別紙1「第3次世田谷区立図書館ビジョン」(案)に対する意見募集と区の考え方について テーマ 意見の概要 意見に対する区の考え方の順に記載します。 ビジョン全体では5件。 @各項目を読み進めるにつれ、「知と学びと文化の情報拠点」としての図書館機能が着々と充実してきている現状を今さらながら実感した。予算も人員も削られる中、これだけ地に足のついた取り組みを実践してこられたと現場の方々の熱意ある工夫と努力には頭が下がる。区民の大切なインフラである図書館が正しく機能するために、積み重ねてきた実績を今後も活かし、長期的視点に立って賢明な図書館運営体制を構築し、真の「知と学びと文化の情報拠点」を確立することを期待。    世田谷区立図書館は、第1次第2次のビジョンを通じて、よりよいサービスを区民の皆様に提供すべく努力してまいりました。予算も人員も厳しい中で、今後とも皆様のご要望を伺いながら、区民の知識・情報に関するインフラである図書館をより良いものするよう引き続き務めて参りたいと思います。 Aビジョン全体 広い視野をもって良く練られている案だと思う。特に「0歳児からの読書を支える図書館の役割」や「コミュニティの醸成につながる交流の場所」としての視点は先見性を感じた。世田谷区で暮らす全ての年代にとって大切な視点であると評価したい。 子どもから大人まで、一人ひとりが学び成長し、また、お互いに交流し支え合う地域社会を目指し、そこにつながる図書館を追求していきたいと思います。 Bビジョン全体 素案の内容はよく考えられているが、現状との隔たりに不安があり、理想論であってはならないと危惧する。これからの教育政策は、義務教育と生涯学習とに対するのと同等の重みをもって図書館を考えるべきである。図書館は本を貸し出すだけでなく、人が、考えながら生きることに必要な機関である。 ビジョンなので具体的なことは書き込めないとは思うが、図書館員の現場の声、子どもたちの声を聴き、そして図書館の見学(砧図書館はコロナ5類になっても、憩いの場である地下のホールを開放していない)を通して、ビジョンの作成をしてほしい。   計画づくりに当たっては、高い目標を目指しつつ、ご指摘の通り、現場の声、子どもたちをはじめ利用者の声、また、図書館サービスの現状を踏まえ、足を地につけた改革を進めたいと考えております。 Cビジョン全体 前期ビジョンと比較し、地域の特徴や多様性をより重視したビジョンと拝見した。絵空事にならないよう、しっかり実現してもらいたい。 地域とのかかわりの重視と人々の多様性の尊重が今期ビジョンの柱の一つと考えています。現実を踏まえ、一歩一歩進めて行きたいと思います。 D3つの視点 「地域文化とコミュニティ」「多様性と共生社会」については、まさに区の職員、公務員が持つべき視点。地域に根差した図書館づくりは、短期間で交代する民間社員には心情的にも時間的にも難しいと思う。公務員冥利に尽きる職務ではないか。 地域文化、多様性、コミュニティなどは、公共図書館に働く者にとって、仕事をする上で必要不可欠な視点と考えています。立場や雇用形態が異なっていてもこれらの視点を共有し、多様な人々が自由に図書館を利用できるよう、また地域の文化豊かなコミュニティづくりに貢献できるよう務めていく必要があると考えます。 基本方針1 求められる知識・情報を確実に提供する図書では4件。 @蔵書量・都立、国会図書館の存在 求められる知識・情報を確実に提供する図書館とあるが、都内には国立国会図書館、都立図書館などがあり蔵書や資料数において比肩しえない。   蔵書数という点では、もちろん区立図書館は国立国会図書館や都立図書館には及びませんが、区立図書館を通じて、都立図書館や国立国会図書館などの資料を利用できる(リクエストしていただき取り寄せる)仕組みがあります。これは必要な資料にアクセスするための重要なサービスであり今後も充実させていきたいと考えております。 さらに、今日、デジタル及びネットワークの時代になり、区立図書館からインターネットを通じて世界中の図書館やデータベースから様々な資料・情報にアクセスすることができるようになってきました。今回のビジョンでは、その実現のための方向性も示しています。 区立図書館には、区民が日常の生活の中で利用できる、という大きな利点があります。身近なところから世界中の資料・情報に手が届く図書館を目指していきます。 Aレファレンスサービス レファレンスは、職員からの質問が大事。的確な質問を重ねる中で、利用者の求める回答を明確化するスキルを地域館職員の方も身につけてもらいたい。子どものレファレンスは特に、子ども自身がなにをどうサポートしてもらったらいいのかよくわかっていない場合がある。職員の方の質問に答えながら、自分が求めている情報がクリアに見えてくるのだと思う。そしてその経験が、次回以降の課題解決に生きてくる…といった好循環を大切に考えてもらいたい。   利用者から何を調べ探しているかを聞き取る、いわゆるレファレンス・インタビューは、図書館サービスに係るスキルの中で非常に重要なものと認識しています。大人の利用者に対するインタビュー、子どもへのインタビューそれぞれの難しさがあり、専門的スキルを向上させる取組が必要です。ビジョンの中では「職員に必要な専門知識とスキルの向上」の項目を設け、計画的な能力向上のための取組を進めたいと考えています。 B商用データベースの利用 商用データベースは、中央図書館では複写可能ということだが、他の施設においても同様のサービスがあると利用促進につながると思う。   現在、中央図書館と経堂図書館にて商用データベースを提供中です。ビジョンの中でもデータベース等の「調査に有効なリモート情報源の活用検討」を取組項目に挙げております。予算確保や利用環境の整備を行い、多くの図書館でデータベースなどネットワーク上の有効な情報源を利用できるように進めます。 C書籍の重要性 インターネットで情報を入手することが便利になったとは言え、出版社というフィルターを通して提供された書籍から得られる情報は、むしろ信頼性の観点から重要性を増しているとも考えられます。   そのとおりだと思います。インターネット上に豊富な情報があるとは言え、その多くは断片的で一面的なものであり、その中には誤りや意図的な嘘も無数に含まれています。編集者・出版社というフィルターである程度真実性が保証された、しかもある一定の体系性をもった情報を含む書籍は、この情報化の時代、そして知識社会の中で引き続き重要な位置を占めると考えます。ビジョンの中でも、「調べものに有効なコレクションの構築と提供」「知識を深め認識の世界を広げるようなコレクションの構築と提供」を取組項目として挙げております。 基本方針2 子どもの健やかな成長を支える図書館では13件 @子どもの図書館への期待 昨年、子どもたちに「図書館がこうなったらいいな」というアンケートをとった結果、「読みたい本が探しやすいといいな」「居心地良く本を読みたいな」が、「イベントを企画して」より多かった。つまり現状では子どもたちが望む図書館にはなっていないということなのでは。   「読みたい本が探しやすい図書館」「居心地よく本を読める図書館」が「イベントの企画」よりも多かったとの調査結果をお知らせくださりありがとうございました。確かに「本が探しやすい」「居心地よく本を読める」への要望は強いと思います。一方、現状では、残念ながら、図書館には足を向けない、本にあまり親しみを感じない子どもも数多くおり、それらの子どもの数は近年増加しているとも言われています。そのような子どもたちにも「図書館って面白そうだ」と思ってもらえるきっかけづくりが、本の中身を知ったり感じたりするイベントの実施だと考えています。 A子どもの本との出会い 子ども向きの本のガイドブックを配布をしているが、そこに掲載されている本を当日に借りようとしても殆ど持って帰ることができない。子どもの本の資料費が少ないのではないか。   ご指摘の事項については申し訳ありません。子どもの本の資料費の確保に努めます。また、ブックリストに掲載される本は利用が集中する可能性がありますので、適正な複本数を確保するよう努めます。 Bマンガやライトノベル (マンガやライトノベルについては)いままでは、無理だと思っていた取り組みなので期待が大きい。話題作が入手できるよう的確な選書をお願いしたい。   どのようなマンガ、ライトノベルをどの程度入れていくか、利用者の意見を聞きながら、慎重に検討し進めていきたいと思っています。 Cマンガやライトノベル (マンガは)30年以上前に梅丘図書館で、紛失率が非常に高く、ストーリーマンガは特例を除いて、受け入れ対象外になったはず。その後、ICタグによるゲートはできたが、まだまだリスクは大きい。対象外のままの方がよい。利用者のマナーによってサービス低下することも利用者は自覚すべきだ。   紛失率については、ブックディテクションシステム(無断持ち出し防止装置)の導入によって状況はだいぶ変わったと考えます。 D学習席 グループ学習、自習室は学校図書館の対応すべき仕事。公共図書館にそんなスペースがあるなら、資料の収集、保存に力を注ぐべき。   子ども達を含め人々の「学び」を支援することは公共図書館の基本的な役割の一つだと考えます。確かに現状の図書館施設にはスペースの問題がありますが、可能な範囲で学びのための席・部屋を考えていきたいと思います。 E学習席 図書館の自習スペースについては、受験生や一般利用者が多くて、図書館の資料をまとめて閲覧するなど本来的な利用をしたいとき、使いにくいと感じることが少なくない。一部の地区開館などには学習室のようなものがあるようだが、利用状況を分析しながらワーキングスペースとしての個人利用などを認めていってもよいのでは。   学習用の席をつくった場合、その席の利用に関する利用者間の調整が必要になります。時期、時間帯、利用をしたい人の人数などにより柔軟に利用調整できる管理システムを検討します。 F子どもの居場所 図書館は基本的に静寂が求められるため、基本方針2にある子どもが集う場にもなっていない。   これからの図書館の在り方を考えると、静かな落ち着いた雰囲気のエリアと、ある程度音が出てもかまわない賑わいのエリアの両方が必要だと思われます。既存施設ではスペースの制限がありどう実現するか難しい問題ですが、考え方としては、静寂と賑わい、両方のエリアの確保し、子ども達、また可能なら大人も集える場を作っていきたいと思います。 G子どもの居場所 不登校児にとってのくつろぎと癒しの場は、地域全体で考えていかねばならない課題。(中略)子どもだけでなく、高齢者を含む大人にとっても必要な取り組みと期待。   家でも学校や職場でもないが、行きやすく、落ち着いて時間を過ごせる場所がある、というのは生きる上での安心要素のひとつになると思います。図書館は、ひとりでも過ごすことができるし、場合によっては人と会い会話することも出来ます。勉強もできるし、楽しむこともできる。様々な時間の過ごし方が可能です。地域の皆さんの安心できる居場所になれることを目指します。 H子どもが一人で利用できるように 図書館に子供が1人で通える環境作りをしてほしい。特に夏休み等の長期休暇は通常と体制を変えても良いと思う。   基本的に、図書館ではお子様に付き添いは必要なく、一人で来館でき利用できる施設と考えておりますが、年齢等によってお子様お1人では来館あるいは行事への参加などが難しいという場合は、保護者様のご判断でご同伴いただきたいと思います。 I学校図書館との連携 (学校図書館との連携は)長期的展望が必要です。学校司書との信頼関係、効率的な連携を考えるとどちらも区の職員であってほしい。   区立図書館と学校との連携は、GIGAスクールの時代になり、ますます重要になってきています。ビジョンでは区立図書館が学校及び学校図書館へ資料・情報の提供をはじめとした連携支援を行うことを謳っております。これから区立図書館と学校で体制を作ってどのような支援が必要かつ可能か十分協議し、具体的な連携や支援の内容を計画化し進めていきたいと考えています。 J学校図書館との連携 学校図書館が業務委託になってから、区立図書館との連携は後退している。   学校、学校図書館、区立図書館それぞれの役割、分担を明確にし、連携を進めて参ります。 K近隣に子どもの図書館がない 太子堂小学校の近隣に図書館がなく困っている。区立小学校の図書室を土曜日に限っては在校生の兄弟(未就学児)にも開放してはどうか。既存施設の有効活用、および未就学児が就学前に小学校に慣れるという意味でも、小学校の図書室の利用拡大は大変有意義ではないか。 区では、業務委託により区立小・中学校全校に図書館司書等の有資格者を配置するとともに、学校図書館のさらなる活用として、未就学児やその保護者を対象とした学校図書館の開放、地域の子どもたち向けの読み聞かせ会等の企画・実施など、各校の実態に応じた地域の子どもたちへの学校図書館の開放等にも取り組んでいます。引き続きこのような取組みを推進してまいります。 L保育園での貸出 コロナで中止になっている区立保育園での絵本貸出を再開してほしい。   区立保育園からの絵本貸出は保育園独自で行っていた事業だと思います。今回のビジョンでは「区立図書館のみならず、地域の人々、関係機関、団体と連携し、子どもの読書を支援する取り組みを実施」することを謳っています。保育園を含め地域の様々な施設で、子どもたちが、家に持ち帰ることを含め豊かに本を利用できるよう努めてまいります。 基本方針3 地域の特徴を生かし人々がつながる図書館では5件。 @A地域に関する情報 出版業界が厳しい昨今だからこそ、公共図書館の存在が改めて見直されるのだと思う。図書館によって違いはあるが、地域の情報をまとめたコーナーは非常によいと思う。地域の歴史や特性を知るためにも、一定の枠組みの中で情報収集や整理をしてもらえるとありがたい。 区の資料として、地域の活動団体発行の周年誌などの活動記録は永年保管してほしい。地域文化の一端を担う貴重な記録だと考える。検索してみると、古い記録誌が保管されていないケースもあり、疑問を感じている。 地域の特徴を活かした図書館づくりは今回のビジョンの柱となる考え方の一つとなっております。ビジョンの中でも「地域にゆかりのある作家の作品」「地域の史跡や伝統、その他の特色にちなんだ資料」などを地域の図書館の特徴として収集することを謳っています。また、刊行された書籍だけでなく資料化されていない写真や記録なども、関連機関とも連携しながら収集・公開していく計画です。 B地域の様々な施設との連携 図書館は地域コミュニティの重要な拠点の一つだと思う。多様なニーズの利用者がおり、それらを今ある図書館だけでカバーすることは難しい。地域にある町づくりセンターや公民館などの施設と連携しながら、図書館に対する区民のニーズをすくい上げるような視点があってよいのではないか。図書館利用が活性化されるような施策の展開を期待。   今回のビジョンでは、地域活動団体や地域の様々な施設との連携協力を方針として取り上げています。様々な方々、団体、機関の方々と連携し、また施設的にも図書館以外の施設を利用させていただくなどして、活動の枠を広げていきたいと思っております。 C居心地の良い施設 世田谷区の図書館としては、利用者のニーズごとにスペースを区切るなどして、より多くの区民に対して居心地の良い読書環境、利便性の高いネット環境を提供する場になって欲しい。烏山図書館を例にとると、現在は施設の狭隘さや古さに加え、着席できる椅子が少なく、椅子も一部でパイプチェアなどが使用されるなどホスピタリティ面の配慮はほとんどなされていない。全国的には完全民間委託やカフェの併設などで利用者数を大幅に増やしている例もあり、より寛げる居場所への大胆なシフトを求めたい。   利用目的や利用の仕方により求める環境が異なることから、今回のビジョンでは、スペースを分ける等によりそれぞれに適切な利用環境を用意することを目指します。 一方、現存の施設では物理的制約があることから、当面、可能な範囲で取り組むということにならざるを得ません。ご理解をお願いします。 D居心地の良い施設 地域館によっては、図書館を利用する中高生のマナー違反に悩んでいるという話も聞く。現場の声も拾いながら、滞在型図書館としての在り方を検討してほしい。限りのあるスペースのなかで、中高生がグループ活動できる場など声を出せるエリアを確保すること、多くの人が滞在型図書館として利用できるようにすることにはかなりの工夫が必要。配慮の行き届いた施策を。   中高生や学生、高齢者など多様な方々にとってのいい居場所となるためには、利用者間の調整が重要になると考えています。子ども、中高生、大人、高齢者など求めるものや考え方がだいぶ異なる可能性があります。施設によって対象を設定したり、時間により区分したり、あるいはうまく組み合わせるなど、実現可能な範囲で、研究しながら進めていきたいと思います。 基本方針4 それぞれの特性に対応した、多様な人々を包摂する図書館では4件 @対面朗読 対面朗読の利用数が伸びないのは、利用者が図書館に来られないからである。例えば、環7沿いに立地する代田図書館は、狭い歩道を視覚障害者が歩行するのは極めて危険。せめてタクシー料金の半分を図書館が負担するか、ないしは出張対面朗読のシステムを作らなければ、視覚障害者の読書は確保できない。   ここ数年、対面朗読サービスの利用者が減少しておりますが、これは基本的にコロナ禍の影響と考えております。図書館で対面朗読サービスを受けるためには来館が必要ですが、今日では障害者向け資料のデジタル化により機械による読み上げも可能になっております。ネット経由で利用したい資料のデータをご自宅でご自分の機械にダウンロードすることも可能です。 デジタル化によってサービスの可能性も広がっておりますので、今回のビジョンでは、図書館利用に障害がある方も様々な形で資料・情報を利用できるよう、「様々な特性等に対応した資料とサービスの充実」を掲げております。 A筆談体制 メモ用紙で十分。無駄なものに予算を使うなら、手話講座への職員の派遣などを考えるべき。   ビジョンで「筆談体制」と書きましたが、実際に用意するものはメモ用紙と筆記用具です。重要なのはいつどこに耳の不自由な方がいらっしゃってもコミュニケーションできるという体制づくりだ、という趣旨です。 Bデジタル機器が苦手な方への支援 身近な図書館で丁寧な講習会を企画していただけるとありがたい。高齢者向けのとりこぼしのない講習会の企画に期待。   多くの方が気軽に利用できるよう計画します。 Cデジタル機器が苦手な方への支援 この項目を掲げながら、カウンターに数部の持ち帰り用の紙媒体の素案を準備せず館内閲覧のみしか与えないのは、明らかにパソコン難民への差別である。この項目趣旨と真逆のものであり、項目を立てたことに矛盾を感じないのは、いかがなものだろうか。   パブリックコメントでは、各施設に紙に印刷された素案をご用意しております。ただしお持ち帰りはできずコピーをお願いすることになりますので、ご了解をお願いします。 基本方針5 図書館DXとリモートサービスの推進では3件 @デジタル化と利用者動向の把握 貸出返却をデジタル化していく中で、職員の方は意識的に、利用者の動向のリサーチしてほしい(従来は貸出返却カウンターで見えていた利用者のあれこれを今後はどのように捉えていくのか一考の余地が必要だと思う)。また、デジタル化で利用が不便になる利用者が出ないよう配慮をお願いしたい。   今回のビジョンでは、図書館のDX化、利便性の向上を一つの柱として挙げております。デジタル化もその一環として進めますが、そのことにより不便になる利用者は出さないようにします。貸出返却処理のセルフ化に際しても、対面での貸出返却をご希望の方に対しては対面で行い、また、必要なお手伝いをします。利用者の様子・動向を把握できる様、職員のフロアワークを充実させるとともに、利用に関するデータの一層の分析により、利用者の選好や動向をより的確に把握するようにし、サービスの向上に努めます。 Aデジタル化と利用者動向の把握 職員と利用者の接点なくして、利用者ニーズやレファレンスの掘り起こしはあり得ない。本当に急ぐ利用者、子供の関心を誘う等へのごく少ない需要はあってかまわないが、セルフ貸出に一定の利用があるのは、職員にこのような期待を持っていない証拠であり、図書館にとって由々しき事態。作業効率化は転換し、無料貸本屋のそしりを受けないよう留意すべき。   レファレンスや利用相談、読書相談等の人的サービスを充実させます。 貸出返却などは、自分で処理したほうが簡単で早いと思われる方にはセルフ貸出機を使っていただき、それによりカウンターでの機械的作業を減らし、スタッフに相談したい、聞きたい、という方が遠慮なく声をかけて頂けるような、余裕のあるカウンターを目指します。 B利用券のデジタル化 利用券のデジタル化を進めてほしい。また、マイナンバーカードやマイナンバーカードを登録したスマホで借りれるようにしてほしい。   今回のビジョンで利用カードのデジタル化、図書館利用のためのスマホアプリの検討を掲げています。 基本方針6 専門性と効率性を両立した運営体制では12件 @専門性の高い職員の確保 専門的な司書とそうでない受付係のような人で待遇を分けてメリハリを付けると共に、処遇改善で優秀な司書を集めてほしい。  図書館職員としての専門的能力を高めるための取り組みを進めます。また、図書館に専門的な知識及びスキルを持つ職員を体制として確保できるよう組織体制及び人事制度を検討します。 A新しい職員制度 「生涯を通じた知や学びの支援」は、職員のスキルアップとその体制に関わる。高い専門性をめざすことは必須だが、一部の職員だけが専門性をめざす少数精鋭主義では困る。中央図書館、地域図書館双方の職員全てがスキルアップできるような配慮が必要で司書職制度を敷いていない区の体制についても再考が必要になってくる。ビジョン基本方針6-(1)A(p28)専門職員に関する新しい職員制度については期待している。具体策としては、どのように提示されるのか。(第3次ビジョンの期間は5年ですが、行動計画はどのように出されるのか) いただいたご意見は、今後の施策の参考とさせていただきます。 なお、新しい職員制度の検討に関する行動計画では、庁内公募の活用、新たな司書職ポストの設置などについて示しております。引き続き、図書館に専門的な知識及びスキルを持つ職員を体制として確保できるよう図書館ビジョンの中に位置づける予定の5年間の行動計画の中で検討を進めてまいります。 B高い専門性の確保 図書館は、単に蔵書があってそれを閲覧したり、貸出を受けるだけではなく、アクセスしたい資料が何であるのかということを専門的な知識を有する司書を通じて、気づいたりする場所。図書館サービスの拡充という部分は、図書館という存在をやや表面的に見ているような印象を受けた。検索サービスがあるから司書が不要になるわけではない。検索サービスがあったとしても、本当に読みたい本を探せるとは限らない。図書館は、図書館の利用の仕方を身につけてこそ意味があるのであり、図書館司書の存在が欠かせない。 高齢化による図書館司書の減少について触れているが、どこか一般企業のような目線を感じてしまう。返却カウンターを図書館ネットワークに位置づけるのは構わないが、図書館とするのには違和感がある。調べ物で利用したい図書館には、優秀な司書の方がいるもの。中央館のサービスクオリティーが地域館でも展開できるようにするためには、司書を安定的に確保する必要があるのでは。また、民間の力を借りるとあるが、他の自治体での失敗例などを見ると非常に不安を感じる。膨大な情報を整理して、利用者のニーズに適切に答える能力が図書館には求められる。レファレンスサービスの強化とありますが、まさにこの作業を担うのが司書。単なる、マニュアルのようなものに置き換わることがないようにしてほしい。 ご指摘の通り、図書館には豊かな情報資源とそれを利用者に繋げる質の高いサービスが必要であり、区民が図書館を十分に利用・活用するためには、それらを構築し運用する専門的知識やスキルを持った職員が必要だと考えています。今回の図書館ビジョンにおいては、直営、民間活用に関わらず、こうした専門的な知識及びスキルを持つ職員を体制として確保できるよう組織体制及び人事制度を検討します。 なお、二子玉川、三軒茶屋、下北沢に設置している「図書館カウンター」は、主に予約資料の受け取り及び資料の返却を行っている取次サービスの拠点であり、職員体制も図書館、図書室とは異なっております。ご理解をお願いします。  CD図書館運営への民間活用 冒頭にも書いたように、図書館運営の課題解決の一策として、いつまでも民間活力の導入に頼っていては世田谷区の図書館力は低下してしまう。 目先の課題に囚われ、近視眼的に解決を図っていく方策では大きな発展は望めないどころか、世田谷区の図書館力が低下していくことになりかねません。世田谷区の図書館を支えるのは、ひとの力です。常に成長し続けるのが図書館です。区内の図書館での経験値が職員を育て、職員の成長が図書館の力になり利用者を育てる。成熟した利用者が職員や図書館をさらに成長させる、そういった循環こそが大事です。民間活力導入が長く続けば、現場での時間や労働へのpayは区の職員の成長には繋がりません。当面の課題解決のために、民間のノウハウや自由度の高いサービスを導入するとのことでしたが、その民間のノウハウをこの数年間で区の職員はどのように学んだのでしょうか?導入館での業務を任せているだけでは、当面の力にはなっても、将来的に図書館を発展させる力にはなり得ません。既に民間活力を導入してしまっているいま、民間に学ぶところは大いに学び、それを区の力につなげるという意識で民間活力を活用してほしいと思います。 直営、民間活用にはそれぞれ特徴があり、直営には行政の直接的な責任、安定的な運営や経験の蓄積等が期待できる一方、民間活用は、民間ならではのノウハウを生かした柔軟な運営や開館日開館時間の拡大などが期待できます。 今後、施設の性格や役割を勘案し、直営の図書館、民間活用の図書館が連携してそれぞれの良さを活かした取り組みの実施を検討するなど、より魅力ある図書館に向けて進めてまいります。 EF民間活用と職員の待遇 今回、新たに「SDGsに配慮した図書館運営」の文言が盛り込まれたが、図書館運営も「持続可能」でなければならない。図書館への「民間活力」導入は、決して持続可能ではないと思う。現場の働き手は、ほとんどが非正規雇用。図書館の非正規雇用の現場は、専門職なのに最低賃金、劣悪な労働環境の使い捨て状態で疲弊し、入れ替わりも激しいと聞く。そこで働く人の善意と犠牲のうえに成り立っていたが、今後は働き手も減少の一途をたどることは明らか。サービス向上には、専門性を持つ職員が必要であり、そのような職員を雇用するならそれ相応の待遇を用意することが必要。民間委託を進めて図書館サービスを向上させるなら、他の自治体よりも多くの予算を図書館に向ける必要がある。 民間業者を持ち上げた書き方に違和感を覚える。(中略)その図書館での民間業者職員の平均在籍年数を調べれば、他の自治体の状況、待遇面等から考えておそらく直営館の非常勤職員よりかなり短いのではないか。そんな蓄積のない職員に、個人差はあるにせよそれなりの仕事しかできないのは当然で、攻撃的な書き方はしたくないが、満足度60%の要求水準は若くてにこにこしているだけのように思える。 また、民間業者の介在により、市場原理のはたらくことは当然であるが、それによって官製ワーキングプアが広まっているとの新聞等の指摘に、社会的立場のある区としてどう答えるのか、問われるところである。民間委託してしまった館も、早急な方針転換をし直営館への復帰は必須である。民間業者に使う税金があるなら、直営館の非常勤職員の賃金を上げるべきである。 今後、民間活用における安定した人材確保にあたっては、より適切な処遇の設定が不可欠であり、図書館運営における専門的なノウハウのある司書の資格を持つ方々を、適切な処遇につなげていくことが重要であると考えております。区としましては、引き続き公契約条例に基づく労働報酬下限額を適用するとともに、雇用状況を含めた労働環境や図書館で働く方々の処遇を把握しながら、専門性の確保につなげていくよう努めてまいります。 G評価指標の検討 おおいに期待します。運営協議会では、既成の評価指標を用いています。委員の方がたの発言内容からも、指標が適切なものでないような印象を持ちました。 図書館ごとに特色が異なるため、個々の図書館を評価指標で一律に評価することは難しいですが、図書館運営の成果を的確に把握することも目指し、どれだけサービスを区民に提供したか(アウトプット)はもちろん、それが利用者や地域にどのような影響を与えたか(アウトカム)を含め、様々な指標を検討し、評価のための指標を定めていきます。 HI民間活用の検証 業務委託、指定管理などによる民間活用の運営→民間活用に関しては、しっかりと評価と検証を行ったうえで、メリットデメリットを区民に公表してほしい。 民間活用については、地に足のついたしっかりとした評価検証を求める。評価検証は、客観的な視点から行ってほしい。   図書館運営協議会おける区立図書館の評価・検証や区の指定管理者制度運用にかかるガイドラインに基づく指定管理館の運営状況の評価などを踏まえて、令和7年度に区としての運営評価を行います。そのうえで、直営及び民間活用それぞれの強み弱みを踏まえた施設ごとの管理運営方式を検討してまいります。 JK図書館運営協議会 ビジョン策定検討委員会での運営協議会からの報告は、委員から出た意見の羅列を報告したに過ぎず、策定検討委員会への有意義な提言にはなっていなかった。運営協議会が名実ともに今後の図書館運営に対して重要な機関になるために、運営協議会の充実をめざす項目を入れるべき。効率性をうたうなら、運営協議会と策定検討委員会との連携こそ効率的にしなければならない。活発な意見交換により要点を押さえた的確な評価検証結果を提言として示せるような協議会になるよう働きかけが必要。回数の設定(年4回でしっかりとした議論ができるのか)、議題の立て方、会の進行の仕方、評価指標の見直しなど、委員自身が論点を創出する場であってほしい。 ビジョン達成のために運営協議会の機能を十分に発揮してほしい。運営協議会において専門家や区民が中身の濃い議論をできるよう、開催回数を増やす、現場を視察する、委員同士が意見を交換する場を設けるなど工夫を重ねてほしい。 図書館運営協議会は、様々な立場の利用者の視点から区立図書館の運営状況等について評価・検証を行っております。今後も、図書館運営協議会がより良いガバナンスの仕組みとなるよう、いただいた意見も参考に検討してまいります。 その他では3件。 @図書館が遠い 二子玉川には図書館カウンターはあるものの図書館が遠い。近くにせめておはなし会や朗読会等の交流スペースを作ってほしい。会を作って主に子ども向けの活動をしているが、おはなし会を開催する場がない。鎌田・尾山台・玉川台の図書館は二子玉川からは遠く活動拠点にはならない。地区会館は古くからのサークルが長年使っているため、決まった曜日におはなし会をすることは難しい。  二子玉川駅周辺は、現状、確かに地域図書館から遠い地域になっており、駅前に図書館カウンターがある状況です。ご意見につきましては、来年度の二子玉川図書館カウンターの更新に向け、近隣施設でのおはなし会の拡充や今後の施設の見直しの中で検討していきます。 A奥沢図書館の今後 (図書館が入っていた)奥沢駅前ビルの再開発をお願いします。奥沢の図書館はその後どうなるのか。臨時の場所(仮事務所)では本来の図書館の意味を成していない。 奥沢図書館は、現在長期休館に入っており仮事務所で資料の取次のみを行っております。また、12月から現在休館している図書館のブックポストを再開することとしています。 今後、方針が定まりましたらご報告します。 B災害対応 図書館は災害時には帰宅困難者の待機場所になるので民間活用でも対応可能としているが、区の施設であり、区民を守るためにもっと深く考えてほしい。災害時対応をビジョンでは扱わないのか。   区の防災計画では、図書館は災害時の帰宅困難者の待機場所や避難先等の施設には予定されておらず、したがって今回のビジョンではその問題には触れておりません。 図書館としては、災害時でも極力区民への図書館サービスを継続していきたいと考えております。