表紙 世田谷区本庁舎等における区民利用・交流拠点施設運営実施計画(素案) 令和5年9月 世田谷区 次ページ 目次 第1章 計画の背景 1 計画策定の趣旨 1ページ 2 区民利用・交流拠点施設について 2ページ (1)施設構成及び開設スケジュール 2ページ (2)施設図面 3ページ 3 計画の体系 5ページ 4 計画期間 5ページ 第2章 運営基本計画の概要 6ページ 1 基本理念 6ページ 2 基本方針 7ページ (1)多様な人々の交流を生み出す場をつくる 7ページ (2)文化・芸術によって暮らしを豊かにする 7ページ (3)みどりで多様な主体をつなぎ、心潤う環境をつくる 7ページ 3 実現に向けた取組み 8ページ (1)区民、市民活動団体及び区等が協働し、地域と連携する一体的な運営組織をつくる 8ページ (2)交流・共生を生み出す「つなぎ役」を設置する 8ページ (3)区民が主体的に関わる事業を実施する 8ページ (4)誰もが使える、憩える空間をつくる 8ページ (5)地域と連携した事業を実施する 8ページ 第3章 運営実施計画 1 事業・活動計画 9ページ (1)基本的な考え方 9ページ (2)事業概要 9ページ (3)全体調整 15ページ (4)運営(利用可能)日・時間、利用手続き等 16ページ 2 組織運営計画 18ページ (1)事業・活動計画を実現し、持続する組織のあり方 18ページ (2)本庁舎等整備2期工事竣工までの運営方法について 19ページ 3 収支計画 20ページ 第4章 全体開設に向けて 1 今後のスケジュール 21ページ 参考 素案作成までの検討経過 22ページ 1ページ 第1章 計画の背景 1 計画策定の趣旨  世田谷区では、新しい本庁舎等において、区内の様々な地域から訪れる区民がふれあい、交流できる場所として、世田谷区民会館、区民交流スペース、広場、屋上庭園等、多様な区民利用・交流拠点施設の整備を進めています。  機能の異なる各区民利用・交流拠点施設を総合的、効果的かつ効率的に運営するため、令和4年度に検討した成果をもとに「世田谷区本庁舎等における区民利用・交流拠点施設運営基本計画(以下、「運営基本計画」という。)」を策定しました。運営基本計画をもとに、区民利用・交流拠点施設の運営の細目を定めるため、このたび「世田谷区本庁舎等における区民利用・交流拠点施設運営実施計画(以下、「運営実施計画」という。)を策定するものです。  区民利用・交流拠点施設は、本庁舎等の整備に伴い段階的に開設していきます。区民交流スペース、広場等が開設する令和7年度以降を本格的な運営開始時期と定め、準備を確実に進めるとともに、その後も必要に応じて運営実施計画の見直しを図りながら、運営基本計画に定めた基本理念の実現に努めます。 2ページ 2 区民利用・交流拠点施設について (1)施設構成及び開設スケジュール  区民利用・交流拠点施設は、本庁舎と同じ敷地内に整備されます。 区民利用・交流拠点施設には、これまで長く区民の文化活動等に寄与してきた「世田谷区民会館」のホールや集会室、区民の様々な集まりやイベントの場であった「広場」が再整備されるとともに、「区民交流スペース」「区民交流室」「練習室」「屋上庭園」など、区民交流のための新たな施設が追加されています。  本庁舎等整備は、現庁舎・世田谷区民会館・広場 を段階的に解体し、三期に分けて建て替えや改修を行っていくことから、 区民利用・交流拠点施設の開設が3回に分かれています。 主な施設構成及び開設スケジュールは次のとおりです。 令和6年度(2024年度)以降開設 ・世田谷区民会館ホール 933席(前舞台使用時:900席) ・世田谷区民会館集会室(2室) 170㎡/105㎡ ・世田谷区民会館練習室(2室) 75㎡/40㎡ ・東1期棟エントランスホール 280㎡+80㎡ ・東1期棟ラウンジ 150㎡ 令和7年度(2025年度)以降開設 ・東2期棟区民交流スペース 580㎡ ・東2期棟区民交流室(2室) 各25㎡ ・東2期棟ピロティ 670㎡ ・東2期棟屋上庭園 1,200㎡ ・西2期棟区民交流室(2室) 30㎡/35㎡ ・外構広場 1,600㎡ 令和9年度(2027年度)以降開設 ・西3期棟区民交流室(キッチンつき) 60㎡ 5㎡単位で記載。 工事調整によって変更になる可能性があります。 3ページ (2)施設図面 全体図 1階平面図及び地下1階平面図 4ページ 2階平面図 6階屋上庭園(東棟)平面図 5ページ 3 計画の体系  令和5年6月には、区民利用・交流拠点施設の根幹となる「基本理念」、「基本方針」、「実現に向けた取組み」を中心とした大きな方針を記載した運営基本計画を策定しました。運営実施計画では、この運営基本計画を踏まえた上で、より具体的・実際的な区民利用・交流拠点施設の運営に関しての検討を進め、事業・活動、組織運営に係る計画をまとめています。 【計画における構成図:「運営基本計画」+「運営実施計画」】 4 計画期間  運営実施計画は、令和6年度を始期とします。全体の運営の取組みについては令和7年度以降からとし、開設前の広報、プレイベント等については計画始期より進めるものとします。 【施設竣工時期、運営基本計画、運営実施計画スケジュール】 計画開始後は、検討状況や運営状況により、必要に応じて計画内容を見直すこととする。 6ページ 第2章 運営基本計画の概要  運営基本計画では、本庁舎等整備の基本方針の一つである「区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎」を実現するために、基本理念、基本方針、実現に向けた取組みをまとめました。 1 基本理念 区民、市民活動団体及び区が協働して、 多様な人々がともに支えあい、交流し、 心豊かな住みやすい暮らしを実現する  平成28年(2016年)12月策定の世田谷区本庁舎等整備基本構想に基本的方針の一つとして掲げた「区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎」。この方針に基づいて設計された新庁舎は、特にエントランス部分に位置する大規模な区民交流スペースについて、設計段階の検討会では、淡水と海水が交じり合い、多様な生物が共生し合う「汽水域」のように、人々の共生の場になり、ここで生まれる新しい関係が社会課題の解決に取り組む体制となることを将来像としました。  この提案を受けて、区民交流スペースや、世田谷区民会館、広場、屋上庭園等も含めた区民利用・交流拠点施設を舞台とし、さまざまな区民、市民活動団体及び区が協働して相互に影響を与え合いながら、多様な人々、一人ひとりが新たな縁を生み出し、交流して、心豊かな住みやすい暮らしを実現することをめざします。 【基本理念+基本方針+実現に向けた取組みの体系図】 7ページ 2 基本方針 (1)多様な人々の交流を生み出す場をつくる ・誰でも日常的に訪れることができる空間や事業を提供する。 ・区民や市民活動団体が運営に関わり、区民利用・交流拠点施設を積極的に利用して活動することで、区民自治に向けた共生・共助を生み出す。 ・区が市民活動団体、地域活動団体、教育機関、事業者等と協働・連携した取組みを実施する。 (2)文化・芸術によって暮らしを豊かにする ・全区的な文化・芸術の拠点として位置づける世田谷区民会館において、区民の誰もが暮らしの中で、多様な文化・芸術にふれ、体験・参加できる機会を提供する。 ・区民、市民活動団体及び区等の文化・芸術の取組みを推進し、心豊かな活力あるコミュニティの形成につなげる。 ・世田谷の歴史や文化・芸術の特色を活用し、地域の魅力向上に寄与する。 (3)みどりで多様な主体をつなぎ、心潤う環境をつくる ・「世田谷みどり33」をめざした「区役所一帯のみどりの拠点」として、魅力ある緑化空間づくりと拡大に取り組み、みどり豊かで住みやすい「世田谷らしさ」のある風景の創出によって、みどりの量と質を高めることに貢献する。 ・多様な人々がみどりを通して環境と調和する場をともに創り上げ、その多面的機能や価値を共有し、すべての持続可能性の基層である「環境」にかかる負荷を低減させるための意識を醸成する。 8ページ 3 実現に向けた取組み  基本理念を達成するためには、「多様な人々が訪れ、交流する場をつくる」取組みが求められます。この取組みを実現するためには、子どもから若者・高齢者や、障害者、外国人等、区民の誰もが関わりやすい仕組みの中で、一緒に時間を共有して、試行を重ねながら、組織や人を育み、進めていくことが必要です。 (1)区民、市民活動団体及び区等が協働し、地域と連携する一体的な運営組織をつくる ・区民、市民活動団体及び区等が運営に参画し、地域と連携する組織を構築し、区民利用・交流拠点施設で実施する事業や活動に横断的に関わる。 ・区民利用・交流拠点施設全体への区民参画のあり方と併せて、緑化空間をコモンのように共同管理することについて検討し、試行する。 (2)交流・共生を生み出す「つなぎ役」を設置する ・地域の課題やニーズに応じ、区民、市民活動団体及び区とのマッチング・交流など様々な案内や相談対応などを行う機能を試行する。 ・区民交流スペース等で、利用者同士が顔見知りになり、つながるためのつなぎ手としての役割を担うこともめざす。 (3)区民が主体的に関わる事業を実施する ・市民活動の持続的発展のため、新たに活動に参加する区民を増やすための普及事業を実施する。 ・誰もが参画・協働できる文化・芸術環境を整備していくために、区民参加の文化事業やワークショップ等を開催する。 ・みどりを楽しむことが区民にとって習慣づけられ、地域におけるみどりの役割を大切にする活動が区民に浸透するよう、「見て、楽しむ」だけでなく、「育み、活かす」事業の推進と定着を図る。 (4)誰もが使える、憩える空間をつくる ・区民が気軽に立ち寄れる、思い思いの時間を過ごせる居場所となるような空間づくりを実施する。 ・区民同士や区民と区などのミーティング、学習や研修、ワークショップなど、多様な体験や新しい経験ができる場を提供する。 ・イベントや展示などを通して、市民活動団体等との協働や文化・芸術の創造性などから生み出される様々な価値により、活力ある賑わいづくりの場としてのイメージを創出する。 (5)地域と連携した事業を実施する ・商店街、教育機関、図書館、公園緑地など、施設周辺地域の人的・文化資源と連携した地域の価値を高める事業を実施する。 9ページ 第3章 運営実施計画 1 事業・活動計画 (1)基本的な考え方  運営基本計画に定めた基本方針及び実現に向けた取組みを達成するため、本施設を団体等に貸し出すだけではない事業展開により、協働を促進させます。「活動を促す学びや出会いの機会を創出し、多くの区民の施設利用につなげる」、「施設で出会った利用団体、利用者及び区の協働を促す」、「施設利用を契機に運営への積極的参画を働きかける」など、本施設の活用を通じ、交流や協働が促進され、多くの区民の地域活動へとつながり、基本理念である「区民や市民活動団体と区が協働して、多様な人々がともに支えあい、交流し、心豊かな住みやすい暮らしを実現する」ことを目指します。 (2)事業概要  運営基本計画に定めた基本方針に基づき、3つの観点から事業を組み立てることとします。事業実施にあたっては、同じく運営基本計画に定めた実現に向けた取組みを反映させながら、その実践を通じ、徐々に規模拡大や充実、深化を図るものとします。  なお、本施設の維持管理については、舞台設備等一部を除き、本庁舎の総合管理業務に含まれています。 ①区民活動・交流事業  基本方針1「多様な人々の交流を生み出す場をつくる」の実現に向け、これまでの検討で積み上げた施設利用イメージをもとに、次のような事業に取り組みます。 10ページ 【施設利用イメージ】 これまでの検討結果からの利用イメージ ・区民利用・交流拠点施設全体が交流の舞台になる。 ・本庁舎等に訪れた人が、色々な場所で思い思いの時間を過ごすことができ、エリアの性質ごとに様々な使われ方が想定される。 事業概要 【事業目的・分類】 市民活動団体の活動や展示の場を提供し、可視化する事業 【事業内容】 普段触れることのない市民活動を、区役所のエントランスと融合する区民交流スペースを中心としたガラス張りの施設で実践、展示することにより、区役所を訪れた多くの区民に知ってもらい、交流や参加、自らの活動につなげる。 【事業目的・分類】 市民活動に関する情報収集・発信事業 【事業内容】 多様な市民活動を発掘し、普及や交流につなげるため、区民や団体、区が持つ関連情報を、SNSまた紙媒体、口コミなども活用して収集し、当事者の意向も確認しながら積極的に発信する。 【事業目的・分類】 市民活動団体の活動、交流を促進し、持続性を高める事業 【事業内容】 交流のつなぎ手となるコーディネーターを配置し、市民活動等についての情報提供、相談対応、活動団体のマッチング、ライブ配信等活動を普及する事業の実施などの支援を行う。 11ページ 【事業目的・分類】 市民活動団体の新たな活動を支援する事業 【事業内容】 新たな市民活動団体が活動を始める場合や、既存団体が新たな活動や事業に踏み出すにあたって、関連団体との交流機会や情報、また、試行の場を提供し、支援する。 【事業目的・分類】 区民と区の交流、調和を生み出す事業 【事業内容】 市民活動をする区民と、それぞれの市民活動に関連する業務の担当者をはじめとする区職員の交流を促すために、協働でのイベント開催、コーディネート機能の共同運営等を行う。 【事業目的・分類】 区民の憩いの場所を演出する事業 【事業内容】 区民が気軽に訪れ、思い思いの時間をすごせるような空間づくりを行う。売店との連携や、時節や過ごし方の変容などに合わせてレイアウトを変えるなど、いつも居心地よく、楽しい空間となることを目指す。  なお、これらの事業を総合的に実施していくためには、多様な区民を受け入れるコミュニケーションツール、多様な活動を支えるWi-Fi等の設備や備品、しつらえはもちろん、各施設の利用ルールづくりが重要となります。特に、新しく整備される区民交流スペースは、交流促進の目的から、複数の活動が壁のない状態で同時に実施されることとなるため、動的活動と静的活動の共存や秘匿情報を扱う活動での利用などが課題となり得ます。今後、エリア分けや使用時間帯の区分、区民交流室や練習室の活用などのルールをさらに検討する必要があります。 【区民交流スペースの利用図・レイアウトイメージ(例)】 ※利用・活動内容に応じて変更可能なしつらえとする。 12ページ ②文化・芸術事業  基本方針2「文化・芸術によって暮らしを豊かにする」の実現に向け、これまでの検討で積み上げた施設利用イメージをもとに、次のような事業に取り組む方向で、第4期文化・芸術振興計画との整合を図っていきます。 【施設利用イメージ】 これまでの検討結果からの利用イメージ ・直接、文化・芸術に触れる場は、文化・芸術の拠点である区民会館ホールがメインとなる。 ・練習室での活動や、ラウンジでのミニコンサートなど、様々な活動の規模が想定される。 ・屋内だけではなく、区民参加の文化事業やワークショップの場として、屋外を使った活動も考えられる。広場全体や、ピロティに面する扉を開放して区民会館のエントランスホールから区民交流スペースまでを一体として、様々な人が自由に参加できる、広く賑やかな場として使うことも可能。 13ページ 【事業目的・分類】 区民が文化・芸術に出会い、参加・体験することができる事業 【事業内容】 区民が文化・芸術に出会い、自ら参加・体験する機会を創出するため、ワークショップや気軽な体験講座等の参加型事業を行う。 区民が継続的に参加し発表まで行う作品づくりについても実現をめざす。 【事業目的・分類】 地域のアーティスト、文化団体と連携する事業 【事業内容】 地域のアーティストや文化・芸術活動団体に対し活動の場を提供することにより、区民が身近に文化・芸術に触れ、楽しむ機会を創出するとともに、アーティストや団体の活躍の場の拡大及び区民との交流促進を図る。 【事業目的・分類】 区民が良質な文化・芸術を鑑賞することができる事業 【事業内容】 区の文化・芸術の新たな拠点として、芸術性や先進性等の高い良質な芸術を鑑賞する機会を区民に提供する。 【事業目的・分類】 文化・芸術の多様性を活かした事業 【事業内容】 人と違うことを評価し、受け容れる文化・芸術の多様性を活かして、広く多様性を認め合う意識醸成を図る事業等を関係団体と連携し行う。 14ページ ③みどり事業  基本方針3「みどりで多様な主体をつなぎ、心潤う環境をつくる」の実現に向け、これまでの検討で積み上げた施設利用イメージをもとに、次のような事業に取り組みます。 【施設利用イメージ】 これまでの検討結果からの利用イメージ ・まず植栽に触れる場所で活動が発生し、そこを拠点として活動が広がっていく。広場には保存・移植されたケヤキが植えられている。 ・みどりに触れる活動として、プランターなどでみどりを増やしつつ、空間を分けることも可能。 ・屋上庭園全体はみどりをコモンのように共同管理をし、みどりに触れるだけではない、みどりを育み活かす活動なども想定される。 15ページ 【事業目的・分類】 みどりに触れ、育む機会を提供する事業 【事業内容】 学校の授業や生涯学習等の学びと連携した植物等の管理や、四季の草花を楽しむ催しなど、敷地内の緑化空間を活かし、みどりに触れる機会を提供する。 【事業目的・分類】 地域にみどりを拡げるための事業 【事業内容】 みどりを増やす活動を普及するための事業や、地域のみどりについての相談対応等を関係課や関係団体と連携して行う。 【事業目的・分類】 みどりを共に育む事業 【事業内容】 区民参加型でみどりに関わる場をつくり、区民の暮らしにみどりが根付くよう、みどりを大切にする意識の醸成を図る。 【事業目的・分類】 みどりを通じて環境保全に寄与する事業 【事業内容】 みどりを大切にする意識の醸成を通じ、区民が環境保全や環境負荷軽減等について知り、考える事業にも取り組む。 (3)全体調整  これまで掲げた各事業は、相互に関連しており、区民利用・交流拠点施設としての一体性を保持し、施設全体の事業効果を最大化するため、以下のような全体調整を図ります。 【事業目的・分類】 利用調整 【事業内容】 区民や団体、区が様々な目的により本施設を利用するにあたり、希望スペースや時間の重なりの調整のみならず、維持管理や安全上の観点などを考慮する一方、相乗効果や交流への発展性などに配慮した利用調整を行う。 【事業目的・分類】 異なる分野が連携した事業 【事業内容】 市民活動、文化・芸術、みどりといった本施設の基幹となる分野はもちろん、教育、子育て、生涯学習、防災、環境、産業、福祉、健康増進などさまざまな分野と連携した事業を関係課や関係団体と連携して実施する。 【事業目的・分類】 周辺地域と連携して行う事業 【事業内容】 本施設が地域の市民活動、文化・芸術活動、みどり推進の拠点となるため、近隣の公共施設や商店街、教育機関等と連携した事業を行う。 【事業目的・分類】 施設を活用した賑わい創出事業 【事業内容】 従前本庁舎等で実施されていた大規模なイベントや式典等をはじめ、他会場で催されていた事業の移転拡大実施などを関係課や関係団体に働きかけ、また、マルシェ、季節の行事なども企画し、区役所周辺地域の賑わい創出に努め、本施設の認知度向上や新たな市民活動の契機につなげる。 【事業目的・分類】 広域的に展開する事業 【事業内容】 拠点施設として、施設周辺だけでなく区全体を対象としたアウトリーチ事業や情報発信事業、既存関連施設等との連携事業等を展開する。 16ページ 【事業目的・分類】 (仮称)運営委員会事務 【事業内容】 本施設が区民交流、協働の拠点となるべく、区、運営事業者、区民などが施設運営について議論する(仮称)運営委員会の事務を担う。 (4)運営(利用可能)日・時間、利用手続き等  区民利用・交流拠点施設において、施設の利用は単なる施設の貸出ではなく、ここで事業・活動が幅広く行われ、多様な区民の参加機会があることが必要です。  そのためには、事業内容はもとより、常に利用者像を意識し、そのニーズに寄り添った利用時間や利用手続き等の設定も重要な要素となってきます。  そこで、これまでの検討においていただいた区民意見等を踏まえ、次のような考え方で今後詳細を詰めていくものとします。 ①利用可能日  本施設は庁舎と一体となったつくりとなっていますが、本施設の設置の主旨に鑑み、多くの区民の利用に供するため、従前の世田谷区民会館の運用を参考に、全体として年末年始と設備維持管理上やむを得ない日を除き利用可能とすることを基本とします。 ②利用時間  利用時間については、各施設の事業内容や利用者・団体の属性、活動内容等により、利用したい時間帯が分化することも考えられ、多様な交流を促進するねらいとのバランスも考慮しながら設定していく必要があります。  なお、改修前の区民会館では、「午前:9時~正午」「午後:13時~16時半まで」「夜間:17時30分から22時」の3区分と、これを通して9時~22時まで使用できる「全日」の4つの利用時間区分を設けていました。  また、区民センターの例では午後を「0時30分~14時30分(午後1)」「15時~17時(午後2)」の2つに分け、夜間を「17時30分~19時30分(夕方)」「20時~22時(夜間)」の2つに分け、6つの利用時間区分が設けられています。  これまでの区民意見では、区民利用・交流拠点施設に対し夜間22時ころまでの利用希望が多く、一方では、広場やピロティといった屋外施設も有していることから、施設機能の最大発揮を図りつつ、近隣への配慮等も含めた施設ごとの丁寧な検討を進めます。 ③利用手続き等  ほとんどの区民利用施設では、公共施設予約システム「けやきネット」での予約ができるようになっていますが、本施設に対するこれまでの区民意見では、多くの区民の利用に向け「けやきネット」における団体登録要件よりも柔軟な運用や、DX推進の観点、さらに登録・受付自体の必要性にすら及ぶ手続きの簡便さを求める声が多く寄せられました。  こうした利用条件や利用手続きについても、区民会館や区民交流スペースといった施設ごとに、その事業内容や利用想定等を勘案した丁寧な検討を進め、利用申し込みの方法、開始時期や優先順位のつけ方、利用日数の制限などを具体的に設定します。 17ページ ④利用料金・使用料  本施設の利用料金については、広く区民交流を図る目的と受益者負担の原則の兼ね合いを十分検討する必要があります。料金設定にあたっては、多くの区民の利用を促すことを前提に、やはり各施設ごとの事業内容にあわせ、他の類似施設の使用料や講座等の事業の参加料等も参考にしながら著しく均衡を欠くこともないよう、減免も含め検討します。さらに、その徴収手続きについても、なるべく簡便となるよう検討していきます。 18ページ 2 組織運営計画 (1)事業・活動計画を実現し、持続する組織のあり方 ①運営の全体像  現在、想定している区民参加の運営体制のイメージは下図のとおりです。事業・活動計画で示した取組みを効果的に実現するには、区民や市民活動団体と区が協働し、そこに専門的なノウハウを有する人や企業等が関わる、区民利用・交流拠点施設ならではの運営組織が構築される必要があります。  そして、長く関わって経験を蓄積することとともに、新陳代謝や世代交代が行われることも持続可能な組織づくりには大切です。開設に向けて区内の団体、区民等との協議を進め、イメージする体制の実現に向けて検討します。 【運営イメージ図】 ②運営委員会  区民のニーズや社会の要請に応じたルール変更、方針の見直しが円滑に図られるよう、区民利用・交流拠点施設の運営における情報や課題を関係者が共有し、改善策を話し合う場とします。その事務局は、運営事業者の補助を受けながら、当面は区が担う方向で検討します。  事業計画や事業報告を評価するという諮問組織的な立場だけでなく、年間を通してより実践的な提案・助言を行い、運営者と並走しながら改善を進めるようなあり方を目指します。 19ページ ③運営組織  区民会館の運営は、文化芸術に精通し、質の高い公演から親しみやすいワークショップまで多岐にわたる事業を提供すること、加えてプロデュースから、区民の個人利用までさまざまな施設利用ニーズに幅広く応えることが可能な主体が必要です。一方、区民交流スペース等は、事業や施設を提供すること以上に区民や市民活動団体をつなぎ、活動を促すコーディネートができる主体が必要です。  こうした各施設の特性や専門性を踏まえ、単体または複数の事業者・団体が区と契約し、契約事業者・団体が、区と連携して運営を主体的に担うこととします。その際、契約事業者・団体において、責任者をはじめ当施設を効果的・効率的に運営する業務分担と組織を形成することとします。 ④運営主体  区民会館は、その施設特性から、改修前は指定管理者による運営を行っていました。現在は改修中のため直営としていますが、他の交流拠点施設のほとんどが開設する令和7年度以降は、指定管理者による運営に戻すことを予定しています。  その他の施設については、区内のNPO法人の積極的な参画を求めたいところですが、NPOに対して運営への参画可能性を調査したところ、年間を通して運営を主体的に実施可能とした法人はありませんでした。引き続きNPOには意向調査を行いますが、部分的にNPO等市民活動団体が参画可能な組織づくりとし、主体的な運営はNPO等のとりまとめが可能な運営事業者が担い、施設の基幹業務の遂行と、NPO等をつなぐ役割を果たす方向で検討を進めます。この事業者と区との契約は、区民会館を含めた交流拠点施設の全体調整業務を含むことからも、区からの業務委託とする方向で検討します。  なお、区民会館の指定管理者と、区民交流スペース等の運営事業者を同一にすることは、施設運営の一体性保持のうえでは有益ですが、必要となる人員やノウハウの確保等事業参画条件が厳しくなることを想定し、その実現可能性に照らして引き続き検討します。  事業者の選定方法や時期についても、事業の枠組みに応じて検討し、設定します。 (2)本庁舎等整備2期工事竣工までの運営方法について ①運営主体  本庁舎等整備1期工事竣工後の令和6年度中に先行して開設を予定している区民会館は、他のエリアが改修中であり、工事の進捗に応じた運営が必要であることから、従来のように指定管理者とすることが難しく、当面直営にて運営を行います。専門性が必要な業務については、事業者に委託します。   その他の施設を含め、本運営実施計画策定後となる令和6年度以降に事業者選定に入るとともに、(仮称)運営委員会の組成準備を進め、2期工事竣工後の全体的な施設開設に備えます。 20ページ ②広報等  令和5年5月実施の区民意識調査では、当施設の認知度は1割未満であり、各施設の開設前から、多くの区民の利用につながるよう、各種媒体を通じ広報に努めるとともに、プレイベント等の実施を検討します。 3 収支計画  区民利用・交流拠点施設は、ホール等の施設で利用料金・使用料を徴収したり、事業・活動の入場料や参加料を一部有料にしたりすることが想定されるため、収入が発生する施設です。  今後、事業内容のさらなる具体化、定量化、運営時間の設定やそれらに伴う利用料金の設定にあわせ、収支についても整理、算定していきます。 21ページ 第4章 全体開設に向けて 1 今後のスケジュール  当初は、本庁舎等整備工事の竣工予定に伴い、令和5年度に区民会館が開設し、令和7年度に区民交流スペース等ほとんどの区民利用・交流拠点施設が開設する計画でしたが、工期の延伸により、区民会館の開設は令和6年度以降にずれ込む見込みです。  その後の施設全体の開設は、2期工事・3期工事の竣工時期の検証結果により、必要なスケジュール変更を行いますが、現時点では当初の予定通り開設準備を進め、各工期竣工後可能な限り早く開設できるよう努めます。 令和5年度 団体意向調査 区民意見募集 シンポジウム 学識経験者ワーキンググループ 運営実施計画策定 令和6年度以降 区民会館開設 事業者選定 (仮称)運営委員会組成 令和7年度以降 区民交流スペース等開設 令和9年度以降 区民交流室(キッチン付)開設 22ページ 参考 素案作成までの検討経過  運営実施計画の検討にあたっては、運営基本計画を踏まえ、市民活動団体の意向調査や区民ワークショップによる意見聴取、区民利用・交流拠点施設の運営を想定した試行イベント企画・実施による検証、これらを踏まえた学識経験者によるワーキンググループでの議論などを積み上げることとしています。素案のとりまとめに際しては、以下のように取り組んできました。 令和5年4月 NPO意向調査       5月 区民意識調査       6月 試行イベント実施       7月 区民ワークショップ(5地域)開催 類似施設運営者ヒアリング調査 試行イベント実施       8月 学識経験者ワーキンググループ開催 これらの取組みの概要は次のとおりです。 1 NPO意向調査 (1)実施概要 区内NPO法人に対し、区民利用・交流拠点施設について周知を図るとともに、利用意向等のアンケート調査を実施しました。 ①実施時期 令和5年4月 ②調査対象数 420法人 ③回答数 22件(全体の5.2%) ④調査内容 現在の活動内容や活動場所、区民交流スペースの利用の可能性、運営への参画の可能性等 (2)結果概要 ・施設の利用 この施設で現在の活動ができると回答した法人 13法人 ・運営への参画 年間を通じ施設運営業務全体が可能と回答した法人 なし 市民活動に関する相談等の支援業務が可能と回答した法人 2法人 施設での自主事業に関する業務が可能と回答した法人 7法人 2 区民意識調査 (1)実施概要 世田谷区民意識調査2023の一部として、区民交流スペースの認知度を調査しました。 ①調査期間 令和5年5月19日(金)~ 6月9日(金) ②対象 世田谷区在住の満18歳以上の方 4,000人 ③有効回収数 1,832人 ④有効回収率 45.8% 23ページ (2)実施結果 ①区民交流スペース開設時期の認知度 問:区民交流スペースが令和7年度に開設することを知っていますか。  知らない 94.3%  知っている 4.0%  無回答 1.7% ②区民交流スペースに期待すること(複数回答) 問:区民交流スペースに期待することは何ですか。 気軽に休憩や飲食、談話などで利用できる空間づくり 46.1% 文化・芸術に触れる機会の充実(ロビーコンサートなど) 41.4% 展示やワークショップ、マルシェなどイベントの充実 35.5% 区民同士の交流に参加できる機会の充実 26.6% 地域と連携した事業の実施 16.9% 区内の活動団体等の活動・運営に関する支援 13.8% 打合せなどで利用できる会議スペースの充実 12.6% 区民が自分を表現できる場の提供 10.8% イベントの企画運営に携わるような仕組みづくり 9.7% あてはまるものはない 14.7% 無回答 4.6% 3 区民ワークショップ (1)実施概要 区民利用・交流拠点施設の 区民周知を図り、施設運営に関する意見を募るため、説明会を兼ねた区民ワークショップを実施しました。 ①実施期間 令和5年7月3日(月)~7月11日(火) ②実施回数 全5回(5地域で各1回実施) ③参加者数 計50人 年齢層内訳 10~20代 5人 30~40代 5人 50~60代 32人 70代以上 7人 不明 1人 (2)結果概要 区民利用・交流拠点施設の概要、運営基本計画の説明後に、参加者で意見交換を行いました。主な意見は以下の通りです。 ①レイアウト・備品について ・多様な人が利用できるようユニバーサルデザインに配慮したレイアウト 等が必要。 ・少人数での会議利用や、ひとりで利用するエリア、飲食できるエリアなどを分けるとよい。 ・ライブ配信をするための機材やWi-Fi環境を整えてほしい。 24ページ ②利用ルールについて ・登録手続きの簡素化やインターネットの活用で予約等の負担を減らせるとよい。 ・利用時間は、朝から夜間まで区民のニーズに合わせて幅広く使えるとよい。 ・利用者像に応じて、利用時間帯を分けてもよい。 ③支援体制・機能について ・区内の様々な活動団体がこの拠点に集い交流する機会を作れるとよい。 ・区役所に来られない方などに向けて、施設での活動をデジタル配信などにより広げていくことが重要。配信を行うにあたりサポートがあるとよい。 ・SNSを活用し、施設での活動や区内団体について効果的な情報発信をしてほしい。 4 類似施設運営者ヒアリング調査 (1)実施概要 具体的な施設運営の検討の参考とするため、類似施設の運営者に対するヒアリング調査を行いました。 ①実施時期 令和5年7月 ②実施対象 都内類似施設2か所 (2)調査項目  運営事業者と選定経緯、業務形態、業務内容、組織体制、経費、運営上の留意点等 5 試行イベント第1回 うめとぴあフェスタへのPRブース出店 (1)実施概要 区民利用・交流拠点施設の運営の具体化に向け、当該施設の運営を想定した試行イベントを実施しました。 ①実施日 令和5年6月3日(土) ②実施場所 保健福祉医療の拠点うめとぴあ ③実施内容 うめとぴあフェスタへのPRブース出店  区民交流スペースに類似したエントランスホールを有する施設のイベントに参加し、区民利用・交流拠点施設の周知及び来場者が参加できるワークショップを行いました。 (2)結果概要 ワークショップでは、施設の利用イメージについて以下のような提案をいただきました。 ・Wi-Fiが使える ・一人でも気軽に居られる ・仮設ステージで発表会 ・観葉植物の配置 ・のんびり休憩できるスペース ・子どもと来られるやわらかい床やおもちゃ 等 25ページ 6 試行イベント第2回 「うめとぴあ×なつあそび」イベント実施 (1)実施概要 第1回試行イベントを参考に、区民利用・交流拠点施設の運営を模したイベントを企画・実施し、検討内容の検証を行いました。 ①実施日 令和5年7月29日(土) ②実施場所 保健医療福祉の拠点うめとぴあ ③実施内容 うめとぴあ保健医療福祉総合プラザのエントランスホール等を会場に、屋内外のエリアを組み合わせたイベントを実施しました。 目的 ・レイアウト検討 ・「非日常」「日常」の共存の検討 ・交流につながるような仕掛けの検討 ・区民参加のかたちの検討 ・運営体制の検討 ・区民利用・交流拠点施設のPR 実施イベント ・大道芸やダンス等のパフォーマンス ・科学工作ワークショップ ・キッズスペース ・カフェ営業 ・キッチンカーによる飲食物販売 ・マルシェ(物品販売) (2)結果概要  未就学児から小学生を中心とした子どもたちとその保護者を中心に、多くの来場がありました。同時に、散歩等うめとぴあの日常的な利用者の来場もありました。  イベント実施を通じて、次のように検証結果の概要をまとめました。 ①レイアウト等 ・エリアや時間分けによる人流の変化に対応できるしつらえが有効である。 ・電源等の設備に留意する必要がある。 ・一方、静と動や日常と非日常のすみ分けには工夫が必要となる。 ②交流の仕掛け ・仕切りのない同時活動は交流の契機となりうる。 ・イベント等の準備段階からの協働の可能性も追求する必要がある。 ・飲食は集客に有効である。 ③区民参加等 ・団体等への働きかけには庁内連携が重要となる。 ・区内大学学生ボランティアネットワークは世代交流にも効果あり、大学連携等も新施設運営に有効と考えられる。 ・うめとぴあの地域交流会議には、区、事業者、地元町会、商店会、学校、関係団体等が参加し、多様な意見交換の場となっており、新施設運営にも参考となる。 26ページ 7 学識経験者ワーキンググループ (1)実施概要  令和4年度に実施した「世田谷区本庁舎整備に係る区民利用施設総合運営計画検討委員会」に参加いただいた学識経験者を委員とするワーキンググループを開催し、素案に関するご意見をいただきました。 ①実施日 令和5年8月1日(火) ②検討委員(敬称略) 曽田 修司 跡見学園女子大学マネジメント学部マネジメント学科教授 齋藤 啓子 武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科教授 福岡 孝則 東京農業大学地域環境科学部造園科学科准教授 ③主な検討内容 ・令和5年度の取組み状況について ・運営実施計画(素案)について (2)結果概要  各委員から素案及び今後の検討に関して、ご意見をいただきました。その主なものは次のとおりです。 ・日常的な利用者には区職員も含まれることに留意する必要がある。 ・今回の試行イベントは良い機会であったので、より多様なパターンを試行することが望ましい。 ・施設の周知については、試行イベント等の取組みもコンテンツとして利用するとよい。 ・区民会館とその他の施設の運営主体については、JV等、様々な形が考えられるが、区が「一体的運営」として求めるものが明確になるとよい。 ・運営委員会は、期間を定めた方針設定や委員が固定化しないような仕組みとすることが望ましい。 ・運営委員会の事業評価では、利用者の声を聴くことにデジタルを活用するとよい。