「わたしの暮らしを支えるサービス。介護保険サービス、介護保険外サービス。」について。 介護保険サービスを利用するには介護認定を受ける必要があります。まずは、お近くのあんしんすこやかセンターやケアマネジャーにお問い合わせください。 本人が出かけるサービスでは、通所介護、いわゆるデイサービス、認知症対応型通所介護、通所リハビリテーション、いわゆるデイケアがあります。 家に来てくれるサービスは、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問入浴介護などがあります。 泊まりのサービスはショートステイがあります。 通所と訪問と短期入所を一体化したサービスとして、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護があります。 自宅以外で暮らす場所として、介護老人保健施設、いわゆる老人保健施設、認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホーム、有料・老人ホーム、介護老人福祉施設、いわゆる特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、養護老人ホームなどがあります。 生活の「困った」を解決するには、介護保険以外のサービスを活用することもできます。 自己負担が発生することもありますので、まずはあんしんすこやかセンターへお問い合わせください。世田谷区では、各種サービス、制度が掲載された「せたがやシルバー情報」を、65歳以上の方がいる世帯へ3年ごとに送付しています。 「これからのそなえ。生活を続けるための工夫」について。 2021年に、講談社プラスアルファ新書から出版された丹野トモフミさんの著書、「認知症の私から見える社会」から、生活を続けるための工夫を抜粋して紹介します。 まずは、おでかけの工夫を3つ紹介します。1つ目、家の鍵や財布など大切な物はカバンに紐で繋いでおくと良いでしょう。2つ目、複数社の交通系ICカードをカバンや服に入れておくと、どれかは見つけられるので戸惑いません。3つ目、体から離さないようにリュックや肩から下げるカバンを使いましょう。 次に、健康管理の工夫を3つ紹介します。1つ目、保険証、診察券、お薬手帳をひとつの入れ物に入れておきましょう。2つ目、薬を飲む時間に携帯電話のアラームをセットしておきましょう。3つ目、毎日飲む薬を一包化して日めくりカレンダーに貼り付けておきましょう。 次に、予定の管理の工夫を2つ紹介します。1つ目、今日の予定をホワイトボードに書いて、終わったらチェックしましょう。2つ目、自分専用の大きなカレンダーに予定を記入しておきましょう。 次に、普段の生活の工夫を2つ紹介します。1つ目、書類は透明な袋やファイルに入れましょう。2つ目、郵便局、銀行、旅行代理店に認知症であることを伝えておくと良いでしょう。 以上が丹野トモフミさんの生活の工夫です。 また、行方不明時の備えとして、元気な時から「希望をかなえるヘルプカード」に連絡先を書いておき、外出時に携帯する習慣をつけましょう。行方不明時や災害時に役立ちます。 もしも、家族や身近な人が行方不明になった場合は、ためらわずに警察や高齢者安心コールへ連絡しましょう。高齢者安心コールの電話番号は03-5432-1010です。早めの連絡が発見につながります。周囲に気になる方がいれば勇気を出して声を掛けてみましょう。 他の備えを3つ紹介します。 1つ目は、高齢者見守りステッカーです。杖や靴などにステッカーを貼ることで、緊急時に身元確認ができます。問合せは、高齢者安心コールです。2つ目は、せたがや一人歩きS O S ネットワークです。認知症の人も地域へ安心して出かけられるように「地域のネットワーク」があります。問合せは、社会福祉法人、世田谷区社会福祉協議会、地域社協課調整係です。3つ目は、希望をかなえるヘルプカードです。自分がやりたいことや続けたいことなどを安心してスムーズにできるよう、本人が使うカードです。行方不明を防いだり、災害時にも役立ちます。 次に、安心できる暮らしのための権利擁護に関係する備えについて紹介します。 1つ目は、あんしん事業と呼ばれている、地域福祉権利擁護事業です。判断力が十分でない人や、生活に不安のある高齢者、障害者の自宅を職員が定期的に訪問し、福祉サービスに関する相談を受けたり、預貯金の払い戻し等の支援、みまもりを行う事業です。 2つ目は、成年後見制度です。判断力が十分でなくなっても自分らしく安心して暮らせるように、本人の権利を守り、法的に支援する制度です。あんしん事業と成年後見制度の詳細は成年後見センターえみぃにお問い合わせください。電話番号は03-6411-3950です。 3つ目は、自動通話録音機です。詐欺防止のため、呼び出しの音がなる前に相手に警告メッセージが流れ、通話内容を録音します。詳細は世田谷区地域生活安全課にお問い合わせください。電話番号は03-5432-2267です。 4つ目は、世田谷区消費生活センターです。悪質商法などの契約に関する相談や、消費生活全般にわたるさまざまな事業を行っています。65歳以上の方専用電話番号は03-5486-6501です。相談専用電話は03-3410-6522です。 「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」をやってみましょう。これは、認知症なのかな、と気になるときに、自分で簡単にチェックできるものです。ご家族や、身近なかたがチェックすることもできます。 まず、日常生活にまつわる、全部で10個の質問について、1点から4点までの点数がつけられている4つの選択肢の中から、もっともあてはまるものに、1つチェックをします。チェックが終わったら、その合計点数を出してください。それでは、はじめます。 チェック1、財布や鍵など、物を置いた場所がわからなくなることがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック2、5分前に聞いた話を思い出せないことがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック3、まわりのひとから「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック4、今日が、何月何日か、わからないときがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック5、言おうとしている言葉が、すぐに出てこないことがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック6、貯金の出し入れや、家賃や公共料金の支払いは一人でできますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック7、一人で買い物に行けますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック8、バスや電車、自家用車などを使って、一人で外出できますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック9、自分で掃除機や、ほうきを使って掃除ができますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック10、電話番号を調べて、電話をかけることができますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 質問は以上です。合計点数が20点以上の場合は、認知機能や社会生活に支障が出ている場合があります。お近くの医療機関やあんしんすこやかセンターに相談してみましょう。 気付きチェックリストの解説です。 一般的な認知症では、まず記憶力に影響がでてきます。具体的には、新しいことが記憶しにくくなり、直前に見聞きしたことを思い出せないなどです。これらはゆっくり始まり、自分では気づくのが難しく、まわりから指摘されることもあります。このチェックリストは、認知症初期に起こりやすい脳機能の変化を客観的にとらえるのに役立ちます。また高齢者の場合、認知症以外の脳や身体の病気によって、一時的に認知機能に影響が生じる場合もあります。このような病気は早めの治療が必要であり、早めにわかることでさまざまな対処ができます。高齢になったら、不安を不安のままにしないことが大切です。まずは年に一度くらい、このチェックリストをやって、その結果をかかりつけ医に見てもらうとよいでしょう。 認知症にはどんなタイプがあるのでしょうか? 認知症を引き起こす病気を大きく分けると、神経変性疾患、脳血管障害、その他の原因の3つに分類されます。神経変性疾患による認知症は、アルツハイマー型認知症、レビーしょうたいがた認知症、前頭側頭型認知症の3つのタイプがあります。アルツハイマー型認知症は、神経変性疾患の中でもっとも多いタイプで、脳にアミロイドベータなどが溜まることで脳の働きが低下します。記憶障害、見当識障害、実行機能障害などが起こります。レビーしょうたいがた認知症は、現実には無いものが見える幻視や、手足のふるえや立ちくらみ、歩行障害、動作が鈍くなるなどのパーキンソン症状、睡眠時に大きな声や体の動きがあるなど、睡眠症状が出現しやすくなります。前頭側頭型認知症は、もの忘れよりも、周りの人から見ると、性格の変化や社会的な常識とは異なる行動が目立つのが特徴です。同じ行動を繰り返すことも多いです。難病指定が受けられます。 脳血管障害により起こる認知症は、血管性認知症です。脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などにより脳の血流が悪くなることで、脳の働きが低下します。部位に応じて手足の麻痺や飲み込みの障害などとともに、記憶や判断力の障害などが起こります。 そのほかにも、認知症が現れる病気は、たくさんあります。例えば、神経ベーチェット、多発性硬化症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アルコール依存症、ビタミンBワン・B12欠乏症などです。これらは、検査を実施することで判明することがあります。 『わたしが大切にしたいことメモ』、を紹介します。 わたしらしく、より良く生きていくために、元気な頃から、そして認知症になってからも わたしが大切にしたいことを、具体的に記録しておきましょう。 それでは、日付を記録したうえで、大切にしたいことをあげてみましょう。 1、楽しみ・好きなこと 2、好きな食べ物 3、好きな音楽 4、行きたいところ 5、大切な人 6、大切なもの 7、大切な思い出 8、これからも続けたいこと 9、これからやってみたいこと また、あなたが大切にしたいことも自由に記録してみましょう。 このページの説明は、これで終了です。 裏表紙です。 裏表紙は、あんしんすこやかセンター一覧です。 世田谷区内には、28地区ごとに、あんしんすこやかセンターがあります。認知症に関する、様々な相談は、お住まいの地区のあんしんすこやかセンターへご相談ください。相談にいらっしゃる際には、どのような生活を望んでいるのか、お聞かせください。 この冊子に関するお問い合わせは、世田谷区認知症在宅生活サポートセンターまでお願いします。電話番号は、03-6379-4315、FAX番号は03-6379-4316です。 以上で、冊子の内容説明を終わります。