この冊子は、世田谷区が発行している、認知症ケアパス付き、認知症あんしんガイドブックです。 認知症あんしんガイドブックとは、認知症について知りたい方、認知症かもしれないと思っている方、認知症と診断された方や そのご家族などに向けて、認知症に関する様々な情報を掲載している冊子です。本冊、別冊、資料編の3冊構成となっており、これは認知症ケアパス付きの本冊です。 タイトルは、「わたしらしく、よりよく生きていくために」です。 認知症ケアパスとは、認知症の発症前から発症、進行とともに変化していく状態に合わせて、「いつ、どこで、どのような」、地域や医療、介護サービスが受けられるのか、大まかな目安を示したものです。 まず始めに冊子の構成について、説明します。大きさはA4サイズで、両面刷りとなっています。ページ数は、表表紙、本編22ページ、裏表紙、の合計24ページです。 表表紙の説明はこれで終了です。 1ページ目です。 始めに、この冊子を手にしたあなたにむけてのメッセージです。 不安な思いをひとりで抱え込まないでください。ちょっとした疑問でも構わないので、誰かに話してみることから始めましょう。この冊子では、3つのポイントについてお伝えしています。 1つ目は、認知症になっても自分らしく希望をもって暮らし続けられるということです。 2つ目は、相談できる場所や方法は沢山あるということです。 3つ目は仲間と出会い、思いや情報を共有することが大切ということです。 1ページの説明は、これで終了です。 2ページ目です。 認知症の本人と家族からのメッセージを紹介します。 始めに認知症本人のヌキタタダヨシさんのメッセージです。 認知症になって思うことは、なんで俺なんだということ。それでも自分なりに考えて動いてきました。 みなさんに伝えたいことは、「やりたいことはやりたいときにしておく。」認知症になってもやりたいときにやりたいことをしていきましょう。それから、自分の周りのネットワークをどのように構築するか。自分を支えてくれる人の輪が大きければ大きいほどいいと思います。 続いて、認知症本人の家族である武藤美沙さんのメッセージです。 この冊子を制作するにあたり、認知症の母と参加させていただきました。物を忘れていくことは当事者にも家族にも心配なことですが、認知症になってもお住まいの地域で様々なサポートが用意されています。この冊子を手に取ったことをきっかけにして、1人で悩まず、まずはご相談を。私のように、多くの方々が手を差し伸べてくれることに驚くと思います。皆様が今までと変わらない幸せな暮らしができることを心から願っています。 以上が認知症の本人と家族からのメッセージです。 世田谷区では、「認知症とともに生きる希望条例」の取組みを積極的に進めています。詳細は「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」のパンフレットをご確認ください。区のホームページの「世田谷区認知症とともに生きる希望条例(令和2年10月施行)」のページに掲載しています。 2ページの説明は、これで終了です。 3ページ目です。 3ページと4ページにわたり、目次、兼、認知症ケアパスとして、認知症の進行状況に合わせて、利用できるサービスの目安を一覧表にしています。3ページ目には、認知症発症前から認知症初期に利用できるサービス、4ページ目には、生活に支障が増える認知症中期から、全身状態が低下する認知症後期に利用できるサービスの目安が掲載されています。 目次は8個の項目に分かれています。 1番目は「わたしの日常」という項目です。5ページから8ページで説明します。 2番目は「認知症とは」という項目です。9ページで説明します。 3番目は「最初の相談」という項目です。10ページで説明します。 4番目は「受診について」という項目です。11ページ、12ページで説明します。 5番目は「認知症と診断されたら」という項目です。13ページ、14ページで説明します。 6番目は「仲間づくりができる場所」という項目です。15ページ、16ページで説明します。 7番目は「私の暮らしを支えるサービス」という項目です。17ページで説明します。 8番目は「そなえ」という項目です。18ページ、19ページで説明します。 3ページの説明は、これで終了です。 4ページ目です。 3ページと4ページにわたり、目次、兼、認知症ケアパスとして、認知症の進行状況に合わせて、利用できるサービスの目安を一覧表にしています。各項目のページ番号は、3ページでご案内しています。 一覧表のほかに、4ページには、3つの項目を掲載しています。 1つ目は、「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」です。20ページで説明します。 2つ目は、「気づきチェックリストの解説」です。21ページで説明します。 3つ目は、「私が大切にしたいことメモ」です。22ページで説明します。 4ページの説明は、これで終了です。 ここは、5ページ目です。 5ページから8ページで、二人の認知症本人の日常を紹介します。 5ページ、6ページのタイトルは「わたしの日常(Aさんの場合)」です。 Aさんは「仲間と毎日楽しく過ごしたい。」という希望をもって生活しています。 診断に至った経緯 家族に受診を勧められました。最初、家族に「もの忘れが増えたみたい。病院に行ったほうがいいよ。」と言われたときは驚きましたが、お互いの安心のために受診しました。 病院を受診してみてどうでしたか? いろいろ検査されて訳も分からず…という感じでした。自分はまだがんばれる、と思うこともあります。いま通っている病院は、先生が親切だから安心です。 普段はどのように過ごしていますか? 毎日、運動をかねて買い物に出かけています。それ以外にも、体操に出かけたり、知り合いと一緒に近所の公園でグラウンドゴルフを楽しんでいます。月に1回はあんしんすこやかセンターの体操にも出かけています。友達も自分の状況を分かってくれているので、出かけようと誘ってくれたりします。いざというときには安心です。 ここでポイントとして、フレイル対策についての説明をします。 タイトルは「元気に暮らし続けるために3つの柱でしっかりと!」です。 フレイルとは加齢にともない、体力や気力が低下し、食欲や活動量が低下して虚弱になっていく状態のことを言います。 3つの柱の1つ目は社会参加です。1日1回以上は外出をして、週1回以上は友達との交流を心がけましょう。2つ目は身体活動です。たっぷり歩き、ちょっと頑張って筋トレにチャレンジしましょう。3つ目は栄養です。バランスの取れた食事、定期的な歯科健診でお口の健康を維持しましょう。健康長寿のそなえとして、社会参加、身体活動、栄養が大切です。一緒に取り組んでみませんか。 5ページの説明は、これで終了です。 6ページ目です。 6ページはAさんが生活で困っていることに対し、どんな対処法や工夫点があるか紹介します。 鍵や携帯電話をなくしてしまう場合は、音で気づくように鈴をつけたり、カバンに鍵や携帯電話を結びつけてみましょう。忘れ物防止用のスマートタグをつけるのも有効です。 薬を飲んだか忘れることがある場合は、携帯電話のアラームや服薬カレンダーを使ってみましょう。他にも服薬ボックスや服薬支援ロボットなど、服薬を支援する道具があります。 だんだんと料理がおっくうになってきた場合は、市販の総菜や料理キット、配食サービスなどを利用してみましょう。 約束を忘れることがある場合は、ひとつのカレンダーに予定を書いたり、カレンダーをシンプルで見やすいものにしてみましょう。メールやライン、ファクシミリなど履歴が残る方法で連絡し合うのも良いでしょう。 帰り道がわからないことがある場合は、「希望を叶えるヘルプカード」や、周りの人に気付いてもらう「ヘルプマーク」を活用したり、事前に周囲に声かけをしたり、相談をしてみましょう。また、GPSの機能が付いた携帯電話や時計、靴などの、外出を応援する機器を活用してみましょう。「高齢者見守りステッカー」を活用する方法もあります。希望をかなえるヘルプカードや見守りステッカーは、19ページで詳しく解説しています。 次に、在宅療養・ACPガイドブックについての説明をします。在宅療養・ACPガイドブックのタイトルは「ライフ これからのこと」です。在宅療養・ACPガイドブックとは、もしもの時に受けたい医療やケアを身近な人と話し合うための冊子です。 在宅療養・ACPガイドブックを利用したAさんからのメッセージを紹介します。「いつまでもわたしらしく暮らしていきたい。そんな気持ちを誰かに伝えるなんて考えもしなかったです。今は自分の気持ちを誰かと共有するのが当たり前になっています。自分のことを振り返る時間になってとても良かったです。」 6ページの説明は、これで終了です。 7ページ目です。 7ページ、8ページのタイトルは「わたしの日常(Bさんの場合)」です。 認知症と診断されると、ひとりでは家で暮らしていけないと考えていませんか。地域の様々な支えや介護保険サービスなどをうまく活用し、ひとり暮らしを続けている方がたくさんいます。 Bさんは、「お隣さんと食事をしながら話すことが楽しみです。毎朝の薬の確認、デイサービスへ行くための準備、買い物、掃除、洗濯などの家事のために訪問介護サービスを利用しています。デイサービスでは友人との交流やレクリエーションに参加して活動的に過ごしています。」と話します。 Bさんの1週間の流れは、服薬確認で毎朝、家事支援で週2回日中、ヘルパーが訪問してくれます。週3回はデイサービスに行って、話をしたり、活動に参加して元気をもらっています。お隣さんとは一緒に食事やカラオケを楽しみ、家族とは定期的に会ったり出かけたりしています。 Bさんの場合、サービスにかかる費用はどれくらいでしょうか。Bさんは要介護2で、介護保険の負担割合は1割です。毎朝15 分の訪問介護、週2回60分の訪問介護、週3回デイサービスを利用すると全部で約4万円前後になり、これにデイサービスでの食事代が実費で加わります。 7ページの説明は、これで終了です。 8ページ目です。 Bさんの日常のつづきです。 ひとり暮らしをするきっかけは? 以前は世田谷区外でひとり暮らしをしていましたが、生活の困りごとが増えたので、家族が住む世田谷区に引っ越してきました。その時は、私も家族も施設を考える余裕がなく、金銭的にも難しかったので、ひとり暮らしを選びました。 実際にひとり暮らしをして思ったことは? 介護保険サービスをうまく活用することで、自分の時間を有意義に使えています。 金銭的にも、自分の年金の範囲内でやりくり出来ています。お隣さんとの交流や家族も大きな支えになっています。認知症と診断されても周りの支えがあるから、老人として自律した生活を送れています。 また、B さんは「使えるサービスを使って、好きなカラオケで毎日の調子を試したり、日々のことを手帳に書いたり、生きている楽しみを見つけるようにしています。」と語っています。 Bさんの家族は「介護保険サービスを使う前はたくさんの情報がありすぎて、必要な情報を得ることが難しかった。ですが、本人の状態に合わせてサービスを調整してくれるケアマネジャーや、周囲の支援者に支えられて、本人が望む暮らしを継続することができました。」と語っています。 次に、Bさんの生活のワンポイントを 2つ紹介します。1つ目は「毎日、日記をつける」です。診断直後の B さんは、記憶力の低下によって思い描いた生活が送れずにイライラすることがありました。日記をつけ始めてからは、忘れていることを自分の文字で確認ができるので、納得して前に進めるようになりました。2つ目は「ひとり暮らしだからと、全部を自分でやろうとせず、誰かに助けを求める。」です。Bさんの生活のモットーは「老人として自律した生活を送ること」です。できることは自分で行い、難しくなってきたことは周囲の人に気軽にお願いをしてきたことで、応援してくれる人も増えてきました。 8ページの説明は、これで終了です。 9ページ目です。 9ページ、10ページのタイトルは、「認知症とは何ですか?」です。 認知症とは、暮らしの障害です。脳の病気やさまざまな原因によって脳の働きが低下し、 日常生活や社会生活を送るうえで支障が出てくる状態です。「認知症=もの忘れ」 と思われがちですが、もの忘れ以外の症状が見られることもたくさんあります。 認知症はどんな経過をたどるのでしょうか?  認知症の症状や経過は、 一人ひとり違います。 一般的に認知症の症状は長い年月をかけて緩やかに進行すると言われています。急激に状態が変化した場合は、ほかの病気が影響していたり、 本人を取り巻くさまざまな環境によるストレスで症状が強く見られることもあります。早い段階から認知症について正しい知識を学び、備えていきましょう。 9ページの説明は、これで終了です。 10ページ目です。 このページは、「最初の相談」についてです。「認知症かもしれない。」と思ったら、どこに相談したらいいでしょうか? まずは、お住まいの地区の「あんしんすこやかセンター」にご相談ください。世田谷区では、地域包括支援センターのことを「あんしんすこやかセンター」と呼んでいます。あんしんすこやかセンターでは、認知症に関する 「もの忘れ相談」 を行っています。その他、自主グループなどの地域の取組みや介護保険、保健福祉サービスなど、さまざまな相談を無料で受け付けています。 この冊子の裏表紙にあんしんすこやかセンターの一覧があります。区のホームページの「あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)一覧」のページに掲載しています。 世田谷区の認知症関連事業として、「もの忘れチェック相談会」があります。認知症が疑われる方やそのご家族を対象に、医師と個別に相談できる予約制の相談会です。また、「認知症初期集中支援チーム事業」もあります。認知症または、認知症疑いの方やご家族を対象に、医療・福祉の専門職からなる「認知症初期集中支援チーム」が、6ヶ月程度、定期的に家庭訪問し、認知症に関する正しい情報提供のほか、認知症の進行や、生活、介護に関する心理負担の軽減、適切な医療、介護サービス利用などの支援体制を作ります。 また、「高齢者安心コール」では日常生活の困りごとや、見守りに関する相談を24時間365日受け付けています。相談内容に応じて電話訪問員による電話訪問サービスやボランティアによる訪問援助サービスがあります。高齢者安心コールの電話番号は03-5432-1010です。FAX番号は03-5432-1030です。 10ページの説明は、これで終了です。 11ページ目です。 11ページ、12ページは「受診について」の内容で、タイトルは「病院について。早めの受診をお勧めします。」です。 認知症について、どこの病院に相談するとよいでしょうか? まずは、普段の様子を知っている、かかりつけ医にご相談下さい。 必要に応じて、かかりつけ医が専門の医療機関をご案内します。かかりつけ医がいない場合は、一般的には、神経内科や精神科、脳神経外科などで診断を受けられます。「もの忘れ外来」や「認知症外来」と表記している医療機関もあります。 世田谷区には、「世田谷区もの忘れ診断地域連携」という、地域の身近な病院と、専門医療機関である、もの忘れ診断ネットワーク病院が連携して、専門的な検査や治療などにつなげる仕組みがあります。 また、世田谷区内にある、認知症疾患医療センターとして、地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立松沢病院、認知症疾患医療センターがあります。代表電話番号は03-3303-7211です。 ここでポイントとして、認知症サポート医の説明をします。国や東京都による、適切な認知症診療の知識や技術などを習得する研修を受講した医師を「認知症サポート医」といいます。認知症サポート医の一覧は、ホームページ「とうきょう認知症ナビ」 に掲載しています。 11ペーの説明は、これで終了です。 12ページ目です。 「早めの受診」がいいのはなぜでしょうか? 早めの受診をお勧めする理由は、早めの治療や体調管理で症状が改善することがあるからです。治療が可能な病気が見つかることもあります。認知症と似た症状が出る病気は、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、ビタミンB1、B12欠乏症、アルコール依存症などがあります。 受診するとき、医師に伝えるポイントがあります。日ごろ気がかりに感じていること、気になり始めた時期やきっかけ、具体的な様子や場面、更に、生活リズム、食事、外出や友人との交流など以前の生活と今の生活で変わった事、過去の病歴などを伝えましょう。あらかじめ伝えたいことや医師に聞きたいことをメモしておくとよいでしょう。 また、若くても認知症になることがあります。65歳未満で発症する認知症を、「若年性認知症」といいます。本人が働き盛りであり、家庭や社会で重要な役割を担っているので、 仕事や経済的な問題、人間関係、子どもたちなどのこころへの影響が、大きな悩みとなります。詳しくは、パンフレット「若年性認知症のかたへ」、をご覧ください。区のホームページの「若年性認知症の方への支援」のページになります。 世田谷区には「舟」という若年性認知症カフェがあります。舟の代表のかたは、「利用できる公的サービスや支援が乏しい若年性認知症の方にとって社会資源となる場をつくりたいと、認知症カフェを始めました。ヤングケアラーのかたにもお越しいただきたいです。」と語っています。「舟」を利用している認知症本人の家族は、「仲間と出会い、道がひらかれ、希望が持てることを願っています。」と語っています。 12ページの説明は、これで終了です。 13ページ目です。 13ページ、14ページは、「認知症と診断されたら…」についてです。 診断されたら、周りの人に伝えた方がいいのでしょうか? 不安な気持ちをひとりで抱えず、 身近な人に伝えて、話し合ってみましょう。診断されたその日から人生が変わるわけでも、急に何もかもできなくなるわけでもありません。安心して自分らしく暮らしていくために、何が必要か、これからどんなことができるのか、みんなで知恵を出し合ってみましょう。家族や友人、同僚、近所の人に話しにくいときは、地域の相談窓口である「あんしんすこやかセンター」に気軽にご相談ください。 次に、周りに打ち明けたことで生き生きと暮らしている本人の声として、藤原郁子さんの声を紹介します。「わたしが大切にしている思いは、わたしを支えてくれる皆とフラットな関係でありたいということです。信頼があるから自分だけで考え込まないで、困った時にはありのまま自分の言葉で、相談に乗ってもらっています。私の夢は、ずっと通っていた図書館にまたいけるようになること。これからは、皆さんの助けを素直に受けて、甘え上手でいきたいと思っています。」 13ページの説明は、これで終了です。 14ページ目です。 家族や身近な人には、どんなことを伝えたらいいでしょうか? そのときの自分の気持ちを家族や身近な人に伝えてください。認知症と診断された時は、誰でも不安でいっぱいです。気持ちを誰かにつぶやいてみるだけでも、心が軽くなります。自分なりに続けたいことや、やりたいこと、周りにお願いしたいことを、遠慮せずに、むしろ具体的に伝えましょう。伝えることで、理解者や、応援してくれる人が増えていきます。 また、家族や身近な人はどのように本人と接すればいいのでしょうか? 認知症は誰でもなる可能性があります。自分だったらどう接してほしいのかを考えながら、今までと変わらない接し方をしていくことが、いい関係を築く助けになります。本人の言動は意図したものではなく、認知症の症状として現れていることがあります。本人を責めたり、できないことを指摘すると、本人の不安や焦る気持ちを強めてしまいます。医療機関や相談窓口では病状や治療の相談だけでなく、本人との接し方についても相談してみましょう。 ここでポイントとして、全国の、本人の声を聴ける場を2つ紹介します。 1つ目は、「とうきょう認知症希望大使」です。東京都では、 都民への認知症の理解の促進、および認知症の本人からの発信を推進するため、とうきょう認知症希望大使を設置しています。2つ目は、「一般社団法人、日本認知症本人ワーキンググループ」です。認知症の本人が主体となって、いきいきと、楽しく活動を展開しています。本人の体験や知恵を集めたガイドブックもあります。 14ページの説明は、これで終了です。 15ページ目です。 15ページ、16ページは、「仲間づくりができる場所」についてです。本人や家族が、仲間づくりをできる場所を7つ紹介しています。 1つ目は、認知症本人交流会である、「楽しく語ろう、つどいの会」です。認知症の本人が、自らの体験や思い、必要としていることを語り合う場として開催しています。同じ悩み、不安、心配がわかりあえるつどいの会です。詳細は認知症在宅生活サポートセンターまでお問い合わせください。 2つ目は、認知症カフェです。認知症の本人や家族、地域の人たちが身近な場所で、認知症のあるなしに関わらずに交流ができる場です。話しづらいことも専門のスタッフがいるので個別での相談もできます。詳細については、世田谷区、認知症カフェハンドブックをご参照ください。区のホームページの「認知症カフェについて」のページになります。 3つ目は、各地域で行っている自主グループやサロン活動です。詳細については「いっぽ、外へ、シニアお出かけスポット」のパンフレットをご覧いただくか、各地区のあんしんすこやかセンターや、社会福祉協議会にお問い合わせください。 15ページの説明は、これで終了です。 16ページ目です。 15ページに続き、本人や家族が、仲間づくりをできる場所を紹介します。 4つ目は、「介護者の会・家族会」です。認知症の人の家族が思いを語り合う場として区内各地で開催しています。お住まいの地区の会に参加してもよし、参加しやすい曜日や場所の会に参加してもよし。まずは、誰かと思いを共有してみませんか。世田谷区の介護者の会・家族会を一覧にした冊子もあります。 5つ目はアクション講座です。世田谷区独自のテキスト「世田谷認知症とともに生きるみんなでアクションガイド」や、認知症の本人が自ら発信する動画等を活用した、世田谷版認知症サポーター養成講座である「アクション講座」を、区内各地で開催しています。 6つ目は、アクションチームです。地域に暮らすさまざまな人たちが、本人の声をもとに行動を起こす、気軽で楽しい場です。詳細は、各地区のあんしんすこやかセンターまでお問い合わせください。 7つ目は、「スペース・ココカラ。」です。認知症や、障害があってもなくても、誰もが集える場所が、三軒茶屋にあります。「スペース・ココカラ。」では、当事者が集いながら、古本の管理・販売を楽しく仕事にしています。詳細は、社会福祉法人世田谷ボランティア協会までお問い合わせください。電話番号は03-6804-0405です。 16ページの説明は、これで終了です。 17ページで目す。 タイトルは「わたしの暮らしを支えるサービス。介護保険サービス、介護保険外サービス。」です。 介護保険サービスを利用するには介護認定を受ける必要があります。まずは、お近くのあんしんすこやかセンターやケアマネジャーにお問い合わせください。 本人が出かけるサービスでは、通所介護、いわゆるデイサービス、認知症対応型通所介護、通所リハビリテーション、いわゆるデイケアがあります。 家に来てくれるサービスは、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問入浴介護などがあります。 泊まりのサービスはショートステイがあります。 通所と訪問と短期入所を一体化したサービスとして、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護があります。 自宅以外で暮らす場所として、介護老人保健施設、いわゆる老人保健施設、認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホーム、有料・老人ホーム、介護老人福祉施設、いわゆる特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、養護老人ホームなどがあります。 生活の「困った」を解決するには、介護保険以外のサービスを活用することもできます。 自己負担が発生することもありますので、まずはあんしんすこやかセンターへお問い合わせください。世田谷区では、各種サービス、制度が掲載された「せたがやシルバー情報」を、65歳以上の方がいる世帯へ3年ごとに送付しています。 17ページの説明は、これで終了です。 18ページ目です。 18ページ、19ページは、「そなえ」についてです。タイトルは、「これからのそなえ。生活を続けるための工夫」です。 2021年に、講談社プラスアルファ新書から出版された丹野トモフミさんの著書、「認知症の私から見える社会」から、生活を続けるための工夫を抜粋して紹介します。 まずは、おでかけの工夫を3つ紹介します。1つ目、家の鍵や財布など大切な物はカバンに紐で繋いでおくと良いでしょう。2つ目、複数社の交通系ICカードをカバンや服に入れておくと、どれかは見つけられるので戸惑いません。3つ目、体から離さないようにリュックや肩から下げるカバンを使いましょう。 次に、健康管理の工夫を3つ紹介します。1つ目、保険証、診察券、お薬手帳をひとつの入れ物に入れておきましょう。2つ目、薬を飲む時間に携帯電話のアラームをセットしておきましょう。3つ目、毎日飲む薬を一包化して日めくりカレンダーに貼り付けておきましょう。 次に、予定の管理の工夫を2つ紹介します。1つ目、今日の予定をホワイトボードに書いて、終わったらチェックしましょう。2つ目、自分専用の大きなカレンダーに予定を記入しておきましょう。 次に、普段の生活の工夫を2つ紹介します。1つ目、書類は透明な袋やファイルに入れましょう。2つ目、郵便局、銀行、旅行代理店に認知症であることを伝えておくと良いでしょう。 以上が丹野トモフミさんの生活の工夫です。 また、行方不明時の備えとして、元気な時から「希望をかなえるヘルプカード」に連絡先を書いておき、外出時に携帯する習慣をつけましょう。行方不明時や災害時に役立ちます。 もしも、家族や身近な人が行方不明になった場合は、ためらわずに警察や高齢者安心コールへ連絡しましょう。高齢者安心コールの電話番号は03-5432-1010です。早めの連絡が発見につながります。周囲に気になる方がいれば勇気を出して声を掛けてみましょう。 18ページの説明は、これで終了です。 19ページ目です。 18ページで紹介した以外の備えを紹介します。 1つ目は、高齢者見守りステッカーです。杖や靴などにステッカーを貼ることで、緊急時に身元確認ができます。問合せは、高齢者安心コールです。2つ目は、せたがや一人歩きS O S ネットワークです。認知症の人も地域へ安心して出かけられるように「地域のネットワーク」があります。問合せは、社会福祉法人、世田谷区社会福祉協議会、地域社協課調整係です。3つ目は、希望をかなえるヘルプカードです。自分がやりたいことや続けたいことなどを安心してスムーズにできるよう、本人が使うカードです。行方不明を防いだり、災害時にも役立ちます。 次に、安心できる暮らしのための権利擁護に関係する備えについて紹介します。 1つ目は、あんしん事業と呼ばれている、地域福祉権利擁護事業です。判断力が十分でない人や、生活に不安のある高齢者、障害者の自宅を職員が定期的に訪問し、福祉サービスに関する相談を受けたり、預貯金の払い戻し等の支援、みまもりを行う事業です。 2つ目は、成年後見制度です。判断力が十分でなくなっても自分らしく安心して暮らせるように、本人の権利を守り、法的に支援する制度です。あんしん事業と成年後見制度の詳細は成年後見センターえみぃにお問い合わせください。電話番号は03-6411-3950です。 3つ目は、自動通話録音機です。詐欺防止のため、呼び出しの音がなる前に相手に警告メッセージが流れ、通話内容を録音します。詳細は世田谷区地域生活安全課にお問い合わせください。電話番号は03-5432-2267です。 4つ目は、世田谷区消費生活センターです。悪質商法などの契約に関する相談や、消費生活全般にわたるさまざまな事業を行っています。65歳以上の方専用電話番号は03-5486-6501です。相談専用電話は03-3410-6522です。 19ページの説明は、これで終了です。 20ページ目です。 自分でできる認知症の気づきチェックリスト、をやってみましょう。これは、認知症なのかな、と気になるときに、自分で簡単にチェックできるものです。ご家族や、身近なかたがチェックすることもできます。 まず、日常生活にまつわる、全部で10個の質問について、1点から4点までの点数がつけられている4つの選択肢の中から、もっともあてはまるものに、1つチェックをします。チェックが終わったら、その合計点数を出してください。それでは、はじめます。 チェック1、財布や鍵など、物を置いた場所がわからなくなることがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック2、5分前に聞いた話を思い出せないことがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック3、まわりのひとから「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック4、今日が、何月何日か、わからないときがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック5、言おうとしている言葉が、すぐに出てこないことがありますか、まったくない、1点、ときどきある、2点、頻繁にある、3点、いつもそうだ、4点。 チェック6、貯金の出し入れや、家賃や公共料金の支払いは一人でできますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック7、一人で買い物に行けますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック8、バスや電車、自家用車などを使って、一人で外出できますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック9、自分で掃除機や、ほうきを使って掃除ができますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 チェック10、電話番号を調べて、電話をかけることができますか、問題なくできる、1点、だいたいできる、2点、あまりできない、3点、できない、4点。 質問は以上です。合計点数が20点以上の場合は、認知機能や社会生活に支障が出ている場合があります。お近くの医療機関やあんしんすこやかセンターに相談してみましょう。 20ページの説明は、これで終了です。 21ページ目です。 気付きチェックリストの解説です。 一般的な認知症では、まず記憶力に影響がでてきます。具体的には、新しいことが記憶しにくくなり、直前に見聞きしたことを思い出せないなどです。これらはゆっくり始まり、自分では気づくのが難しく、まわりから指摘されることもあります。このチェックリストは、認知症初期に起こりやすい脳機能の変化を客観的にとらえるのに役立ちます。また高齢者の場合、認知症以外の脳や身体の病気によって、一時的に認知機能に影響が生じる場合もあります。このような病気は早めの治療が必要であり、早めにわかることでさまざまな対処ができます。高齢になったら、不安を不安のままにしないことが大切です。まずは年に一度くらい、このチェックリストをやって、その結果をかかりつけ医に見てもらうとよいでしょう。 認知症にはどんなタイプがあるのでしょうか? 認知症を引き起こす病気を大きく分けると、神経変性疾患、脳血管障害、その他の原因の3つに分類されます。神経変性疾患による認知症は、アルツハイマー型認知症、レビーしょうたいがた認知症、前頭側頭型認知症の3つのタイプがあります。アルツハイマー型認知症は、神経変性疾患の中でもっとも多いタイプで、脳にアミロイドベータなどが溜まることで脳の働きが低下します。記憶障害、見当識障害、実行機能障害などが起こります。レビーしょうたいがた認知症は、現実には無いものが見える幻視や、手足のふるえや立ちくらみ、歩行障害、動作が鈍くなるなどのパーキンソン症状、睡眠時に大きな声や体の動きがあるなど、睡眠症状が出現しやすくなります。前頭側頭型認知症は、もの忘れよりも、周りの人から見ると、性格の変化や社会的な常識とは異なる行動が目立つのが特徴です。同じ行動を繰り返すことも多いです。難病指定が受けられます。 脳血管障害により起こる認知症は、血管性認知症です。脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などにより脳の血流が悪くなることで、脳の働きが低下します。部位に応じて手足の麻痺や飲み込みの障害などとともに、記憶や判断力の障害などが起こります。 そのほかにも、認知症が現れる病気は、たくさんあります。例えば、神経ベーチェット、多発性硬化症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アルコール依存症、ビタミンBワン・B12欠乏症などです。これらは、検査を実施することで判明することがあります。 21ページの説明は、これで終了です。 22ページ目です。 『わたしが大切にしたいことメモ』、を紹介します。 わたしらしく、より良く生きていくために、元気な頃から、そして認知症になってからも わたしが大切にしたいことを、具体的に記録しておきましょう。 それでは、日付を記録したうえで、大切にしたいことをあげてみましょう。 1、楽しみ・好きなこと 2、好きな食べ物 3、好きな音楽 4、行きたいところ 5、大切な人 6、大切なもの 7、大切な思い出 8、これからも続けたいこと 9、これからやってみたいこと また、あなたが大切にしたいことも自由に記録してみましょう。 22ページの説明は、これで終了です。 裏表紙です。 裏表紙は、あんしんすこやかセンター一覧です。 世田谷区内には、28地区ごとに、あんしんすこやかセンターがあります。認知症に関する、様々な相談は、お住まいの地区のあんしんすこやかセンターへご相談ください。相談にいらっしゃる際には、どのような生活を望んでいるのか、お聞かせください。 この冊子に関するお問い合わせは、世田谷区認知症在宅生活サポートセンターまでお願いします。電話番号は、03-6379-4315、FAX番号は03-6379-4316です。 以上で、冊子の内容説明を終わります。