別紙5 世田谷区教育振興基本計画 令和6年度〜10年度 案 令和6年2月  世田谷区教育委員会 第1章 計画策定の基本的な考え方 1.第2次世田谷区教育ビジョンを振り返って 世田谷区教育委員会では、平成26年3月に「第2次世田谷区教育ビジョン」を策定し、教育目標・基本的な考え方・基本方針のもと、学校・家庭・地域が連携した様々な取組みを推進してきました。 平成26年度からの4年間の第1期行動計画では「6つの施策の柱」を定め、平成30年度から4年間の第2期行動計画では、教育を巡る社会情勢の変化や施策の進捗状況に応じた「施策の柱」の見直しを図りました。 この間、乳幼児期における教育・保育の重要性がうたわれ、地域や家庭との連携強化に向け最終2か年の調整計画においては、乳幼児期から小・中学校における質の高い教育の推進を新たに施策の柱として位置付けました。また、具体の個別事業計画として策定した教育デジタル・トランスフォーメーション(教育DX)を加え「9つの施策の柱」に改めました。 平成26年度から4年間の第1期行動計画の重点事業として「新教育総合センターの整備」を掲げ、平成29年6月に「世田谷区教育総合センター基本構想」を策定し、区の教育推進の中核的な機関として「学びのステーション」の機能を持つ新たな教育総合センターの検討を進めてきました。 令和3年12月に開設された「教育総合センター」は、教職員の研修や、乳幼児教育支援センター、不登校やいじめ、配慮が必要な子どもたちの学びに関する相談など総合的な教育相談、インクルーシブ教育の推進、地域・大学との連携拠点等の機能を担う新たな施設として重要な役割を果たしています。 また、令和2年には、国の「GIGAスクール構想」を受け、新型コロナウイルス感染症が拡大する中でICT環境の大幅な整備拡充を実施しました。児童・生徒一人一人がタブレット型情報端末を手にすることとなり、探究的な学びの実現のために効果的な活用を目指すこととなりました。 Society5.0時代において社会が急激に変化する中、教育現場においても、誰一人取り残さない持続可能な開発目標(SDGs)の推進や多様性・公平性・社会的包摂の考え方などが欠かせない視点となっています。 さらには、園や学校の教育現場では複雑化・多様化する様々な課題への対応が求められるなど、教員の負担が増加しています。自らの授業を磨き、人間性や創造性を高め、子どもたちに向き合い効果的な教育活動ができるようにするためにも教員の働き方改革の推進が求められており、教育委員会と学校現場が連携し、各種システムの導入や夏季休業期間中の学校休業日の設定など、様々な取組みを進めてきました。 こうした10年の計画期間において取り組んできた施策の評価については、教育委員会における「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」において年度毎に評価を行い、必要に応じて次年度の事業の見直しに取り組み、計画の着実な推進につなげてきました。 一方で、世界規模で拡大した新型コロナウイルス感染症や国家間の対立に起因した物価高騰など、近年は、まさに先行きが不透明で予測困難な時代となり、急激な変化に対応する力を子どもも大人も備えていくことが重要になりました。国内では、これまでの想定を遥かに越える大規模な自然災害の発生リスクが高まり、加速する少子高齢化、人口減少などの社会的課題が山積しています。 急激に変化する時代の中、子どもたちが自分らしく歩んでいくためには、他者を尊重し、多様な人々と協働・協力しながら未来を切り拓く力が必要になります。その基盤となるものは、他者と比較することなく今の自分を認め可能性を信じることで生まれる自己肯定感です。そして、人とのつながりや思いやりなど「協調的な幸福感」が重要な意味をもつ「日本社会に根差したウェルビーイング」の向上を図ることが益々重要になります。 これまでの課題を踏まえ、世田谷区教育委員会では、子どもたち一人ひとりがこれらの変化に受け身ではなく、自ら積極的に課題に向き合い判断して行動し、それぞれが思い描く未来を実現できる人材を育成するための教育である「キャリア・未来デザイン教育」を積極的に推進しています。 2.教育振興基本計画の位置付け・構成 教育振興基本計画は、教育基本法第17条第2項に基づく「世田谷区の教育の振興のための施策に関する基本的な計画」として位置付けています。 時代の変化が著しく社会のあり方そのものが劇的に変わりつつある中で、教育を取り巻く状況の変化を的確に反映するため、計画期間は、第2次世田谷区教育ビジョンの10年間から5年間とし、令和6年度から令和10年度までの目指すべき教育の方向性を示しています。 教育振興基本計画における「実施計画(行動計画)」は、教育目標の実現に向けた5年間の具体の個別事業計画として策定します。 乳幼児教育・保育では、世田谷区が目指す「乳幼児期の教育・保育」の基本的な方針を示した「世田谷区教育・保育実践コンパス」を令和3年12月に策定しました。そのため「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョン」は、教育振興基本計画に統合することとしました。 また、不登校児童・生徒の個々に応じた支援を行うための教職員共通の対応指針となる「不登校支援ガイドライン」を別途策定することから「世田谷区不登校支援アクションプラン」は、教育振興基本計画に統合することとしました。同様に、「世田谷区特別支援教育推進計画」に関しても、教育振興基本計画に統合することとし、具体的な取組みは、別途定めることとしました。 教育振興基本計画は、区長と教育委員会による総合教育会議における議論を経て新たに策定された、今後の世田谷区の教育に関する総合的な施策の大綱(以下「教育大綱」という。)と方向性を一致させた上で、教育に関する具体的な取組みを定めた計画とします。 さらに、令和6年度を初年度とする世田谷区の最上位の行政計画である基本計画は、期間が8年間であるため、基本計画で示された子どもや教育の分野に関しては、整合を図りながら柔軟に対応してまいります。 【他計画との関連イメージ図】 3.子どもを主体とした教育への転換 区では、「子どもが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、すべての世田谷区民と力を合わせ、子どもがすこやかに育つことのできるまちをつくる」ことを宣言し、平成13年に「世田谷区子ども条例」を制定しました。 また、子どもの人権尊重の取組みを一層促進するため、平成25年4月に子どもの人権擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」を設置しました。 平成27年3月には、区民とともに「子どもと子育てにあたたかい地域社会」を築いていく姿勢を示した「子ども・子育て応援都市」宣言を行っています。 平成28年度の児童福祉法の改正において、子どもが権利の主体であること、意見を尊重されること、最善の利益を保証されることが理念として明確化され、令和2年4月には、区独自の世田谷区児童相談所を開設しました。児童福祉司、児童心理司、医師、弁護士等の専門スタッフが、子どもの問題やニーズを的確に捉え、最も効果的な援助を行い、子どもの福祉増進を図っています。 令和5年4月に施行されたこども基本法第3条の基本理念に「全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。」及び「全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。」が規定されました。 教育委員会においても、子どもの意見を尊重した施策を推進するためには、子どもの権利条約やこども基本法における「子どもを個人として尊重する」「子どもの意見を尊重する」などの基本理念を踏まえておく必要があります。 その上で、子ども自身が意見を率直に言える環境を整え、子どもが様々なことに参画し、子ども自身が表明した意見や考えが反映できる仕組みを整えていく必要があります。 これまでの施策も子どものためのものであり、子どもの健やかな成長を目標としてきましたが、「子どもの意見」「子どもの考え」という視点が明確ではない部分がありました。 今後、施策を推進する際には、子どもの意見表明の場を確保し、反映に努めるよう職員の意識醸成を図ってまいります。 子どもを主体とした教育を本計画の最も大切な視点としていくとともに、子どもの意見が反映される子どもを主体とした教育について、5年間の計画期間内で、子どもの学びや成長に関わる全ての関係者と共通理解を深めることに重点的に取り組んでまいります。 コラム1ワークショップ〜世田谷区の目指す教育について、みんなで考えてみよう!〜 教育振興基本計画の策定にあたり当事者である子どもたちの意見を反映するため、令和5年5月27日(土)に教育総合センターでワークショップ「世田谷区の目指す教育について、みんなで考えてみよう!」を開催しました。 ワークショップでは、兵庫県立大学 竹内和雄教授の協力を得て、小・中学生18名が3つのグループに分かれて、学校や先生、世田谷区や保護者などへの提言をまとめ、パネルディスカッション等を行いました。 自己紹介や話し合いの練習などのアイスブレイクに始まり、小・中学生混合の各グループで活発な意見交換を行い、班員から出た意見をグループの意見としてまとめ、協働・協力しながら提言先である教育長や保護者の方など大人に向けて発表を行い、最後に子どもと大人でパネルディスカッションを行いました。 コラム2ワークショップ〜世田谷区の目指す教育について、みんなで考えてみよう!〜参加した小・中学生の感想 3つのグループで世田谷区の教育の「良いところ」、「改善してほしいところ」を話し合い、発表された子どもたちの意見は教育委員会事務局の各課にも伝え、計画を策定する上で反映・参考にしました。 参加した子どもたちからは、「最初は緊張したけど、中学生に手伝ってもらって、自分の意見をはっきりと言えた。」 「学校外の人との交流の大切さを学べた。ぜひ、また参加したい。」 「もっといろんな人が参加して多くの意見が区の教育に生かせていけたらいいと思う。」「大人がいる中で緊張したけど、将来の役に立つ良い経験になった。」「協力することが大事だと思った。」等の感想が寄せられました。 4.教育目標へとつながる考え方(共に学び、共に育つ上で大切にしたいこと) 子どもも大人も一人ひとりが生涯にわたり、世田谷区が目指す教育の当事者として、共に学び、共に育つ上で大切にしたい考え方をまとめました。 自分のよさや可能性を信じる 自分をかけがえのない存在、価値ある存在として捉えることができれば「自分を大切にしたい」「自分にはできることがある」と感じることができます。自己肯定感は、自分の思いや考えを共感的に受け止めてもらえることや多様な人との関りの中で認められることにより育まれます。 この気持ちが高まり、自分の可能性を感じるようになると「人を助けたい」「人の役に立ちたい」という感情が生まれてきます。 自分の力を誰かのために生かしたり、役立てたりすることが、新たな気付きや学びを生み、豊かな人生へとつながっていきます。 学びの成果を自分の中だけに止めることなく、他者と学び合い、支え合うことで新たな価値を創り出すことができます。 このような自分のよさや可能性を伸ばし、学び合い、支え合いの連鎖が広がることが、人がつながり誰一人取り残すことのない社会をつくる礎になります。   違いを認め、思いやり、学び合う 私たちはそれぞれ育った環境や経験してきたことなどが違うため、「当たり前」と感じることが異なります。たとえ共に生活をしている人でも「当たり前」「普通」は異なっているのです。 私たちは想像力を働かせて、自分とは違う考えや価値観があることに気付き、文化や言語、国籍、年齢、性別、LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ、障害の有無等に関わらず、互いを認め合うことが大切です。 違いを認め合い、受け入れる経験を重ねていくと、社会は多様性を認め合い、尊重し合って成り立っていることに気付きます。 認め合う関係の中で自己を再認識し、自分の能力や個性に気付き、それを伸ばすことも大切です。 一人ひとりが互いを高め合い、認め合う関係性は持続可能な未来を構築することにもつながります。新たな価値観を育みながら自分らしく過ごせる関係づくりが重要になります。 社会の創り手として行動する  社会の大きなうねりや変化の中、未来を誰もが予測できない時代を迎えています。不確実な時代が続いたとしても、幸せな未来を目指し、一人ひとりが自分らしくしなやかに生き抜いていくことが必要です。 そのためには、変化を恐れず積極的に変化に向き合い、それぞれの思いを協働して実現する社会を創る当事者になることが大切です。 世界の現状や社会の変化を自分事として捉え、課題意識を持って仲間と共有しながら解決に向けて歩みだし、その体験や成果を発信することも大切です。このように、社会における様々な課題に自分事として向き合い、挑戦を続け小さなことでも実現できた喜びを感じることで、自分の新たな可能性を感じ、次の行動につながります。 いかに社会が変化をしようとも、一人ひとりが未来に向けて自らが社会の創り手となり、持続可能な社会を維持・発展させていく意識と意欲を身に付けることが必要になります。 5.教育目標と基本方針 教育目標  幸せな未来をデザインし、創造するせたがやの教育 子どもも大人も、違いを認め合いながら自分らしく生きていくことが大切です。自分の可能性を信じ将来に希望を持ち、家族や友だち、周りの人たちの幸せを願い、自分の身近な暮らしから日本や世界をよくしていきたいと思えること、この「日本社会に根差したウェルビーイング」の考え方が礎になります。 このためには、一人ひとりの学びが尊重されることを基本とし、多様な学びの中から、自分で判断し、選択することが重要です。また、多様な他者とともに協働・協力して問題の発見や解決に挑むことも重要になります。他者との協働の中で、気付きや目標を持ち自分の力が生かされることを実感することが更なる活動の原動力になります。 子どもも大人も一人ひとりが学びの主体となり、自分の人生をデザインしながら自分らしく学ぶことが全ての学びの基盤となります。 予測困難な時代においても、それぞれが思い描く未来を自分らしく生きるために、自らが課題に向き合い、判断して行動できるよう、「幸せな未来をデザインし、創造するせたがやの教育」を教育目標に掲げ推進します。   基本方針1 新しい知を創造する  現代は将来の予測が困難な時代であり、その特徴である変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字を取って「VUCA」の時代と言われています。 このような時代の中で、社会のうねりや変化を受け止め、活力あふれる社会の実現と、その持続的な発展のためには、多様な人々が連携・協働し時代の変化にしなやかに対応していくことが大切です。 この時代を生きる子どもたちは、世界中を取り巻く問題が多様化・複雑化する中でも、グローバルな視点から、挑戦・実践を積み重ね、自らが社会を形成する創り手であることを認識することが重要です。 乳幼児期から質の高い教育を継続して、共感・協働する学びを実践し、探究心を育みながら、創造性・主体性を一段と伸ばしていくことで、社会の持続的な発展を生み出す人材の育成へとつながります。 時代は変化しており、デジタルテクノロジーやICTを学習に生かし、論理的、構造的に思考する批判的思考力を養い、子どもたちが有益な情報を選択し、創造的なアイデアを実現する手段を手に入れることが重要です。デジタルリテラシーを養いデジタル・シティズンシップの考え方を身に付け、粘り強く多様な知を結集し、新たな価値を見出せるよう取り組みます。 基本方針2 地球の一員として行動する グローバル化が進む現代社会では、異なる文化や価値観を理解するために積極的にコミュニケーションをとることが必要です。 そのためには、異なる文化や価値観に対して興味を持ち、理解を深めるなど、受け入れる姿勢を養い、多様性と包摂性を大切にしながら、異なる意見や視点を尊重し、共感できる姿勢や態度を培うことが重要です。 さらに、日本文化について理解を深め、日本への愛着や誇りを持ちながら、世界に視野を拡げることは、気付きを促し、他者への理解とともに自らを深く知ることにつながります。 持続可能な社会のために、貧困や気候変動など多くの課題に対して、探究的に学び、柔軟な思考と課題解決能力を養い、地球上で起こる様々な課題を自分事として受け止め、協働して解決する視点を持つことが大切です。 このようにすぐに答えの出ない課題に対して、自らの可能性を信じながら、地球規模の視野を持って創造的な解決策を見出せる資質や能力を育んでいきます。 基本方針3 多様性を受け入れ自分らしく生きる それぞれが思い描く未来を自分らしく幸せに生きていくためには、他者を思いやり、尊重し、違いを認め支え合いながら生きていくことが大切です。 誰もが違いを乗り越え共に生きる共生社会の実現に向け他人の考えや視点を受け入れるには、寛容な態度と柔軟性が求められます。 多様性を尊重しながら共に学び、共に育つインクルーシブ教育の考えに基づき、多様な価値観に対して共感することが必要です。 また、コロナ禍で減少した自然体験活動や文化芸術活動、食育、スポーツ活動、読書活動などを通して豊かな感性や自己管理能力などを育むことも重要です。 社会の多様化が進む中で、文化や言語、国籍、年齢、性別、LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ、障害の有無等に関わらず、あらゆる他者との違いを受け入れ、認め合いながらコミュニケーションを図ることが重要です。誰もが様々な人々と協力しお互いを高め合いながら、自分らしく豊かな人生を切り拓いていける力を育んでいきます。 基本方針4 共に学び成長し続ける 人生100年時代が到来します。このような時代の中で、豊かな人生が送れるように、生涯を通じて学び、自己実現を図ることで、生涯を通じた幸せの実現につながります。 多様な人々と出会い、教養を高めていくためには、年齢を問わずに学び続けることが重要です。学びの成果を地域社会へ還元していくことによって、学び合い支え合う連帯が生まれ、社会の持続的な発展にもつながります。 また、新しい時代の流れに迅速かつ柔軟に適応し、課題解決能力やICT分野など多様な新しい知識を身に付けるために、社会人の学び直し(リカレント教育)やキャリアアップに向けた学びの継続など、生涯を通じた学習(ライフロングラーニング)が大切です。 子どもも大人も互いに学び合い、共に成長し続けるためには、知的好奇心を持ち、新しい知識や経験に対して探究心を持つことが必要です。知的好奇心と探究心で学びの輪を広げ、地域教育力の向上を目指します。また、地域と学校の連携・協働の推進を支援し、地域の教育機関と連携・協力しながら、生涯学習の基盤を整備していきます。   第2章 実施計画(行動計画)  1.計画の進捗状況の把握  実施計画(行動計画)に掲げる取組みについては、PDCAサイクルを実施することにより、必要な改善を図りながら、計画を着実に推進し、目標の達成へとつなげていきます。具体的には、教育委員会における「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」により、その結果を区議会へ報告するとともに、区民の皆様へも公表した上で、年度毎に実施計画(行動計画)の進捗状況を把握していきます。   2.実施計画(行動計画)  実施計画の事業体系 基本方針1 新しい知を創造する 取組み項目1.乳幼児教育・保育の充実 施策名 @乳幼児教育支援センター機能の充実 A区立幼稚園の集約化及び機能充実 B保育者等の資質及び専門性の向上 C幼稚園・保育所(施設)・認定こども園・小学校の連携 D「学び舎」による学校運営の推進 取組み項目2.知を創造する学びの推進 @キャリア・未来デザイン教育の推進(重点的に取組む施策) A教育DXの更なる推進(重点的に取組む施策) B「学び舎」による学校運営の推進(再掲) C個に応じた学習支援 DSTEAM教育の充実(重点的に取組む施策) E読書力の向上 F教員研修の充実 取組み項目3.社会の担い手の育成 @社会とかかわる体験活動の推進 A主権者教育の推進 取組み項目4.新たな学びの場の確保(多様性や個性を認め伸ばす学びの場づくり) @新たな特例校の開設・運営(重点的に取組む施策) A「学び舎」と「地域運営学校(コミュニティ・スクール)」の機能を生かした学びの活性化(重点的に取組む施策) B魅力ある学校・園づくりモデル校による実践研究(重点的に取組む施策) Cまちの学びの拠点・プラットフォームの構築 D新たな学びの場の環境整備(重点的に取組む施策) 取組み項目5.教育環境の整備 @円滑な学校改築の推進 A安全・安心の学校施設の改修・整備 B学校の適正規模化への対応、小学校35人学級に対応した教室の確保 C環境に配慮した学校づくり D学校給食施設の整備 E「小学校プール施設のあり方」を踏まえた学校施設整備の推進 F新BOP事業の充実 取組み項目6.子どもの安全・安心の確保 @園児・児童・生徒の安全確保 A防災・安全教育の推進 B地域と連携した児童・生徒の安全対策の推進 取組み項目7.学校への支援と働き方改革 @学校への支援体制の強化(重点的に取組む施策) A教育DXの更なる推進(重点的に取組む施策)(再掲) B中学校部活動の地域移行の推進 C中学校部活動の地域連携の強化 基本方針2 地球の一員として行動する 取組み項目1.グローバル人材の育成・国際理解教育の推進 @英語教育の推進 A国際理解教育の推進 B日本語支援及び生活基盤の充実 C教科「日本語」の取組み 取組み項目2.持続可能な開発のための教育(ESD)の推進 @環境・エネルギー教育の推進 Aキャリア・未来デザイン教育の推進(重点的に取組む施策)(再掲) B防災・安全教育の推進(再掲) C地域と連携した児童・生徒の安全対策の推進(再掲) 取組み項目3.社会の担い手の育成(再掲) @社会とかかわる体験活動の推進(再掲) A主権者教育の推進(再掲) 基本方針3多様性を受け入れ自分らしく生きる 取組み項目1.インクルーシブ教育の推進 施策名 @インクルーシブ教育の推進(重点的に取組む施策) 取組み項目2.特別支援教育の充実 @特別支援教育の充実(重点的に取組む施策) A特別支援学級等の整備・充実(重点的に取組む施策) 取組み項目3.不登校支援の充実 @総合的な相談体制の充実(重点的に取組む施策) Aほっとスクール(教育支援センター)の拡充 Bほっとルーム設置校の拡大(重点的に取組む施策) Cオンライン支援事業の充実 D学びの多様化学校分教室の運営(重点的に取組む施策) E新たな特例校の開設・運営(重点的に取組む施策)(再掲) 取組み項目4.いじめ防止等の総合的な推進 @いじめ防止プログラム及びいじめを予防するための授業の工夫 A児童・生徒の学級満足度及び学校生活意欲等に関する調査と教員のいじめ防止等に関する意識・指導力の向上 Bいじめ防止等対策連絡会及びいじめ問題対策専門委員会の取組み C教育支援チームによる対応の強化 D人権教育の推進(再掲) E道徳教育の推進(再掲) 取組み項目5.健やかな心身の育成 @心と体の健康づくり A食育の推進 B児童・生徒が体験・体感する機会の確保 C新・才能の芽を育てる体験学習の充実 取組み項目6.人権教育・道徳教育の充実 @人権教育の推進 A道徳教育の推進 B社会とかかわる体験活動の推進(再掲) C主権者教育の推進(再掲) 基本方針4共に学び成長し続ける 取組み項目1.家庭・地域との学びの連携 施策名 @家庭教育への支援 A家庭の教育力向上のための支援 取組み項目2.地域で支える教育活動の推進 @学校と地域が連携する取組みへの支援 APTA連合体への支援 B各種団体への支援の充実 C区立学校の魅力アップ D学校評価システムの改善・充実 取組み項目3.生涯学習・社会教育の充実 @知と学びと文化の情報拠点としての図書館の充実(重点的に取組む施策) A地域での生涯学習事業の推進(重点的に取組む施策) B郷土を知り次世代へ継承する取組み(重点的に取組む施策) C社会教育の充実(重点的に取組む施策) D青少年教育の推進 E福祉教育の推進 取組み項目4.地域の教育力の活用 @高校・大学・企業等との連携の推進(重点的に取組む施策) A中学校部活動の地域移行の推進(再掲) B中学校部活動の地域連携の強化(再掲) C新・才能の芽を育てる体験学習の充実(再掲) 取組み項目5.地域社会との協働 @総合型地域スポーツ・文化クラブによるスポーツ・文化活動の促進 基本方針1新しい知を創造する 1−1 乳幼児教育・保育の充実 【現状と課題】 近年、人間の創造性や感性、粘り強くやり抜く力など非認知的能力がこれからの社会を生き抜く力として重要視されるとともに、年少人口の減少や、保育待機児の解消、区立幼稚園の入園者数の大幅な減少など、区の乳幼児期の教育・保育を巡る状況は大きく変化しています。 こうした状況を踏まえ、区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として、乳幼児教育支援センターを設置しました。 今後は、乳幼児教育支援センターと公私立幼稚園・保育所等や区立小・中学校が連携・協力して、子どもたちがこれからの社会を生き抜く力の基礎を培うことのできる環境づくりに取り組み、区全体の乳幼児期の教育・保育の質の向上を図ることが必要とされています。 1−1−@乳幼児教育支援センター機能の充実 ・「世田谷区教育・保育実践コンパス」を踏まえ、効果的な教育・保育の実践に向けたモデル研究等を実施し、区全体の教育・保育の質の向上に向けて研究成果を発表する機会を設け、共有化を図ります。 取組み内容 モデル研究 令和6年度 実施、研究成果の共有化に向けた検討 令和7年度 実施、研究成果の発表及び共有化に向けた検討・取組み 令和8年度 実施、研究成果の共有化に向けた検討 令和9年度 実施、研究成果の発表及び共有化に向けた検討・取組み 令和10年度 実施、研究成果の共有化に向けた検討 ・大学と連携した文化・芸術体験事業等を実施し、子どもたちが、様々な体験を通して、これからの社会を生き抜く力の基礎を身に付けることのできる環境づくりに取り組みます。 取組み内容 文化・芸術体験事業 令和6年度 実施、実施内容・手法の検討 令和7年度 検討結果を踏まえた取組みの実施 令和8年度 実施、実施内容・連携のあり方等についての検討 令和9年度 検討結果を踏まえた取組みの実施 令和10年度 実施 1−1−A区立幼稚園の集約化及び機能充実 ・区立幼稚園を地域の拠点として集約化するとともに、3年保育の導入等の機能充実を図ります。 取組み内容 区立幼稚園の集約化  令和6年度 集約化に向けた検討・準備 令和7年度 桜丘・松丘幼稚園集約化に向けた調整・準備 令和8年度 桜丘・松丘幼稚園集約化、中町・三島幼稚園集約化に向けた調整・準備 令和9年度 中町・三島幼稚園集約化、八幡山・給田幼稚園集約化に向けた調整・準備 令和10年度 八幡山・給田幼稚園集約化 取組み内容 3年保育の導入  令和6年度 3年保育導入検討・準備 令和7年度 多聞幼稚園、3年保育先行導入 令和8年度 桜丘・松丘集約園3年保育導入 令和9年度 中町・三島集約園3年保育導入 令和10年度 八幡山・給田集約園3年保育導入 1−1−B保育者等の資質及び専門性の向上 ・保育者の人材育成に向けた各種研修を実施し、質の高い教育・保育を実践します。 取組み内容 保育者等研修 令和6年度 申込者総数1,430名 令和7年度 申込者総数1,500名 令和8年度 申込者総数1,580名 令和9年度 申込者総数1,660名 令和10年度 申込者総数1,740名 ・専門人材を幼稚園・保育所等に派遣し、乳幼児期の教育・保育の質の向上に向け支援します。 取組み内容 専門人材の派遣 令和6年度 派遣施設数20園 令和7年度 派遣施設数20園、実施内容・手法の検討 令和8年度 検討結果を踏まえた取組みの実施 令和9年度 実施、事業の持続・充実に向けた検討 令和10年度 実施、事業の持続・充実に向けた検討 1−1−C幼稚園・保育所(施設)・認定こども園・小学校の連携 ・「学び舎」の仕組み等を活用しながら公私立幼稚園・保育所等と区立小・中学校の連携を促進します。 取組み内容 幼・保・小・中の連携の促進 令和6年度 学び舎参加施設数209施設 令和7年度 学び舎参加施設数276施設 令和8年度 学び舎参加施設数343施設 令和9年度 学び舎参加施設数410施設 令和10年度 学び舎参加施設数476施設 ・世田谷版アプローチ・スタートカリキュラムを改訂し、公私立幼稚園・保育所等及び区立小学校において共有化を図ります。 取組み内容 アプローチ・スタートカリキュラムの推進 令和6年度 カリキュラム改訂に向けた検討・試行 令和7年度 カリキュラム改訂に向けた検討・試行 令和8年度 カリキュラム改訂 令和9年度 改訂版カリキュラムの共有化 令和10年度 改訂版カリキュラムの共有化 1−1−D「学び舎」による学校運営の推進 ・小・中学校及び区立幼稚園・こども園等による「学び舎」のつながりなどを活用しながら、区立小学校及び公私立幼稚園・保育所等の交流・連携を促進し、乳幼児期に育まれた子どもたちの非認知能力など、資質・能力をさらに伸ばします。 ・「学び舎」で切れ目のない指導が図れるよう連携するとともに、「学び舎」の特色を打ち出した学校運営や地域の教育力を活用した教育活動など、質の高い教育を展開します。 取組み内容 保・幼・小・中の連携の推進 令和6年度 学び舎の在り方検討 令和7年度 学び舎の教育目標等の設定・取組内容の共通理解 令和8年度 学び舎合同での学校運営委員会の実施・確認 令和9年度 実施 令和10年度 実施 1−2 知を創造する学びの推進 【現状と課題】 急激に変化する社会の中で、次代を担う児童・生徒が、豊かな表現力をもって、多様な他者と共感・協働しながら、主体的かつ創造的に問題解決に取り組む力を育む教育を着実に推進していく必要があります。 区では、学習指導要領を基盤としながら、区独自の「世田谷9年教育」の取組みから新しい時代を見据えた「キャリア・未来デザイン教育」へと新しい知を創造する学びの推進に取り組んでいます。  これまでの取組みを継承しつつ、GIGAスクール構想の実現により導入したタブレット型情報端末を最大限に活用しながら、児童・生徒一人ひとりの学習状況やその経年変化等の学習データを踏まえた個に応じたきめ細かな指導とともに、全ての子どもがそれぞれの思い描く未来を実現するための資質・能力の育成に向けた取り組みが重要です。 1−2−@キャリア・未来デザイン教育の推進【重点取組み】 ・教育課程においては、世田谷区の幼児・児童・生徒の実態に即して「探究のプロセス」「共感・協働」をキーワードにした指導改善の取組み「せたがや探究的な学び」を推進し、学びの質的転換を図ります。 ・「キャリア・パスポート」をもとに、子どもたちが自らの学習状況や学校行事、地域での活動等によりキャリアの形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できる取組みを推進します。 コラム3キャリア・未来デザイン教育 キャリア・未来デザイン教育は、激しく変化する社会を生きる子どもたち、それぞれが思い描く未来を実現するための教育です。 1−2−A教育DXの更なる推進【重点取組み】 ・探究的な学び、協働的な学び、個別最適な学びに加えて、インクルーシブ教育等の充実を図るため、ICT基盤を効果的に活用した「教育デジタル・トランスフォーメーション(教育DX)」の更なる推進を図ります。 ・児童・生徒の個別最適な学びの実現を目指し、出欠状況や学習データ等の教育データ利活用が効果的に行える環境の整備を図ります。 取組み内容 教育データ利活用の推進 令和6年度 データの分類と利活用方法の検討 令和7年度 教育ダッシュボードによる利活用の推進 令和8年度 利活用効果の検証・更新 令和9年度 利活用の充実 令和10年度 今後の利活用方針の検討 ・教員のICT授業スキルの向上に向け、育成計画に基づき研修を実施するとともに、ICT教員インフルエンサー11の育成やICT研修の充実を図ります。 ・教員の業務負担軽減を目指し、教員のリモートワーク環境の整備やWeb会議ツール等の更なる活用を図ります。 ・教員及び児童・生徒の情報リテラシー向上に向け、教員の情報リテラシー研修やネット利用に関する子どもの意見を聞く機会の創出、ICT子どもインフルエンサーの育成により、情報リテラシー教育の充実を図ります。 取組み内容 教員の情報リテラシー研修 令和6年度 実施、効果検証 令和7年度 実施、検証結果に基づく内容の検討 令和8年度 実施、効果検証 令和9年度 実施、検証結果に基づく内容の検討 令和10年度 実施、効果検証、今後の研修実施方針の検討 取組み内容 ネット利用に関する子どもの意見を聞く機会の創出 令和6年度 実施、課題の把握 令和7年度 実施、課題への対応・改善 令和8年度 実施、対象児童・生徒の拡大 令和9年度 実施、児童・生徒へのアンケート調査の実施 令和10年度 実施、事業内容の改善 取組み内容 ICT子どもインフルエンサーの育成 令和6年度 実施、情報発信及び活動内容の検討 令和7年度 実施、支援教員の拡大 令和8年度 実施、活動成果の検証 令和9年度 実施、支援方法の内容検討 令和10年度 実施、活動成果の評価と改善 ・ICTを活用した教育の安定的かつ継続的な実施に必要不可欠となるICT機器の計画的な更新(リプレイス)を進めます。 1−2−B「学び舎」による学校運営の推進(再掲・1−1−Dを参照) 1−2−C個に応じた学習支援 ・児童・生徒の確かな学力の定着を図るため、少人数教育を推進するとともに、個に応じた、きめ細かい指導を充実します。 ・小・中学校へ講師を配置し、複数の教員によるティーム・ティーチングや少人数による学習、習熟度別学習等の充実を図り、個別最適な学びの実現に向けた取組みを推進します。 ・タブレット型情報端末における学習型アプリ等の活用により、児童・生徒が自ら調整しながら学習を進めていくことができるよう、取組みを推進します。 ・ICTを活用した個別最適化教育の推進、個別の学習目標に関連するモデル校での実践研究の成果と課題の分析、教育研究の取組みでの発展的学習を推進します。 ・小学校4年生から中学校3年生を対象に世田谷区が独自に実施している「学習習得確認調査」については、児童・生徒の主体的な教育活動の状況を把握するための調査への改善を図ります。 1−2−DSTEAM教育の充実【重点取組み】 ・教育総合センターにおいて、毎週土曜日と学校の長期休業期間中に毎日実施している「STEAM教育講座」を拡充するとともに、教育総合センターを拠点とした多様な学びの場を提供します。 取組み内容 教育総合センター内のSTEAM教育講座 令和6年度 90回 令和7年度 90回 令和8年度 100回 令和9年度 100回 令和10年度 100回 ・教育総合センター以外の会場における「STEAM教育講座」の実施を検討し、各地域で児童・生徒が多様な学びに参加する機会の充実を図ります。 取組み内容 他会場におけるSTEAM教育講座 令和6年度 大学等で試行実施 令和7年度 大学等で試行実施 令和8年度 5地域で実施 令和9年度 5地域で実施 令和10年度 5地域で実施 ・子どもたちの探究的な思考を育むため、区立小・中学校で「STEAM教育講座」を実施し、STEAM教育の充実を図ります。 取組み内容 学校への出前講座 令和6年度 12校 令和7年度 12校 令和8年度 12校 令和9年度 12校 令和10年度 12校 ・STEAM教育に関する授業力の向上を目指し、教員のSTEAM教育研修の充実を図ります。 1−2−E読書力の向上 ・児童・生徒を取り巻く情報環境が激変する中で、文章で表された情報を的確に理解し、自分の考えを形成するための自己判断能力の向上等を図るため、読書やNIEの実践等を通して、情報を読み取り表現する力の育成に取り組みます。 ・児童・生徒の読書活動等を支援するため、学校図書館への司書の配置や学校規模に見合った蔵書数の維持・充実、区立図書館と連携した電子書籍コンテンツの導入に向けた研究に取り組みます。 ・生徒の本への興味を高め、読書力の向上を図るため、オンラインでの実施を含むビブリオバトルなどの生徒の主体性を生かした活動など区立中学校教員の研究会と連携した教育を推進します。 1−2−F教員研修の充実 ・園長・校長研修や新任・転入管理職研等の職層研修、初任者研修、中堅教諭資質能力向上研修等の必修研修をはじめとした各種研修を着実に実施するとともに、ICT活用教育に関する研修など、学校現場からの意見も踏まえながら教員研修の充実を図ります。 1−3 社会の担い手の育成 【現状と課題】 区は、職場体験等を通じて、児童・生徒に社会性を育むとともに、自分の役割や将来の生き方、働き方について考えていくことができるように、キャリア教育を推進してきました。 変化の激しい社会の担い手となる児童・生徒にとって、知識に留まらない様々な体験を通した創造性や感性、自己肯定感、粘り強くやり抜く力などの醸成は、益々重要なものとなってきています。 令和5年4月に施行されたこども基本法の理念を踏まえて、児童・生徒が将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現に向けて、引き続き、様々な体験の場を提供するとともに、政治や社会の仕組みに触れ、主権者として求められる力を育むための主権者教育を推進することが必要です。 1−3−@社会とかかわる体験活動の推進 ・地域や学校、教育機関や社会資源が連携・協働し、「地域と学びを結びつける」といった視点から、人材や場所、ニーズ等をマッチングしながら多様な学びの場や機会を提供していくことで、探究的な学びの推進や子どもが生涯学び続ける力の育成につなげます。 ・「学び舎」や地域運営学校の取組みを生かしながら、教育機関や社会資源への働きかけを強化し、個々の取組みが面的につながるよう、職場体験等を通じて、キャリア教育を推進します。 ・区立中学校において、区内事業者等の協力を得るなどして、3日間の職場体験活動を実施します。 1−3−A主権者教育の推進 ・令和5年4月に施行されたこども基本法の理念を踏まえて、新たな有権者となる児童・生徒が政治や選挙への関心を高め、政治的な教養を育み、国民としての権利や義務についての理解を深め、国家や社会の形成者として主体的に参画しようとする資質や能力を育成する取組みを推進します。 ・法に関する教育が社会の秩序を維持するために重要な役割を果たしていることを理解し、遵守する態度を養い、公正で平和的な社会を構築する一員としての基盤を養う取組みを進めます。 ・学校生活における自治的活動をより推進し、学校生活を自ら改善する経験を積み重ねるとともに、学んだことを生かす体験的な学習とも関連付け、児童・生徒が社会の仕組みに変化をもたらすことを実感できるような取組みを進めます。 ・子どもの意見を表明する機会の確保に向け、生徒会サミットの取組みの充実を図ります。 1−4 新たな学びの場の確保(多様性や個性を認め伸ばす学びの場づくり) 【現状と課題】 将来の予測が困難な時代において、子どもたちの学びも変化をしており、従来の枠にとわれない学校づくりの視点が不可欠となっています。子どもたちが安心して通うことができる学校になるよう、子どもの多様性に応じた学びの在り方を推進するとともに児童・生徒の心の状態を理解し、個々に応じた支援の在り方を推進することが重要です。 また、学びの多様化学校16分教室で得た知見をもとに、多くの児童・生徒が通いたくなる学校の在り方を追究することや、世田谷区の豊かな資源を生かし、子どもの可能性を伸ばす学校外の教育環境の整備も喫緊の課題です。 「まち(世田谷区)全体が学びの場」となるよう新しい学びの場づくりに取り組むとともに、情報が伝わりにくい児童・生徒や保護者もいることから、直接情報を得ることができるプラットフォームの構築に取り組みます。 1−4−@新たな特例校の開設・運営【重点取組み】 ・教育総合センター開設後に培ってきた大学や企業等との地域連携やSTEAM教育の実践、また令和4年4月に開設した「ねいろ」の運営での知見を踏まえつつ、これまでの学校システムに子どもたちが合わせるのではなく、不登校を経験した子どもたちそれぞれが思い描く通いたくなる学校像を希求し、彼らをありのまま受け入れる新たな特例校の開設に向けて検討します。 取組み内容 特例校の開設・運営 令和6年度 基本構想の策定 令和7年度 基本構想を踏まえた開設に向けた取組み 令和8年度 基本構想を踏まえた開設に向けた取組み 令和9年度 基本構想を踏まえた開設に向けた取組み 令和10年度 基本構想を踏まえた開設に向けた取組み ・大学はじめ民間の教育機関など区内の地域資源の協力も得ながら、子どもが主体的に興味を持ち、チャレンジを後押しする教育課程を整えていきます。 1−4−A「学び舎」と「地域運営学校(コミュニティ・スクール)」の機能を生かした学びの活性化【重点取組み】 ・高校・大学・企業等の地域の教育力を活用し、「まち」と学校をつなぐために「学び舎」や地域運営学校機能を生かして、好奇心やコミュニケーション能力など数値で測ることができない非認知能力を伸ばす取組みを進めます。 取組み内容 地域と連携した学び舎の活性化 令和6年度 モデル地域で試行的実施1拠点 令和7年度 モデル地域3拠点実施 令和8年度 モデル地域、10拠点実施・今後の展開検討 令和9年度 全「学び舎」29拠点実施 令和10年度 全「学び舎」29拠点実施 1−4−B魅力ある学校・園づくりモデル校による実践研究【重点取組み】 ・学校・園と地域が協働して取り組んできた教育活動を活性化し、各学校や地域の特色を生かした教育課程の工夫により、新たな学びの創出に向け、魅力ある学校づくりを進めます。 取組み内容 教育課程を工夫した魅力ある学校・園づくり 令和6年度 モデル校1校で試行的実施 令和7年度 モデル校3校に拡大、今後の展開検討 令和8年度 モデル校10校に拡大 令和9年度 「学び舎」20拠点実施 令和10年度 全「学び舎」29拠点実施 1−4−Cまちの学びの拠点・プラットフォームの構築 ・まち全体を学びの場と捉え、子どもたちの多様な学びを支援するためのアセスメントや探究プログラム開発など、学校・家庭・サードプレイスと子どもたちをつなぐプラットフォームの構築に向けた取組みを進めます。 1−4−D新たな学びの場の環境整備【重点取組み】 ・新たな学びの場の教育施設として、多様な個性のある子どもたちがいきいき過ごせる環境整備を行い、誰もが通いたくなる学校環境の実現を目指します。 ・これまでの学習環境にとらわれない施設として、個々の児童・生徒が個性を発揮する多彩な活動場所となるよう、居心地のよい居場所づくりの検討を進めます。 ・今後、新たに開設を検討する特例校をモデル校として、内装や備品等で趣向を凝らすイメージで整備検討を進めます。また、当事者である児童・生徒の意見聴取を行い整備プランに反映させるとともに、整備後はモデル校の評価検証を行った上で、区立学校への展開を検討します。 1−5 教育環境の整備 【現状と課題】 今後、多くの学校施設が改築等の時期を迎えることとなり、学校施設の老朽化への対応にあたっては、財政負担や業務体制が課題となっています。 円滑に学校改築を進めるため、業務体制を強化し、令和5年度に作成の新たなロードマップを踏まえ、学校改築を計画的かつ着実に実施していく必要があります。 また、昨今の猛暑による空調設備の不具合の指摘を受けて、令和4年12月に空調設備の更新計画(令和5年度から令和9年度の5年間の整備スケジュール)を取りまとめており、空調設備の更新を着実に実施していく必要があります。 さらに、気候危機対策として学校施設のZEB化の実現に向けた環境に配慮した施設整備や、法令改正に伴う一層のバリアフリー化、トイレの洋式化、防犯対策としての電子錠化、特別支援学級の地域偏在の解消など、諸課題も併せて検討を進めていく必要があります。 1−5−@円滑な学校改築の推進 ・今後、多くの学校が改築時期を迎えることから円滑な学校改築に向け、施設の維持管理業務のアウトソーシングなど、業務体制を見直し、令和5年度に策定した新たな改築ロードマップを踏まえ、学校施設の改築を着実に進めます。 取組み内容 新たな改築計画 令和6年度 3校 令和7年度 3校 令和8年度 3校 令和9年度 3校 令和10年度 3校 取組み内容 業務のアウトソーシング 令和6年度 検討 令和7年度 仕様検討、業者選定 令和8年度 実施 令和9年度 実施 令和10年度 更新のための検証 1−5−A安全・安心の学校施設の改修・整備 ・児童・生徒等が快適に過ごせる安全・安心な学校施設となるよう、「世田谷区公共施設等総合管理計画」等を踏まえた改修・整備の促進を図ります。 ・ユニバーサルデザインの推進やトイレの洋式化、計画的なエアコン更新など、安全・安心な教育環境の整備を実施します。また、施設の電子錠化については、学校の要望も踏まえた適切な導入に努めます。 取組み内容 トイレの洋式化(洋式化率の東京都目標80パーセント) 令和6年度 実施 令和7年度 実施 令和8年度 実施(80パーセント) 令和9年度 ― 令和10年度 ― 取組み内容 普通教室等の空調設備の更新(令和4年度に策定した普通教室等の空調設備の更新計画、令和5年度から令和9年度まで) 令和6年度 31校 令和7年度 13校 令和8年度 13校 令和9年度 12校 令和10年度 ― 取組み内容 体育館の空調設備の改善 令和6年度 改善手法の試行・検証、方針策定 令和7年度 方針に基づく取組み 令和8年度 方針に基づく取組み 令和9年度 方針に基づく取組み 令和10年度 方針に基づく取組み 取組み内容 電子錠化(対象校は、既に電子錠設置校30校(令和5年度末時点)及び現在改築工事中3校、改築基本構想等策定済2校、第1期改築予定校7校を除く48校。) 令和6年度 設計委託10校、工事5校 令和7年度 設計委託33校、工事10校 令和8年度 工事11校 令和9年度 工事11校 令和10年度 工事11校 1−5−B学校の適正規模化への対応、小学校35人学級に対応した教室の確保 ・児童数の増加や小学校35人学級に対応した教室を確保し、より良い教育環境の充実を図ります。 ・児童・生徒数の推計や指定校変更の実績等の状況を見極めながら、各年度において指定校変更の制限や通学区域の見直しの検討を行います。 1−5−C環境に配慮した学校づくり ・学校施設の改築及び大規模改修時に、省エネルギー機器等の導入や再生可能エネルギーの活用等により、ZEB化の実現に取り組みます。また、改修時を捉え、体育館照明LED化改修等により環境に配慮した施設整備に取り組むとともに、自然環境の有する多様な機能を活用するグリーンインフラを取り入れた施設整備を進めます。 1−5−D学校給食施設の整備 ・区の公共施設等総合管理計画や学校施設長寿命化計画を踏まえ、老朽化や狭あい化など学校の状況に応じた給食施設の改修・整備を行い、安全・安心な給食を提供するための環境を整備します。また、共同調理場方式の学校については、学校改築に併せて給食施設を整備し、自校調理化を進めます。 取組み内容 給食室改修・整備 令和6年度 9校(うち自校調理化3校) 令和7年度 3校 令和8年度 1校 令和9・10年度については、今後の児童・生徒数の見込みや学校施設の状況などを踏まえ、改めて対象校を検討する。 1−5−E「小学校プール施設のあり方」を踏まえた学校施設整備の推進 ・学校改築に併せたプール拠点施設の整備による共同利用を推進し、教員の負担軽減と児童の泳力向上を図るとともに、運営経費の削減に努めます。 ・水泳授業の機会の確保に向けた遮熱対策等の整備を進めます。 1−5−F新BOP事業の充実 ・新BOPは、共同所管である子ども・若者部児童課と連携し、運営しています。活動場所の狭あい化、学童クラブ登録児童数の増加による大規模化、子ども及び保護者の多様化するニーズへの対応等の課題解消に努め、事業の充実を図ります。 ・各小学校では、児童数の増加、35人学級の導入、要支援児童学級の拡大等により、普通教室等を拡大確保する必要が生じ、会議室、多目的室、特別教室等のレイアウトの変更や、用途変更等が実施される例が増加しています。こうした状況は、年度毎に、大きく変化することから、新BOPの利用可能なスペースの確保については、年度を超える都度、学校毎に、改めての調査・調整を行い、狭あい化への対応を行います。 ・利用児童の増加や、狭あい対策による活動場所の分散化、配慮を要する児童の増加等に対応するため、派遣事業者による人材確保や、様々な求人方法の導入により新BOP指導員等の適正配置に努めます。 ・登録児童数が増加し、大規模化している新BOP学童クラブの近隣に、令和10年度までに段階的に民間事業者が整備・運営する学童クラブを誘導することで、新BOP学童クラブの登録児童数の適正化を図ることを推進します。 取組み内容 民設民営による新たな学童クラブの総定員数(子ども・若者部対応) 令和6年度 360人 令和7年度 720人 令和8年度 880人 令和9年度 1040人 令和10年度 1200人 1−6 子どもの安全・安心の確保 【現状と課題】 子どもたちの安全・安心を確保するため、各学校では「学校安全計画」を毎年度策定し、防災訓練や安全指導等を実施しているほか、地域との連携による、通学路の合同点検やパトロールなどにも取り組んでいます。 今後、頻発化・激甚化が懸念される自然災害への対応をはじめ、感染症や不審者への対策、通学路の安全確保など一層の充実が求められていることから、「学校安全対策マニュアル(危機管理マニュアル)」(平成24年全面改訂、平成27・30年一部改訂)の全面改訂に取り組み、教職員の共通理解のもとで園児・児童・生徒の安全確保を図る必要があります。 また、令和3年度から運用を開始した学校緊急連絡情報配信サービスシステム「すぐーる」の安定的な運用に努めながら、通学路に設置する防犯カメラなど、学校安全に資する施設設備等を計画的に整備・更新していく必要があります。 1−6−@園児・児童・生徒の安全確保 ・「学校安全対策マニュアル(危機管理マニュアル)」を全面改訂するとともに、学校を取り巻く状況の変化等に応じた改善など常に取り組むことで、学校等における園児・児童・生徒の安全確保を推進します。 取組み内容 「学校安全対策マニュアル(危機管理マニュアル)」の見直し 令和6年度 全面改訂 令和7年度 全園全校に周知及び説明会開催 令和8年度 点検、改善 令和9年度 点検、改善 令和10年度 点検、改善 1−6−A防災・安全教育の推進 ・小・中学校、幼稚園等が連携し、防災訓練や防災教育を推進します。また、避難所運営のノウハウが学べる防災カードゲーム(世田谷版HUG)も活用し中学生が地域の人とともに避難所運営の在り方を考える取組みなどを実施します。 ・「学校安全対策マニュアル」に基づく日常的な安全指導のほか、外部講師等も活用し、自転車安全教室等の交通安全指導、災害安全指導、生活安全指導等、状況に応じて重点化した取組みを推進します。 1−6−B地域と連携した児童・生徒の安全対策の推進 ・児童・生徒が事件や事故に巻き込まれないよう、通学路の合同点検を実施し、PTAや警察、道路管理者とも連携した通学路の安全確保・事故防止などに努めます。 取組み内容 通学路合同点検の実施 令和6年度 15校 令和7年度 16校 令和8年度 15校 令和9年度 15校 令和10年度 15校 ・通学路上に設置した防犯カメラ(410台:令和5年7月時点)については、維持管理を適切に行うとともに、適宜、更新していきます。併せて、更新にかかる経費への補助を東京都に要望します。 1−7 学校への支援と働き方改革 【現状と課題】 学校教育の現場は、学習指導・生徒指導に加え、複雑化・多様化する課題が教員に集中し、授業等の教育指導に専念しづらい状況となっています。授業以外にも給食指導や部活動の指導を行っているほか、調査・報告書の作成、PTAや地域との連携、通学路の安全確保や補導業務への対応など、様々な業務を担っています。学校や教員の熱心な取組みや大きな負担の上で、子どもに関する諸課題に対応してきましたが、学校の抱える課題が膨れ上がる中、従来の固定化された献身的教員像を前提とした学校の組織体制では、質の高い学校教育を持続させることは困難となっています。 そのため、教員が十分な教材研究や授業改善等を行え、子どもたちとしっかりと向き合える時間が確保できるよう学校の体制を整備し、教員を支援するとともに、教育DXの更なる推進等により教員の負担軽減や学校における働き方改革に取り組むことが必要です。 1−7−@学校への支援体制の強化【重点取組み】 ・学校には、教員がその専門性を十分に発揮できるよう心身の健康を維持し、子どもと向き合う時間や授業準備等の時間を確保できる環境が必要です。このため、令和6年度中に教育委員会が主体的・計画的に取り組むための目標を定める「(仮称)学校における働き方改革アクションプラン」を策定し、働き方改革を推進します。 取組み内容 (仮称)学校における働き方改革アクションプラン 令和6年度 検討・策定 令和7年度 プランに基づく取組み実施 令和8年度 実施 令和9年度 実施 令和10年度 取組みの成果の点検及び改善 ・心理や法律、学校経営など専門的立場から学校に対して助言・援助を行う「教育支援チーム」を充実させ、保護者等からの問い合わせ等へ円滑に対応することができるよう学校を支援します。 ・特別支援教育に関わる「特別支援教育巡回グループ」の効果的な活用、不登校の原因分析や対応策の検討を行う「不登校支援グループ」により学校を支援します。 ・各校が抱える問題に柔軟に対応するために、授業だけでなく、校務分掌等も担うことができる講師を任用する制度を検討します。 ・世田谷区の特色を深く理解した教員を独自に採用することで、世田谷区の教育の安定を目指し、任用制度を検討します。 ・学校徴収金事務の負担軽減を図るため、民間サービスの導入等、様々な手法について検討します。 取組み内容 学校徴収金事務の負担軽減 令和6年度 新たな手法の調査・検討及び決定 令和7年度 新たな手法による事務の試行 令和8年度 新たな手法による事務の本格実施 ・教職員が心身ともに健康で教育に携わることができるように、学校におけるメンタルヘルス対策の充実を図ります。 取組み内容 教職員のメンタルヘルス対策 令和6年度 各種面談の周知(事業一覧カードの作成等)、新任研修へのメンタルヘルス対策の導入 令和7年度 実施・検証 令和8年度 実施・検証、新たな取組みの検討 令和9年度 新たな取組みを含めて実施 令和10年度 実施・検証 ・児童・生徒の多様な体験の機会を広げるとともに、教員の働き方改革の推進のため、土曜授業の見直しを行います。 取組み内容 土曜授業の見直し 令和6年度 検討・周知 令和7年度 廃止 1−7−A教育DXの更なる推進(重点的に取組む施策)(再掲・1−2−Aを参照) 1−7−B中学校部活動の地域移行の推進 ・中学校部活動の地域移行が地域の多様な主体による持続可能性のある活動となるよう、課題を検討し、長期的な方針をもって取り組みます。また、将来にわたり子どもたちが地域でスポーツや文化・芸術に親しむことができる環境整備を進めます。 ・中学校部活動の受け皿となる地域クラブ活動を担う総合型スポーツ・文化クラブや地域団体等の活動に対する支援の充実を図ります。 取組み内容 総合型スポーツ・文化クラブにおける地域クラブ活動 令和6年度 委託により実施、補助制度の検討 令和7年度 補助制度により支援 令和8年度 補助制度により支援 令和9年度 補助制度により支援 令和10年度 補助制度により支援 取組み内容 スポーツ振興財団における地域クラブ活動 令和6年度 委託により実施、対象部活動の拡充、財団の独自事業としての実施に向けた調整 令和7年度 財団の独自事業として実施 令和8年度 財団の独自事業として実施 令和9年度 財団の独自事業として実施 令和10年度 財団の独自事業として実施 取組み内容 せたがや文化財団事業を活用した地域クラブ活動 令和6年度 財団の独自事業を部活動に代わり参加できる活動として実施 令和7年度 財団の独自事業を部活動に代わり参加できる活動として実施 令和8年度 財団の独自事業を部活動に代わり参加できる活動として実施 令和9年度 財団の独自事業を部活動に代わり参加できる活動として実施 令和10年度 財団の独自事業を部活動に代わり参加できる活動として実施 1−7−C中学校部活動の地域連携の強化 ・中学校部活動の地域移行に準ずる形として、教員の負担を軽減し、部活動を継続的・安定的に支えるための基盤として、地域の人材や、保護者、大学生の協力により、技術指導や指導補助等を担う「部活動支援員制度」の充実を図ります。 ・部活動支援員を確保するための人材バンクの機能をより強化し、部活動支援員ポータルサイトを立ち上げ、教育委員会からの情報伝達や研修、支援員同士の情報共有等に加え、支援員としてのやりがいの醸成に寄与する取組みを推進します。 ・部活動支援員が、技術指導だけでなく、部活動の運営を担えるよう、研修等を充実します。 ・教員の負担軽減を図るため、部活動支援員や学生の審判資格の取得等の支援を行い、大会の審判員を派遣する仕組みの構築等を研究します。 基本方針2地球の一員として行動する 2−1 グローバル人材の育成・国際理解教育の推進 【現状と課題】 国内外の学術、文化、経済など様々な分野でのグローバル化が一層進んでいます。  児童・生徒は、国籍や文化の違い等に関わらず、あらゆる人々が互いの人権を尊重し合い共に力を合わせて生活する共生社会の担い手になることから、世界を視野に英語力を基礎とした自己を確立しつつ他者を受容しうる資質・能力を身につける必要があります。 児童・生徒の英語による実践的なコミュニケーション能力の育成とともに、様々な国や地域の人々との交流や多様な文化に触れる機会を通して、語学力のみならず、相互理解や価値想像力、社会貢献意識などを高め、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、地球規模の視野をもち、グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材を育成することが大切です。 2−1−@英語教育の推進 ・急速に進展する国際化を踏まえ、児童・生徒が英語に親しみながら、多様な手法により英語による実践的なコミュニケーション能力の育成を図ります。 ・国際的な視野を広め、国際理解を深める教育を推進するため、外国人英語教育指導補助員(ALT)の配置や英語活動支援員の派遣、英語体験出張教室を実施することにより各小・中学校の英語教育の支援に取り組みます。 ・より実生活に即した実践的な聞く力及び話す力の習得を支援するためのスピーキングテストの活用について研究します。 2−1−A国際理解教育の推進 ・国際化の進展に対応し、異文化の理解・多文化共生の考え方に基づき、様々な国や地域の人々との交流や多文化に触れる機会を拡充するなど、児童・生徒の国際理解を深め、世界の人々と共に生きていくことのできる資質・能力の基礎を醸成する取組みを推進します。 ・小中学生の姉妹都市交流派遣事業に加え、新たに姉妹都市以外の国や地域との交流についての研究も進めながら、児童・生徒の海外交流派遣事業の在り方について検討します。 取組み内容 海外派遣・受入事業の実施 令和6年度 姉妹都市との交流、姉妹都市以外の検討 令和7年度 検討結果を踏まえた事業実施 令和8年度 実施 令和9年度 実施 令和10年度 実施 ・テンプル大学と連携した「小・中学生の国内留学プログラム」、オンライン海外交流、英語体験出張教室等、国内での体験の機会を拡充します。 取組み内容 国内での体験事業等の実施 令和6年度 体験機会拡充の検討 令和7年度 機会の拡充 令和8年度 実施 令和9年度 実施 令和10年度 実施 ・教育総合センターにおいて、幼児からシニアまで幅広い世代を対象にした英語体験プログラムを実施し、外国人講師とのコミュニケーションや英語文化に触れる機会を提供します。 取組み内容 教育総合センターにおける英語体験プログラムの実施 令和6年度 実施(英語教室授業数53コマ) 令和7年度 実施・検証(英語教室授業数53コマ) 令和8年度 拡大・充実の上で実施(英語教室授業数56コマ) 令和9年度 実施・検証(英語教室授業数56コマ) 令和10年度 実施・検証(英語教室授業数56コマ) 2−1−B日本語支援及び生活基盤の充実 ・帰国・外国人教育相談室及び指導支援校(上北沢小・八幡小・千歳小・梅丘中)の連携のもと、帰国・外国人児童・生徒を対象とした教育や相談指導について子ども達の状況に応じた充実を図り、補習教室や訪問指導などを着実に実施します。 初期指導 帰国・来日したばかりで日本語が話せない、分からない児童・生徒のために、補助員を学校に派遣し、個別指導(初期指導)を在籍校で行います。 訪問指導 初期指導終了後、日本語習得の不十分な児童に対して相談員が在籍校に出向き個別指導を行います(訪問指導は小学校のみ、中学校は帰国・外国人教育相談室へ通う通級指導を実施)。 補習教室 日本語がだいたい分かる児童・生徒を対象に補習教室を開催し、日本語指導と教科補習及び状況に応じてカウンセリングを行います。 ・外国人の児童・生徒の保護者に対して、通訳を派遣し、学校生活を行う上で、必要な事項等、子どもの教育指導に関わる話し合いを円滑に進めます。 2−1−C教科「日本語」の取組み ・日本人が培ってきた言語文化や感性をもとにした見方・考え方を働かせ、日本語の響きやリズムを楽しみ美しさを味わう活動や、日本文化や人々の生き方等について深く考えたり伝え合ったりする活動を通して、様々な課題を自ら見付け、解決する力、他者を理解し自分を表現する豊かなコミュニケーションの力、そして、それらの基礎となる「ことばの力」を育成する取組みを推進します。また、今後の学習指導要領の見直しに合わせて、教科「日本語」のあり方の検討を行います。 2−2 持続可能な開発のための教育(ESD)の推進 【現状と課題】 ESD(持続可能な開発のための教育)は、気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等、人類の開発活動に起因する様々な問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう身近なところから取り組むことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会の実現を目指して行う学習・教育活動です。 しかし、学校現場ではどのような学習活動を行えばよいのかについて十分な情報がないなど、体系的・継続的な学習がなされず、ESD的な活動を行っているにも関わらず、ESDの目指す資質・能力の育成につながらないなどの課題があります。 また、ESDの原則や価値観の共有、教員の専門性を高めるような研修、さらに実践的な指導事例の蓄積が出来ていない点や地域社会と連携した体制の整備も課題となっています。今後、これら課題への取組みが、ESD教育の効果的な普及と実践につながると考えられます。 2−2−@環境・エネルギー教育の推進 ・日々の学習活動や学校生活の中で「地球環境に配慮した行動」を自主的・主体的に実践できるよう、自律心、判断力、責任感などの人間性を育む教育に取り組みます。 ・他人や社会との関係性、自然環境との関係性を認識し「関わり」と「つながり」を尊重できる個人を育む教育に取り組みます。 ・環境・エネルギー教育の更なる推進に向け、研究協力校による取組みへの支援や教員へのESD研修の充実を図ります。 2−2−Aキャリア・未来デザイン教育の推進(重点的に取組む施策)(再掲・1−2−@を参照) 2−2−B防災・安全教育の推進(再掲・1−6−Aを参照) 2−2−C地域と連携した児童・生徒の安全対策の推進(再掲・1−6−Bを参照) 2−3 社会の担い手の育成(再掲・1−3を参照) 2−3−@社会とかかわる体験活動の推進(再掲・1−3−@を参照) 2−3−A主権者教育の推進(再掲・1−3−Aを参照) コラム4オンライン授業〜海洋環境改善について学ぶ〜 「海の豊かさを知ろう」のテーマで学習している用賀中学校では、海なぞ実行委員会の協力を得て、日本財団による「海と日本のプロジェクト」に参加しました。プロジェクトの一環で、大阪にある水族館「海遊館」の職員の方々と「ジンベエザメの生態と海洋プラスチック問題に関する特別オンライン授業」を行いました。写真や動画などを通して海洋問題を考えるよい機会になりました。 生徒の感想 ・ジンベエザメが全長12mであんなに大きいことが、とても驚きました。また、プラスチックのせいで生物が絶滅の危機に追い込まれているのだと知り、自分もごみをしっかりと分別をし、ポイ捨てをしないように、日々心がけていこうと思いました。 ・海洋プラスチックが、人間、そして海の生き物に影響を与える恐ろしさについて再確認ができました。 ・ごみが広がっている写真は、普段見る機会がないので衝撃的だった。今後、ごみ拾いのボランティアがあれば、友達を誘って積極的に参加したい。 ・海洋プラスチック問題のことを知って改めて思ったことは、海が汚染されると海の生き物の生態系が乱れ、海に関わる仕事に支障が出るなど、私たちの生活にも大きな影響が及んでしまうことがわかりました。海の豊かさを守ることは私たちの未来を守ることにつながることを学びました。 基本方針3多様性を受け入れ自分らしく生きる 3−1 インクルーシブ教育の推進 【現状と課題】 第2次世田谷区教育ビジョンでは、全ての子どもたちが共に学び、共に育つインクルーシブ教育の推進に取り組んできました。 障害者の権利に関する条約で定めるインクルーシブ教育の理念や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律で定める合理的配慮を踏まえ、誰一人取り残すことなく、共に学び、共に育ち、多様性の尊重と多様な価値観に対する共感を育むインクルーシブ教育をより一層推進していくことが求められています。 また、インクルーシブ教育のより一層の推進にあたっては、教育総合センターをインクルーシブ教育の推進の拠点として位置付けるとともに、障害福祉部の「せたがやインクルージョンプラン−世田谷区障害施策推進計画−(令和6年度〜令和8年度)」の重点取組みに「インクルーシブ教育推進に向けた土台づくり」、「医療的ケア児(者)の支援」が掲げられていることから、障害福祉部とインクルーシブ教育に対する考えを共有し、組織横断的に連携して取り組む必要があります。 今後、インクルーシブ教育に関するガイドラインの策定や好事例を収集したデータベースを構築し、教職員など全ての学校関係者と情報を共有しながら、更なる理解の促進を図る必要があります。また、インクルーシブ教育の推進の土台となる相談支援体制の充実も進めていく必要があります。 3−1−@インクルーシブ教育の推進【重点取組み】 ・誰一人取り残さずに、全ての子どもたちが共に学び共に育つことができるインクルーシブ教育をさらに推進していくために、令和6年度に教職員を対象としたインクルーシブ教育に関するガイドラインの策定や好事例データベースを構築します。令和7年度からガイドラインに基づく教職員の理解促進と好事例データベースの充実を図ります。 ・インクルーシブ教育ガイドラインに関する学校管理職を含む教職員を対象とした研修を実施し、ガイドラインに対する共通理解を深め、インクルーシブ教育を推進していきます。 取組み内容 インクルーシブ教育に関する教職員研修 令和6年度 ガイドライン策定、教職員研修の内容・方法の検討 令和7年度 教職員研修の実施 令和8年度 教職員研修の継続 令和9年度 教職員研修の継続 令和10年度 教職員研修の継続 ・保護者や学校関係者を対象としたインクルーシブ教育に関する普及啓発を実施し、インクルーシブ教育の内容や認知度の向上を図ります。 取組み内容 インクルーシブ教育に関する普及啓発 令和6年度 ガイドラインに関するシンポジウムの実施 令和7年度 保護者や学校関係者への普及啓発 令和8年度 効果検証、周知方法の検討 令和9年度 新たな手法による普及啓発の実施 令和10年度 新たな手法による普及啓発の実施、効果検証、周知方法の検討 ・医療的ケアを必要とする子どもが学校等で安心して医療的ケアを受けながら学び育つことができるように、人的支援、物的支援及び相談体制の充実を図ります。 ・インクルーシブ教育の推進に向けた児童・生徒に切れ目のない支援を円滑に行うために、就学相談体制の充実を図り、保護者の意向を尊重した相談を行います。 3−2特別支援教育の充実 【現状と課題】 全ての子どもたちが共に学び、共に育つことを進めるためには、一人ひとりの状況に応じた支援が必要であることから、特別支援教育の推進を第2次世田谷区教育ビジョンのリーディング事業として位置付け、取り組んできました。 これまでに、通常学級及び特別支援学級における人材の拡充や、学校支援を目的とした特別支援教育巡回グループによる支援や助言などを進めてきましたが、今後も、配慮や支援を必要とする子どもたちの学びを支えていくために、相談支援体制の強化や特別支援教育の充実を図る必要があります。 3−2−@特別支援教育の充実【重点取組み】 ・特別な配慮や支援を要する児童・生徒に応じた特別支援教育を充実させるために、学校を巡回・助言する特別支援教育巡回グループによる支援の充実を図り、学校の支援に取り組みます。 取組み内容 特別支援教育巡回グループによる支援の充実 令和6年度 定期巡回の全校実施 令和7年度 定期巡回、大規模校への支援強化 令和8年度 定期巡回、大規模校への支援強化 令和9年度 定期巡回、大規模校への支援強化 令和10年度 定期巡回、大規模校への支援強化 ・教職員を対象とした特別支援教育に関する研修を実施し、特別な配慮や支援を必要とする子どもに関する理解促進を図り、一人ひとりの学びを支えるための特別支援教育の充実を進めます。 ・特別な配慮や支援を必要とする児童・生徒に切れ目のない支援を円滑に行うために、就学相談体制の充実を図り、保護者の意向と選択を尊重した相談を行います。 3−2−A特別支援学級等の整備・充実【重点取組み】 ・特別支援学級(教室)に入級(室)を希望する児童・生徒の増加に対応し、地域的なバランスを踏まえた適正な設置と通学の負担の軽減を図るために、特別支援学級(教室)の整備に取り組みます。また、既存の学級・教室の充実に取り組みます。 取組み内容 特別支援学級等の開設 令和6年度 整備計画に基づく学級の開設(3校)、整備計画の一部改定(令和3年に策定した「世田谷立小・中学校特別支援学級等整備計画」について、3年を周期に一部改定を行い、直近の児童・生徒や学校施設の状況等に基づき、整備対象校等を明らかにする。) 令和7年度 整備計画に基づく学級等の開設 令和8年度 整備計画に基づく学級等の開設、整備計画の一部改定に向けた検討 令和9年度 整備計画に基づく学級等の開設、整備計画の一部改定(令和3年に策定した「世田谷立小・中学校特別支援学級等整備計画」について、3年を周期に一部改定を行い、直近の児童・生徒や学校施設の状況等に基づき、整備対象校等を明らかにする。) 令和10年度 整備計画に基づく学級等の開設 3−3不登校支援の充実 【現状と課題】 不登校児童・生徒の増加傾向が続く中、不登校を未然に防ぐための学校の支援や、不登校になっても学校の出席につながる支援、さらには不登校状態の長期化又は引きこもりになった児童・生徒への支援など、個々の状況に合わせた支援策の充実が重要となっています。そのために、ほっとルームの設置と学校生活サポーターの配置や学びの多様化学校分教室の拡充、ほっとスクール(教育支援センター)の地域偏在解消と定員の拡大、オンラインでつながる支援事業の充実など、様々な支援形態の整備が急務となっています。 今後は、増え続ける不登校を未然に防止できるような魅力ある学校づくりを各学校で取り組んでいく必要があります。 また、教育相談内容が複雑・多様化する中で、教育と福祉の連携が重要となっています。更なる相談体制・機能の充実と、不登校児童・生徒が長期ひきこもりに移行しないよう、区長部局と教育委員会、学校が連携し早期支援につなげるなど、連携の強化が必要です。 3−3−@総合的な相談体制の充実【重点取組み】 ・不登校やいじめ、学校職員に関する相談など、教育相談件数が増加する中で、教育相談全体をまとめ、適時適切に対応できる支援体制を確保するとともに、教育と福祉の連携体制を強化します。 ・世田谷区子ども・若者支援協議会「不登校・ひきこもり支援部会」を通じて、相互の支援情報を共有するなど、更なる連携強化を図ります。 ・教育相談の組織体制を見直し、必要な人員の拡充など、計画的な相談体制の充実を図ります。 取組み内容 教育相談体制の充実 令和6年度 教育相談体制の充実に向けた検討 令和7年度 支援体制の構築 令和8年度 体制構築後の効果、課題の抽出 令和9年度 支援体制の課題解消に向けた検討 令和10年度 更なる支援体制の充実 3−3−Aほっとスクール(教育支援センター)の拡充 ・不登校児童・生徒数の推移や動向を注視しながら、ほっとスクールの増設による受け入れ体制の拡充を行います。また、増設にあたっては、地域バランスを考慮し、5地域への展開を前提に整備を進めます。 ・未整備地域(烏山地域・北沢地域)の増設については、開設地の選定を進めるとともに、ほっとスクール尾山台の狭あい化解消のため、移転も含めた検討を進めます。 3−3−Bほっとルーム設置校の拡大【重点取組み】 ・「ほっとルーム」の区立小・中学校全校への設置を目指します。 取組み内容 ほっとルーム設置校拡大 令和6年度 60校 令和7年度 90校 令和8年度 設置校の評価・検証 ・学校改築及び改修計画に合わせ「ほっとルーム」を子どもの居場所として適切な環境となるよう整備を進めます。 3−3−Cオンライン支援事業の充実 ・令和5年6月より、どこにもつながっていない不登校又は不登校の傾向がある児童・生徒を対象に、オンラインを活用した「ほっとルームせたがYah!オンライン」事業を開始しました。本事業について評価・検証を行い、その検証結果に基づき事業内容を見直すなど充実を図ります。 取組み内容 オンライン支援事業の充実、事業の充実に向けた検討 令和6年度 実績に基づく評価・検証 令和7年度 契約満了に伴う仕様の見直し及び新たな委託事業者選定 令和8年度 新委託事業者による事業開始 令和9年度 新委託事業者の評価・検証 令和10年度 課題の解消と事業の充実 3−3−D学びの多様化学校分教室の運営【重点取組み】  ・令和4年4月に開設した学びの多様化学校分教室「ねいろ」について、運営状況の評価・検証結果に基づき運営の改善・充実を図ります。 取組み内容 分教室運営の充実 令和6年度 評価・検証に基づく課題検討・実践 令和7年度 新たな学びの多様化学校との連携の検討 令和8年度 新たな学びの多様化学校との連携実践 令和9年度 新たな学びの多様化学校との連携課題の検討 令和10年度 充実に向けた実践 3−3−E新たな特例校の開設・運営【重点取組み】(再掲・1−4−@を参照) 3−4いじめ防止等の総合的な推進 【現状と課題】 学校におけるいじめの早期発見や未然防止、発生後の対応等の重要性がこれまでにも増して高まる中で、「世田谷区いじめ防止基本方針」に基づき各学校が組織として一丸となっていじめ防止対策を徹底する必要があります。 令和4年12月に改訂された「生徒指導提要」を踏まえた学校における指導を充実するとともに、専門家の派遣や各職層研修などを通じて教員のいじめの発見・対応等に関する力を高め、いじめ防止等の総合的な推進を図ることが重要です。 3−4−@いじめ防止プログラム及びいじめを予防するための授業の工夫 ・区立小・中学校全校の授業などでの取組みや教員のいじめの発見・対応等に関する力を高め、更なるいじめ防止等の総合的な推進を図ります。 ・「いじめ防止プログラム」として、全区立中学校を対象に講演会等を実施するとともに、希望する区立中学校においてワークショップ等を実施します。 ・「いじめを防止するための授業の工夫」教員用リーフレット等を活用したいじめ防止学習を実施します。また、発達支援的な生活指導によりいじめ未然防止の意識を高めるとともに、児童・生徒の主体的な取組みを促します。 3−4−A児童・生徒の学級満足度及び学校生活意欲等に関する調査と教員のいじめ防止等に関する意識・指導力の向上 ・区立小・中学校全校で、小学校3〜6年生及び中学校1〜3年生を対象に、児童・生徒の学級満足度及び学校生活意欲等に関する調査(WEBQU)を実施し、いじめの未然防止・早期発見に活用します。また、調査結果の分析や活用方法等に関する教員研修を実施し、教員のいじめ防止等に関する意識や指導力の向上を図ります。 3−4−Bいじめ防止等対策連絡会及びいじめ問題対策専門委員会の取組み ・いじめ防止等対策連絡会において、保健福祉等の関係機関等と連携し、区内全域のいじめ防止ネットワークの強化を図ります。また、教育、心理、福祉、法律等に関する専門的な知識を有する者、その他の学識経験を有する者等から構成されるいじめ問題対策専門委員会を開催し、いじめ防止等のために教育委員会が実施する施策や学校が実施すべき施策について協議するとともに、いじめ防止対策推進法に規定される重大事態への対処等を行います。 ・「世田谷区いじめ防止基本方針」に基づく未然防止・早期発見・早期解決に向けた取組みを徹底します。 3−4−C教育支援チームによる対応の強化 ・心理や法律、学校経営など専門的立場から学校に対して助言・援助を行う 「教育支援チーム」を充実させ、暴力行為やいじめ等の問題を適切に解決するとともに、保護者等からの問い合わせ等へ円滑に対応することができるよう学校を支援します。 3−4−D人権教育の推進(再掲・3−6−@を参照) 3−4−E道徳教育の推進(再掲・3−6−Aを参照) 3−5 健やかな心身の育成 【現状と課題】 児童・生徒が心身ともに健やかで安全に成長していくことができるよう、学校・家庭・地域が連携して支援する体制を整えるとともに、児童・生徒自らが心身の健康を育むことができる基礎的な素養を養成していく必要があります。 小学校から中学校までの9年間の体力テストの結果等を踏まえ、体育・保健体育の授業の充実に取り組むとともに、各校の実態を踏まえ、児童・生徒の体力向上や健康教育を、また、思春期青年期の精神保健に関する「支援ガイド」を教員に配布し、思春期青年期の精神保健の普及啓発を図るなど、心と体の健康づくりの取組みを進めることが重要です。 食育については、学校における食に関する指導、食を通じた異世代との交流や、せたがや食育メニューの普及・啓発のためのパンフレットの配布、区内農産物の地産地消の取組みなどを通じて推進に取り組んでいます。 また、子どもたちが安心・安全に外遊びができるよう、遊び場開放を実施し、地域の子どもたちの身近な場所で外遊びができる場の確保を図っていきます。 今後も、学校と家庭、地域、保健福祉等の関係機関等と連携して、児童・生徒の心と身体の健康づくりに取り組む必要があります。 3−5−@心と体の健康づくり ・運動能力の向上だけではなく、運動やスポーツに対する情意(好き、楽しいという感情や意欲)の維持・向上のための取組みを各校で実施し、子どもたちの心身の成長と生涯にわたる健康の維持を目的とした「運動習慣が定着するための取組み」を推進します。 ・運動やスポーツとの多様な係わり方(する、みる、支える、知る)を通して、健康で活力ある生活を営むために必要な資質・能力を育てる取組みを推進します。 ・体力指導力向上研究協力校における実践事例を区立小・中学校全校に発信することで、成果を広げ、各校での心と体の健康づくりの取組みを推進します。 ・保健福祉等の関係機関との強化による心と体の健康づくり支援を通じて、 がん、喫煙、薬物等に関する健康教育に関わる取組みを推進するとともに、児童・生徒の体力の向上と健康の保持・増進を図ります。 ・小学5年生及び中学1年生の全員を対象とするスクールカウンセラーによる面談を実施し、児童・生徒が相談しやすい環境づくりを推進します。 3−5−A食育の推進 ・子どもたちが食事の意義など食に関する正しい理解を深め、心身の健康増 進や望ましい食習慣を形成するため、学校における食に関する指導の充実、食を通じた異世代との交流、学校給食での地場産物や有機農産物の活用などの取組みを進めます。 取組み内容 有機農産物等の活用 令和6年度 有機米の活用、有機農産物等の活用検討 令和7年度 有機米・有機農産物等の活用 令和8年度 有機米・有機農産物等の活用・拡大 令和9年度 有機米・有機農産物等の活用・拡大 令和10年度 有機米・有機農産物等の活用・拡大 ・研究校(令和5年度指定)での食育や食べ残し削減に関するモデル事業の成果を参考に区立小・中学校全校での取組みを促進するなど、子どもたちの食への関心を高めます。 3−5−B児童・生徒が体験・体感する機会の確保 ・宿泊行事などの校外学習を通じて、子どもたちが普段の学校生活では味わ えない体験活動を行うとともに、自然や命の大切さに直に触れ、感じることで、豊かな情操の涵養を図ることを目的として、移動教室等を着実に実施します。 ・授業では実施が難しい体験学習を通じて、知的好奇心の喚起や体験による気付きから自ら学び考える力の増進を図るとともに、質の高い芸術の鑑賞を通じて、芸術文化を味わう楽しさや喜びを享受する豊かな感性を育むことを目的として、体験学習・芸術鑑賞教室を着実に実施します。 3−5−C新・才能の芽を育てる体験学習の充実 ・「多様な体験から発見する新たな自分」をキーワードに、探求、表現、体力・健康、国際理解、環境の5つのテーマの中から、普段の授業では体験・体感できない活動を通して、子どもたちが自らの興味・関心を広げ、深め、将来の夢や希望をもち、たくましく生き抜く力を育てていくことを目的に「新・才能の芽を育てる体験学習」の取組みを推進します。 ・講座の内容については、常に刷新を図れるよう、3年以上継続した内容については見直しを図り、子どもたちの関心やニーズ、社会の変化に合わせたテーマを模索・検討し、充実を図ります。 3−6人権教育・道徳教育の充実 【現状と課題】 「人権」や「生命」を尊び、重んじる精神を学ぶことは全ての教育活動に通じることから、様々な機会を捉え、人権教育・道徳教育の推進と教員の資質向上に取り組んでいく必要があります。 「あいさつ」や「思いやり」などのテーマについて、児童・生徒が自ら考え、行動し振り返る取組みを、学校・家庭・地域の連携のもと継続して行うことで、よりよい生活習慣や規範意識を児童・生徒に身に付けさせるほか、人権教育プログラムに基づき「障害者」「北朝鮮による拉致問題」「性自認」「性的指向」等の15の人権課題についての理解と認識を深めるとともに、こども基本法、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例等の理念や主旨を踏まえた道徳教育・人権教育の更なる充実を図っていくことが必要です。 3−6−@人権教育の推進 ・世田谷区子ども条例等の啓発と条例に基づき設置した世田谷区子どもの人権擁護機関(せたがやホッと子どもサポート)との連携も図りながら、こども基本法を踏まえた教育、子どもの人権の尊重と確保の取組みを推進します。 ・人権教育を基盤に、互いを尊重し、違いを認め合い、より良い人間関係を築くための取組みを推進します。人権教育プログラムに基づき、教職員研修を実施することで、人権課題に対する教職員の理解を深める取組みを推進します。 ・人権課題の「性の多様性理解」について、子どもがありのままの自分を大切にし、性の多様性(LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ)を理解する学習と、自己を理解するとともに偏見や差別をなくす取組みを進めます。 ・個々の児童・生徒の実態に応じ、地域・保護者の理解を得ながら、包括的性教育の推進に取り組みます。 3−6−A道徳教育の推進 ・児童・生徒に人として生きる上で大切な人間性・道徳性を育むとともに、社会の構成員としての自覚や社会生活を送る上で必要な規範意識や生活習慣を身に付けさせる。「特別の教科道徳」の教員の指導力向上を図るとともに、道徳科を中心とした道徳教育を推進します。 3−6−B社会とかかわる体験活動の推進(再掲・1−3−@を参照) 3−6−C主権者教育の推進(再掲・1−3−Aを参照) 基本方針4共に学び成長し続ける 4−1家庭・地域との学びの連携 【現状と課題】 家庭は子どもの健全な育成を支える教育の起点です。親同士や親と地域との関わりが薄れ、親が子育てを学ぶ機会や子育てを助け合う機会の減少により孤立した子育てや子どもの貧困は深刻化しています。PTA、地域、学校が連携しながら家庭教育を見守り支える取組みが必要です。 PTAによる家庭教育学級や乳幼児の保護者を対象とした講座・ワークショップなど、親が学び、交流することのできる機会の提供や情報の発信、子育て不安軽減のための地域と連携した相談対応など、家庭の教育力・養育力の向上を図るため支援の充実が求められます。 4−1−@家庭教育への支援 ・家庭での教育に有用な講演会や社会的な関心が高く、誰もが学びやすいテーマを設定して作成した動画を配信します。また、各所管課が実施する家庭教育に関する事業をとりまとめたデータベースを更新・充実して、情報発信に取り組みます。 ・各PTAが実施するこれまで対面を基本としていた家庭教育学級について保護者のニーズや社会状況の変化に応じてICTを活用したオンライン開催など、連携して運営方法を適宜見直しながら、多くの保護者が学び合い育ち合える機会を提供します。 4−1−A家庭の教育力向上のための支援 ・家庭の教育力・養育力向上のための支援や保護者の子育てに関する不安軽減のヒントとなる講座・講演会、ワークショップ等を開催します。 取組み内容 家庭教育・子育て支援講座 令和6年度 年6回 令和7年度 年6回、充実に向けた検討 令和8年度 年8回、検討結果を踏まえた取組み 令和9年度 年8回 令和10年度 年8回 ・地域団体や福祉保健領域と連携しながら、外部人材を活用し、保護者等の子育てについての相談対応の取組みを行います。 取組み内容 外部人材を活用した相談対応 令和6年度 月1回 令和7年度 月1回 令和8年度 月1回、充実に向けた検討 令和9年度 月1回、検討結果を踏まえた取組みの実施 令和10年度 月1回 4−2 地域で支える教育活動の推進 【現状と課題】 子どもの健やかな心と体を育むためには、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を担い、相互に連携・協力しながら、学校を拠点とした地域コミュニティをさらに醸成していくことが必要です。 各学校では、学校運営委員会、学校支援地域本部、学校協議会やPTAなど保護者や地域の方々の協力を得て、学校と地域が連携しながら特色のある取組みを行うなど、地域とともに子どもを育てる教育を推進しています。今後も、質の高い教育の一層の推進に向けて、学校と地域の更なる連携が必要です。 4−2−@学校と地域が連携する取組みへの支援 ・学校の教育活動は地域から様々な形で支えられています。「学校運営委員会」「学校支援地域本部」「学校協議会」のそれぞれの役割を理解した上で、学校と地域にとってより有効な取組みが実施できるよう、学校や参加者の負担軽減や運営の工夫に関する情報提供などの支援を行います。また、学校と地域がより一層の連携を図りながら、地域全体が継続的・安定的に学校を支え、地域とともに子どもを育てる教育を推進します。 ・「学校運営委員会」は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づいて学校運営や支援に関する企画・検討、学校運営に関する意見を教育委員会や校長に述べたり、教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べたりすることができます。 ・「学校支援地域本部」は、「世田谷区学校支援地域本部事業実施要綱」に基づき、地域とともに子どもを育てる教育の推進を目的に、学校からの依頼に応じ、学校支援コーディネーターやボランティアが学校の教育活動(授業補助、学習支援、校内の環境整備、登下校の安全確保、学校行事)を支援します。 ・「学校協議会」は、各学校の規約に基づき、児童・生徒の健全育成、地域防災・防犯、教育活動の充実について検討を行う、世田谷区独自の仕組みです。 ・3つの仕組みについて、活動内容の重複や、担い手の負担感等の課題があることから、組織の統合化を検討します。 取組み内容 組織統合化の検討 令和6年度 課題の聴取 令和7年度 課題の検討・調整 令和8年度 統合化の実施 4−2−APTA連合体への支援 ・PTAの活動を充実させるため、PTA連合体が主催する各種研修会の手法や内容等を毎年度改善しながら実施できるよう、PTA連合体と連携して取り組みます。 ・PTAが社会環境の変化に対応し、実情に合った活動ができるよう、PTA連合体に対し、全国のPTA活動に関する先進事例や改善事例を情報提供するなど、PTAの自主的な活動を支えるPTA連合体への支援を充実します。 4−2−B各種団体への支援の充実 ・おやじの会など学校活動を支える地域の活動団体の組織強化を図るために必要な指導助言を行い、より充実した活動ができるよう団体運営を支援します。 ・団体間との連携・協働による地域のネットワークを強化し、地域の課題解決に向けた体制の構築を図ります。 4−2−C区立学校の魅力アップ ・キャリア教育や探究的な学びの充実、「学び舎」ごとの特色ある取組み等、各学校の主体的な取組みを支える特色ある学校づくり推進事業の充実を図ることで、各学校及び「学び舎」の魅力となる教育活動を推進します。 4−2−D学校評価システムの改善・充実 ・「学校評価システム」の改善に向け、学校評価の評価項目や実施手法を見直すとともに、各校及び「学び舎」の教育課程編成に反映させるなど、更なる評価の活用を通じて、各校の教育活動の充実に向けた取組みを推進します。 4−3 生涯学習・社会教育の充実 【現状と課題】 人生100年時代の到来やDXの急速な進展など社会状況が急激に変化する中、ウェルビーイングの実現のためには、住民主体で地域課題に対応できるよう、区民の誰もが地域社会に参加し、学び合い・育ち合う環境の整備が必要です。 各種講座の実施やリカレント教育に関する情報提供に加え、図書館や文化財をはじめとする地域資源の更なる活用を促すことなどによる学びの場の提供とともに、地域団体の活性化や人材育成を支援するなど、社会参加を支える基盤の再整備が求められています。 4−3−@知と学びと文化の情報拠点としての図書館の充実 【重点取組み】 ・乳幼児から小学生、中学生、高校生そして大人へと読書機会が続くように子どもの成長段階に応じて、大人までの切れ目ない読書支援に取り組みます。 ・図書館に来館しなくても利用できる、電子書籍の充実やオンラインでできるサービスの充実に努めます。さらに、図書館開館前の早朝や閉館後の深夜でも図書館以外の場所において、予約した資料を受け取ることができる宅配ボックス型のブックボックスの導入に取り組みます。 取組み内容 電子書籍の蔵書数 令和6年度 15,000冊 令和7年度 16,500冊 令和8年度 18,000冊 令和9年度 19,500冊 令和10年度 20,000冊 取組み内容 電子書籍の閲覧数 令和6年度 23,000回 令和7年度 26,000回 令和8年度 32,000回 令和9年度 38,000回 令和10年度 44,000回 取組み内容 非来館型図書館サービスの取組み 令和6年度 図書館ブックボックスのモデル実施、評価、検証 令和7年度 図書館ブックボックスの今後の方向性検討、新たな取組み実施 令和8年度 図書館ブックボックスの取組み実施 令和9年度 図書館ブックボックスの取組み実施 令和10年度 図書館ブックボックスの取組み実施 ・区立図書館としての公共性や専門性を維持するため、資料収集・提供やレファレンス機能などの基本機能の拡充に取り組みます。 4−3−A地域での生涯学習事業の推進【重点取組み】 ・各総合支所地域振興課が実施する生涯学習セミナーなどでの学びの成果をもとに、区民自らが活動できるように、区民の地域団体への参加や講座の企画などの主体的な活動を促進・支援します。また、セミナー卒業生の仲間づくりや活動が主体的で継続的なものとなるよう支援に取り組みます。 取組み内容 区民企画講座(各年度上半期に企画会、下半期に3〜5回の講座を実施する。) 令和6年度 総合支所ごとに実施 令和7年度 総合支所ごとに実施 令和8年度 総合支所ごとに実施 令和9年度 総合支所ごとに実施 令和10年度 総合支所ごとに実施 取組み内容 生涯学習セミナー(各年度6〜11月に、13〜15回の講座等を実施する。) 令和6年度 総合支所ごとに実施 令和7年度 総合支所ごとに実施 令和8年度 総合支所ごとに実施 令和9年度 総合支所ごとに実施 令和10年度 総合支所ごとに実施  4−3−B郷土を知り次世代へ継承する取組み【重点取組み】 ・文化財の保存・活用(標識板の更新等を含む)、デジタルミュージアムによる資料公開及び動画コンテンツの充実に取り組み、学齢期からの郷土学習など、区民に多様な学習機会を提供し、郷土の歴史・文化の次世代への継承を目指します。 取組み内容 文化財標識板の修正・更新 令和6年度 15か所 令和7年度 15か所 令和8年度 全標識板の総点検 令和9年度 次年度以降の修正・更新計画策定 令和10年度 修正・更新 取組み内容 デジタルミュージアム動画コンテンツ数(累計)・システム運用 令和6年度 16本、現行システムの運用 令和7年度 18本、現行システムの評価・検証 令和8年度 20本、新たな技術等を踏まえた運営方法の検討 令和9年度 22本、新システムの要件定義の検討 令和10年度 24本、新システムへの改修 ・地域における文化財保護の担い手を育成し、地域住民が主体となった文化財保護活動の定着を目指します。 取組み内容 文化財ボランティアの育成講座数 令和6年度 5回 令和7年度 5回 令和8年度 6回 令和9年度 7回 令和10年度 7回 4−3−C社会教育の充実【重点取組み】 ・地域団体からの相談に応じて、組織や活動の活性化、人材育成などに関することを支援します。 ・学校を基点に保護者や町会・商店会、地域団体等が連携し、新たな活動を作り出す<共創>を実践できるよう、連携・協働の成功事例となる団体をパネリストにしたシンポジウムを実施するなど、地域コミュニティづくりに取り組みます。 4−3−D青少年教育の推進 ・子どもの権利条約やこども基本法を踏まえ、子ども・若者が安心して学べる機会や地域の活動に参加・参画できる環境整備の充実を目指します。 ・青少年育成団体・企業・NPO・学校等と連携して実施する事業に児童・生徒の声を反映させて見直しながら、子ども・若者の体験活動の機会の拡充を図ります。 4−3−E福祉教育の推進 ・障害のある人の生涯学習を支援し、より豊かな人生を送れるよう「いずみ学級」「けやき学級」「たんぽぽ学級」の事業内容を学級生の意見を聞きながら見直し、ライフステージを通した学習機会を充実します。また、多くの団体等との連携により、運営にかかるボランティアの育成や運営手法の検討に取り組みます。 4−4 地域の教育力の活用 【現状と課題】 本区は、区立小・中学校に学校運営委員会を設置し、地域に開かれた学校づくりを進め、地域とともに子どもを育てる教育を推進してきました。その中で、地域や高校、大学、企業等と連携した教育活動の充実を目指して実施してきました。 しかし、高校や大学、地域、企業等と連携して教育活動を実施する場合、窓口役を担う地域コーディネーターの設置に関し、各学校でばらつきがあること、また、後継者の育成、協働活動を統括するコーディネーターの人材不足などが課題となっています。 4−4−@高校・大学・企業等との連携の推進【重点取組み】 ・区内外の高校・大学・企業等と連携し、双方の教育資源の活用や人的交流を図りながら、子どもたちが自らの可能性に気付き、個性や才能を伸ばしていける学習機会を提供します。 取組み内容 連携事業の実施 令和6年度 連携先の拡充 令和7年度 連携先の拡充、業務委託(企画・運営・広報)を検討 令和8年度 業務委託(企画・運営・広報) 令和9年度 業務委託(企画・運営・広報) 令和10年度 業務委託(企画・運営・広報) 取組み内容 ハローキャリアワークの実施 令和6年度 24回 令和7年度 24回、業務委託(企画・運営・広報)を検討 令和8年度 業務委託(企画・運営・広報) 令和9年度 業務委託(企画・運営・広報) 令和10年度 業務委託(企画・運営・広報) 4−4−A中学校部活動の地域移行の推進(再掲・1―7−Bを参照) 4−4−B中学校部活動の地域連携の強化(再掲・1−7−Cを参照) 4−4−C新・才能の芽を育てる体験学習の充実(再掲・3−5−Cを参照) 4−5 地域社会との協働 【現状と課題】 総合型地域スポーツ・文化クラブは、学校を主な活動拠点として、スポーツや文化活動を通じて様々な世代が集う地域コミュニティの場となっています。 総合型地域スポーツ・文化クラブと学校が連携して、持続的に地域でスポーツや文化活動を楽しむ環境を構築することが求められています。 4−5−@総合型地域スポーツ・文化クラブによるスポーツ・文化活動の促進 ・総合型地域スポーツ・文化クラブは、区内に令和5年12月現在9クラブあり、それぞれ、区民により構成された地域団体として運営されていますが、今後は、オンラインの活用等も含め、時代の変化に合わせた新たな運営形態への転換が必要と考えられます。新たな団体の設立と合わせ、新しい運営形態へのあり方を模索し、各団体の活動の拡充を支援します。 取組み内容 新規設立の支援 令和6年度 1箇所、設立・活動支援 令和7年度 設立・活動支援 令和8年度 設立・活動支援 令和9年度 1箇所、設立・活動支援 令和10年度 設立・活動支援 資料編 1.世田谷区の教育関連データ 1 幼稚園、小・中学校数 令和5年度 幼稚園8園 小学校61校 中学校29校 2 児童・生徒数の推移 区立小・中学校の児童・生徒数は、この5年間で児童は928人、生徒は1,218人増加しています。なお、区立幼稚園の園児数は減少しています。 3 区立小・中学校卒業生進路状況 令和4年度は、児童の61.0%が公立中学校へ進学しています。また、生徒の88.5%が全日制の高等学校へ進学しています。 4 特別支援教育関係 令和5年度の特別支援学級の設置校数は34校で前年度より2校増加、学級数も増加しています。 5 教育相談・不登校支援 令和4年度の教育相談室への来室による相談件数は2,531件で前年度より80件増加しています。 2.世田谷区教育振興基本計画策定委員会 世田谷区教育振興基本計画策定委員会設置要綱 令和4年8月15日 4世教総第141号  (目的及び設置) 第1条 世田谷区が目指す教育目標等の実現に向け、世田谷区教育振興基本計画策定委員会(以下「委員会」という。)を設置し、第2次世田谷区教育ビジョン・調整計画の推進状況を踏まえた検討を行い、「世田谷区教育振興基本計画」を策定する。 (所掌事項) 第2条 委員会は、次の事項について調査検討する。 (1)世田谷区教育振興基本計画の策定に関すること。 (2)その他必要と認める事項。 (組織) 第3条 委員会は、別表1に掲げる委員長、副委員長及び委員をもって組織する。 2 委員会は、策定部会を設けることができる。 (委員) 第4条 委員会に委員長及び副委員長1名を置く。 2 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。 3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。 4 委員は、職務上知り得た情報を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。 (委員会) 第5条 委員会は委員長が招集する。 2 委員長は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求めて、意見若しくは説明を聴き、又は、これらの者から必要な資料の提出を求めることができる。 (庶務) 第6条 委員会の事務局は教育総務課におき、委員会の庶務等を処理する。 (雑則) 第7条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し、必要な事項は、教育長が別に定める。 附則 1 この要綱は、令和4年8月15日より施行する。 2 この要綱は、世田谷区教育振興基本計画の策定日にその効力を失う。 附則(令和5年3月6日4世教総第398号) この要綱は、令和5年4月1日より施行する。 別表1(第3条関係) 委員長 教育長 副委員長 教育委員会事務局教育政策・生涯学習部長 委員 教育委員会事務局学校教育部長 委員 教育委員会教育総合センター長 委員 区立幼稚園長代表 委員 区立小学校長代表 委員 区立中学校長代表 委員 区立幼稚園PTA連絡協議会代表 委員 区立小学校PTA連合協議会代表 委員 区立中学校PTA連合協議会代表 委員 学校運営委員代表(小学校) 委員 学校運営委員代表(中学校) 委員 社会教育委員代表 委員 青少年委員代表 委員 スポーツ推進部長 委員 保健福祉政策部長 委員 子ども・若者部長 委員 世田谷保健所所長 委員 総合支所地域振興課長代表 委員(事務局)教育委員会事務局教育総務課長 3.計画の検討経過 令和4年8月15日 世田谷区教育振興基本計画策定委員会の設置 9月7日〜 児童・生徒へアンケート実施 10月5日 アドバイザリー会議(第1回)オンライン開催 11月16日 アドバイザリー会議(第2回)オンライン開催 12月23日 世田谷区教育振興基本計画策定委員会(第1回)オンライン開催 令和5年5月27日「世田谷区の目指す教育について、みんなで考えてみよう!!」ワークショップ開催(小学5年から中学3年生18名参加) 7月18日 世田谷区教育振興基本計画策定委員会(第2回)オンライン開催 8月22日 令和5年第14回教育委員会へ素案を報告 9月4日 幼・小・中合同園長校長会へ素案を報告(同時に区立小・中学校の教職員からも意見聴取を実施) 9月5日 区議会文教常任委員会へ素案を報告 9月25日〜10月16日 素案に対する区民意見提出手続(パブリックコメント)の実施(同時に小・中学生からも意見聴取を実施) 12月1日 世田谷区教育振興基本計画策定委員会(第3回)オンライン開催 令和6年1月9日 令和6年第1回教育委員会へ案を報告 1月12日 幼・小・中合同園長校長会へ案を報告 2月5日 区議会文教常任委員会へ案を報告 3月22日 令和6年第6回教育委員会にて計画策定予定    4.子どもたちの意見 アンケートの実施 アンケート実施概要など 1.実施期間 令和4年9月7日(水)〜9月21日(水) 2.実施校【小学校3校】用賀小学校、船橋小学校、下北沢小学校【中学校2校】桜丘中学校、東深沢中学校、1学年1クラス(小18クラス、中6クラス)に依頼 3.実施手法 MicrosoftFormsを使用、二次元コードを児童・生徒のiPadのカメラで読み込んで記述式で回答 アンケート内容 質問1みんなが楽しいと思う学校は、どんな学校ですか。 また、どんな学校にしたいですか。(共生社会(違いを認め合う)に関する視点)(学校生活や学習内容、教育環境面に関する視点)   質問2みんなが幸せになるためには、なにが必要だと思いますか。(ウェルビーイングに関する視点) 質問3大人になったら、どんなことをしたいですか、してみたいですか。(目標設定、挑む・挑戦する意欲に関する視点) アウトカム(仮称)世田谷区教育振興基本計画の骨子(教育目標・基本方針)の案を策定 アンケート結果 小学1年生88名実施、回答者数55名、回答率63パーセント 小学2年生89名実施、回答者数89名、回答率100パーセント 小学3年生85名実施、回答者数64名、回答率75パーセント 小学4年生106名実施、回答者数104名、回答率98パーセント 小学5年生107名実施、回答者数62名、回答率58パーセント 小学6年生104名実施、回答者数60名、回答率58パーセント 中学1年生62名実施、回答者数58名、回答率94パーセント 中学2年生58名実施、回答者数41名、回答率71パーセント 中学3年生64名実施、回答者数55名、回答率86パーセント 合計763名実施、回答者数588名、回答率77パーセント アンケート結果はテキストマイニング(英: text mining)で集計した。テキストマイニングは、文字列を対象としたデータマイニングのこと。通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析することで有用な情報を取り出す、テキストデータの分析方法。 ワークショップの開催 1.実施日時 令和5年5月27日(土曜日)午前10時から午後4時まで 2.場所 教育総合センター たいよう  3.参加者18名(小学生7名、中学生11名) 4.テーマ世田谷区の目指す教育について、みんなで考えてみよう!! 5.サブテーマ(仮称)世田谷区教育振興基本計画の策定に向けて     6.グループワークの実施(1)理想とする学校づくりに向けて、世田谷の大人への提言「学校・先生へ」「保護者へ」「自分たちへ」をグループ内で各自の考えた内容を発表し、グループとしての提言を2つから3つに絞った。 学校・先生へ A@他校生徒と交流できる場がほしいA失敗してもゆるしてほしい B@学校独自の郷土料理を給食に出してAタブレットやクイズを活用してほしいBみんなで仲良く話し合う時間がほしい C@キシリトールガムの導入Aあいまいな校則をなくしてほしいB知りたいことをすぐに調べさせて 保護者へ A@他人と比べて「こうしろ!」と言わないでA楽しい会話の途中で空気を壊さないで B@お小遣いを増やしてA不機嫌にならないで C@子ども主体の活動をさせてA対等に話し合えるようにして 世田谷区へ A@子どもの意見を直接言える会を増やして A学校内の問題を後回しにしないでB遊ぶ場所を増やして B@宿泊行事を増やしてA遊園地を作ってB集団下校したい C@AI導入A自転車道を増やしてほしいB子どもが交流できる場所を増やして 自分たちへ A@もっと先生の良いところを見つけようA周りのせいにしないで自分をまず見つめる B@政治教育に自分たちも参加したいA自分たちの願いを発信してほしい C@ルールを守ろうAいじめをしない (2)世田谷区の教育の「良いところ」、「改善してほしいところ」をグループでディスカッションしながら意見を分類し、発表しました。 Aグループ 学校や先生について ・先生が熱心、iPadの授業を増やしてほしい、校外学習を増やしてほしい 校則 ・キッズ携帯・スマホの容認、靴の色や形状を自由にしてほしい 給食 ・セレクト給食の頻度を増やしてほしい、給食が美味しい 部活 ・活動時間を延ばしてほしい ・毎週、練習試合がしたい 施設 ・エアコンを直してほしい Bグループ 学校や先生について ・土曜授業をなくしてほしい、泊りの行事を増やしてほしい、先生の給料を増やしてほしい、地域と交流する機会を増やしてほしい ・iPadの活用はすばらしい。でも、クラスメートと連絡できるようにしてほしい 校則 ・校則を緩くしてほしい(自転車通学、髪型、髪色、靴下の色等) 部活 ・スポーツ施設の常設 施設 ・遊具を増設してほしい、校庭で転んでも痛くないようにしてほしい Cグループ 学校や先生について ・あいまいな校則をなくしてほしい ・30分授業→休み時間を長くしてほしい ・AIを活用したい、宿題量を3倍にしてほしい、もっと遠足に行きたい 給食 ・栄養より味を優先してほしい、キシリトールガムの導入 施設 ・学校や公園の施設を増やしてほしい、プールをきれいにしてほしい