この冊子は、世田谷区が発行している、認知症あんしんガイドブックの、別冊です。 タイトルは、「わたしらしく、よりよく生きていくために」、です。 「自分も認知症かな?」とちょっと不安なかたや、認知症と診断されて、「この先、どんなふうに暮らしていけばいいのだろうか」と悩んでいる方へ。同じような境遇でも、これまでと変わらず、前向きに生きている方がたくさんいることを知ってほしい。この冊子には、そんな情報が詰まっています。 1ページ目です。 1ページ目と、2ページ目にわたって、「認知症のご本人に話を聞きました」と題して、4つのQ&Aで、認知症のご本人のメッセージを紹介しています。 1つ目のクエスチョンは、「わたしらしく暮らしているのは、どんなときですか?」です。 澤田佐紀子さんは、「ダンスをしているとき!ダンス仲間は、私が昔からのダンスは覚えているけど、新しいのは覚えられないとわかってくれているから、「自由に踊ってね」って。私の周りには本当にいい人たちばかり。」と話します。 林信之さんは、「絵をかいているとき。何度もかいては消し…。こんな趣味を晩年になって与えられるとは本当に幸福なこと。感謝して毎日過ごしている。85歳からかき始めた絵を、死ぬ間際までかき続けたい。」と話します。 はなさんは、「花を育てているとき。園芸サークルの仲間が、球根の植え替えの時期になると声をかけてくれる。自宅の庭で花を育てるのも好き。枯らしてしまう事もあるけど、それでも好きなことをしている時間が楽しい。」と話します。 2つ目のクエスチョンは、「認知症への不安は?」です。 ヌキタ、タダヨシ、さんは、「正直に言うと、みんなそうだと思うんだけど、ものすごくショックなんだよね。冗談じゃない、なんでよりによって俺なんだって。でも乗り越えられるネットワークがあったのがよかった。」と話します。 澤田佐紀子さんは、「祖母も母も認知症だったから、大体こんなもんかなって自分でわかる。こうなっちゃったものは今さら消えないので、今の状態の中で、いかに楽しく生きるか考えています。」と話します。 2ページ目です。 1ページ目に引き続き、Q&Aで、認知症のご本人のメッセージを紹介します。 3つ目のクエスチョンは、「友達や仲間とはどのように過ごしていますか?」です。 澤田佐紀子さんは、「毎日、お昼ごはんは友だちと一緒に作って食べたり、外で食べたりするから、寂しいと感じることはありません。」と話します。 ヌキタ、タダヨシ、さんは、「僕を支えてくれるのは、まず家族。そして現在利用している、かんたきと呼ばれる、看護小規模多機能型居宅介護や、訪問看護の職員。あとはかかりつけ医には、お世話になりっぱなし。それから、サンドイッチ屋、美容院、コンビニ、ジム、公園、喫茶店、これは僕が個人的にお世話になっているところ。ネットワークをみんなで作り合うことが、これからの社会を作る上でのポイントになると思う。」と話します。 最後のクエスチョンは、「あなたの住むまちのよいところを教えてください!」です。 ヨシさんは、「道がわからなくなっても、すれ違う若者たちがスマートフォンをパッと出して道を調べてくれる。そんなまちだから、安心して毎日散歩に出かけられる。」と話します。 はなさんは、「道で困っていたら、「どうかしましたか?」って寄ってきてくれたり、荷物をたくさん持っているときも「持ちましょうか?」って声をかけてくれる。優しいまちに住んでいるから、怖がらずに暮らせている。」と話します。 3ページ目です。 「認知症カフェ」について説明しています。 認知症カフェとは、認知症の本人や家族、地域の人たちが身近な場所で、認知症の有無に関わらず交流ができる所です。世田谷区には約40か所あります。専門のスタッフがいるので、話しづらいことも個別に相談できます。 ここでは4つの認知症カフェを紹介します。 1つ目は、経堂地区の「オレンジカフェKIMAMA」です。運営者は、「中学生もスタッフの一員!もの忘れが気になる方や認知症について知りたい方、地域の人たちとの交流を楽しみたい方など、どなたでも気軽に参加していただけます。」とメッセージを寄せています。 2つ目は、二子玉川地区の「ほっとカフェ2号店」です。参加者は、「コロナで外出する機会が減ってしまいましたが、テレビと会話するよりも、人と話すことが脳の活性化につながっています。」と語ります。 3つ目は、松原地区の「オレンジカフェせたOHA」です。運営者は、「明るく開放的なカフェでゆっくり過ごせます。誰にとっても心地いい、い場所でありたいと思っています。ふらーっと立ち寄ってください。」とメッセージを寄せています。 4つ目は、砧地区の「キヌタdeカフェ」です。運営者は、「カフェで好きなドリンクを飲みながらゆっくりおしゃべりしています。安心して過ごせる、い場所になっていますので、お気軽にお越しください。」とメッセージを寄せています。 4ページ目です。 認知症本人交流会である、「楽しく語ろう、つどいの会、いくつになっても仲間と元気に」について説明します。 2か月に1回、世田谷区内のさまざまな場所で、認知症のご本人や、もの忘れが気になってきた方々が交流する場です。参加者同士でざっくばらんに話しあうこともあれば、季節に応じて散歩をしたり、まちにある古本屋で好きな本を探すこともあります。1人では行き慣れない場所でも、誰かと一緒であれば安心です。 ご興味がある方は、認知症在宅生活サポートセンター(電話番号 03-6379-4315)へお問合わせください。 参加者の藤原郁子さんからのメッセージを紹介します。「この交流会が私にとって一番安らぐ場所です。同じ境遇の方から話を聞くと、とても参考になるし、ありのままに体験や思いを話して、「みんな頑張ってる?頑張っていこうね!」と語り合えるところです。」 5ページ目です。 令和2年に施行された、世田谷区、認知症とともに生きる希望条例について説明しています。(以下、希望条例といいます) おとなでも、こどもでも、誰もが無関係ではないのが、認知症です。ひとりひとりが、希望を持って自分らしく生き、認知症になってからも安心して暮らせるまちを、区民みんなで一緒につくっていくために、世田谷区はこの条例をつくりました。 希望条例では、4つの視点を大切にしています。1つ目は、いままでの認知症の考え方を変える。2つ目は、みんなが、この先の「そなえ」をする。3つ目は、ひとりひとりが希望を大切にしあい、ともに暮らすパートナーとして支えあう。4つ目は、認知症とともに今を生きる本人の希望と、あたりまえに暮らせること、いわゆる権利と人権を、いちばん大切にする。 次に、希望条例をもとに行なっている活動を紹介します。 まず、講演会や本人の出演動画では、認知症とともに生きる本人の声を届けています。令和5年2月の講演会では、蛭子能収さんに、令和2年12月の講演会では、長谷部やすじさんに登壇して頂きました。林信之さんの出演動画も配信しています。 また、地域に暮らす様々な人たちと、本人の声をもとに行動を起こす「アクションチーム」が区内各地で結成されています。例えば、「給田お買い物マルシェ」や「上野毛ラジオ体操」、などがあります。詳細は、最寄りのあんしんすこやかセンターまでお問い合わせください。区のホームページの「あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)一覧」のページに掲載しています。 あなたも、どうぞご一緒に。 他にも世田谷版認知症サポーター養成講座、通称アクション講座も開催されています。小学校や大学で開催されたアクション講座では、藤原郁子さんやヨシさんといった認知症本人が、自身の体験を語るなどして、活躍しています。 6ページ目です。 認知症の症状や相談先について説明しています。 認知症とは何でしょうか?認知症とは暮らしの障害です。脳の病気やさまざまな原因によって脳の働きが低下し、日常生活や社会生活を送るうえで支障が出てくる状態です。 年をとれば、誰でも認知症になる可能性があり、認知症の原因となる病気は、70種類以上もあります。「認知症=もの忘れ」と思われがちですが、もの忘れ以外の症状が見られることもたくさんあります。詳細は、認知症あんしんガイドブックの本冊をご確認ください。 認知症かもしれないと思ったら、まずは、お住まいの地区の地域包括支援センターである、「あんしんすこやかセンター」 にご相談ください。あんしんすこやかセンターでは「もの忘れ相談」や、自主グループなどの地域サービス、介護保険など、様々な相談を無料で受け付けています。区のホームページの「あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)一覧」のページになります。 最後に、認知症あんしんガイドブックについて紹介します。 世田谷区では、認知症に関する様々な情報を掲載した「認知症あんしんガイドブック本冊、別冊、資料編」の3冊構成の冊子を作成しました。お近くのあんしんすこやかセンターや、各地域の総合支所保健福祉課で受け取ることができます。 この冊子は、認知症あんしんガイドブックの別冊です。 お問い合わせは、世田谷区認知症在宅生活サポートセンターまでお願いします。電話番号は、03-6379-4315、FAX番号は03-6379-4316です。 以上で冊子の内容説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。