線全体の財政規模などを踏まえ、総合的に評価して選定します。なお、重点的に整備する路線(緊急輸送道路、特定道路)を重点評価するとともに、舗装更新計画に位置付けのある路線は、同時施工による効率化が図れるため、評価に加えます。 都市防災機能の強化の評価項目は、重要物流道路補完路(緊急輸送道路)、緊急輸送道路、世田谷区緊急輸送道路障害物除去路線など 安全で快適な歩行空間の確保の評価項目は、特定道路、移動等円滑化促進地区の生活関連経路、駅、主要公共施設、商店街など利用者の多い施設が集積する駅を中心とした半径500m圏内の道路。 良好な都市景観の創出の評価項目は、地域風景資産やせたがや百景に面するなど、地域とともに風景づくりや良好な景観形成を推進している路線 面的整備事業等により整備する道路 面的整備事業の機会を捉えて、整備する路線を選定します。 移動等円滑化促進地区 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき、移動等円滑化を促進することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区を促進地区として区が定める。 生活関連経路 生活関連施設を結ぶ経路のうち、高齢者、障害者等が、日常生活において利用する経路。 生活関連施設 駅や官公庁施設、福祉施設、商業施設などのうち、高齢者、障害者等が、日常生活において多く利用する施設。 20ページ目 4.2計画路線 4.1計画路線選定の考え方に基づき選定した計画路線は、以下のとおりです。詳細については、表4.1 計画路線一覧表及び図4.1 計画路線図に示します。 都市計画道路と主要生活道路 32路線 約10.4km 既存道路 11路線 約3.6km 面的整備事業等により整備する道路 2路線 約0.5km 合計45路線 約14.5km うち追加路線 6路線 約2.2km うち整備済路線 4路線 約0.4km なお、今回選定した路線以外についても、以下の場合等には、適宜、周辺の区道を計画路線に位置付けることがあります。再開発等の面的整備、大規模団地の建替え、大規模な開発など街づくりが具体化した場合。周辺道路や前後区間の道路事業の進捗状況により、無電柱化を実施する必要が生じた場合。     21ページ目 表4.1計画路線一覧表があります。 22ページ目 図4.1計画路線図があります。 23ページ目 5無電柱化を推進する施策 5.1多様な整備手法の活用 現在、無電柱化の手法として最も採用されている電線共同溝方式の従来工法は、歩道幅員が狭い道路や歩道のない道路では困難である場合が多く、多額の費用を要することから、今後、多様な整備手法の活用や一層の低コスト化が必要となります。このため、従来工法を基本としつつも、道路構造や沿道環境、埋設物の状況などの現地状況を踏まえ、既存ストック活用工法、小型BOX活用工法、ソフト地中化方式などとの比較検討を行い、コスト縮減や工事期間の短縮などに効果的な手法を採用していきます。また、道路区域内に地上機器を設置できる場所がない路線については、公有地など道路区域外の設置場所を検討します。また、新技術情報提供システム(NETIS)の活用や都の技術開発の動向を注視しながら、新技術の活用を検討します。 既存ストック活用工とは、既に占用埋設されている電力設備、通信設備(管路・マンホール・ハンドホール)を活用した地中化方式です。 小型BOX活用工法とは、管路の代わりに小型化したBOX内に複数のケーブルを収容し埋設する方式です。  ソフト地中化方式とは、地上機器を道路上に設置できない道路において、変圧器等を支柱上に設置する地中化方式です。 5.2国や都の支援制度の活用 無電柱化には多額の費用がかかることから、国では自治体に対し、無電柱化推進計画事業補助制度(個別補助制度)や社会資本整備総合交付金による財政支援を行なっています。また、都では、区市町村が実施する無電柱化事業に対する財政支援(通常補助、防災に寄与する路線、チャレンジ支援事業)を行うとともに、東京都電線共同溝整備マニュアルの整備や実物大モデルを活用した技術研修会を開催するなど技術支援を行っています。区では、こうした国や都の補助制度を活用することで財源確保を図るとともに、技術支援を活用することで、積極的に事業に取組みます。 24ページ目 5.3道路工事等調整会議の活用 無電柱化の実施に際しては、区が主催する道路工事等調整会議を活用し、上下水道管やガス管などの埋設企業者や電線管理者との情報共有や工事調整等を行い、支障移設工事や電線・電柱の撤去を含めた工事全体の期間短縮などを図ります。 5.4推進体制の強化 無電柱化の拡大と加速化に向け、状況に応じて、電線管理者の既存ストックを活用する場合の事業委託や、事業量の増加に対応するため電線共同溝の整備実績を有する団体への事業委託を検討します。また、事業のスピードアップと事業期間の短縮を目的に、設計、支障移転、本体工事、引込管工事、事業調整の包括発注等の仕組みについて、国の動向を踏まえ検討します。また、区関係所管課や各種事業者との連携を図るとともに、調査・設計や工事にあたっては、執行体制の強化や効率化を図っていきます。 5.5電柱を増やさない取組み 地震等の災害が発生した場合において、道路上に設置された電柱が倒壊するなどにより、緊急車両等の通行や地域住民等の避難に支障をきたすようなことはできる限り避けなければなりません。このため、道路法第37条第1項の規定に基づき、緊急輸送道路や緊急輸送道路と各総合支所を結ぶ世田谷区緊急輸送道路障害物除去路線などについて、新設電柱の占用を制限します。また、無電柱化法第12条による新設電柱の抑制を図るため、道路事業や市街地開発事業等の実施に際し、技術上困難と認められる場合を除き、施行者、開発事業者、関係事業者等に無電柱化の検討を要請します。 5.6 区民の理解と関心の向上 無電柱化を推進していくためには、区民の理解と関心を深めることが重要です。このため、広報や啓発活動の充実を図り、無電柱化の意義や効果をPRします。事業着手にあたっては、沿道の方々への事業に関するチラシ配布や、現地での工事広報看板の設置などを行い、事業内容を広く周知します。また、工事中においては、各種問い合わせへの対応なども丁寧に実施します。