第27期第3回世田谷区社会教育委員の会議 議事録(要旨) 【1】開催日時 平成28年10月25日(火)18時30分〜20時15分 【2】開催場所 世田谷区役所第2庁舎3階 教育委員会室 【3】出席委員 萩原委員(議長)、宇佐美委員(副議長)、薄井委員、神保委員、箕輪委員、上原委員、権田委員、坂倉委員、宮田委員、湯澤委員 【4】出席職員 教育委員会事務局 土屋生涯学習・地域・学校連携課長、小林社会教育係長、 御園生社会教育担当係長、丸山社会教育係主事 【5】傍 聴 人 なし 【6】資  料  会議資料1 第27期社会教育委員の会議第2回定例会議事録(要旨) 会議資料2 第27期社会教育委員の会議第2回定例会議事録意見交換詳細版 会議資料3 子どもの貧困をめぐる意見交換図 会議資料4 前回(第2回)会議の論点整理 参考資料1 せたがや青少年委員だより 平成28年度2号 参考資料2 とうきょうの地域教育 bP24 【7】前回議事録(要旨)の承認 異議なく承認された。議事録(要旨)の署名人は、神保委員と箕輪委員。 第3回定例会の議事録(要旨)の署名人は、議長が上原委員と権田委員を指名。 【8】議事要旨 (1)テーマ設定の方向性に対する活動内容の検討 @前回の振り返り 前回会議の内容について、資料2、資料3を用いて、議長進行のもと振り返りを行った。 Aテーマの方向性の確認 今期のテーマの方向性について、事務局より再度説明をした。 B論点整理 前回会議で出た意見、テーマの方向性を踏まえた上で、論点整理のための意見交換を行った。 <意見交換> (委員)貧困については「相対的貧困」と「絶対的貧困」がある。世田谷区ではどちらかといえば、「相対的貧困」が多いと思う。この点もこれからの議論の中では意識していくべきである。 (委員)今回の議論は貧困の定義につまずきがちであり、改めて定義を考えるのは難しい。先行研究をベースとして、国などが出している定義があるのならば、それに従うのが妥当かもしれない。そこから議論を展開し、その中で世田谷独自の貧困を把握できると良い。 (委員)貧困家庭を救う4つの支援は、教育・経済・就労・生活などの支援があるが、社会教育的観点からいくと、居場所作りであったり、学校外教育支援、里親支援などがあげられる。社会教育委員の会議として、人と人との関係作りに重点を置くなら、そういった支援にも目を向ける必要がある。 (委員)今は子どもの「SOS」が見えない状況がある。そこが見えるとしたらどこなのか。経験上、キャッチできたのは子どもを通してだった。対処療法すらできていないなか、まずはそこを何とかしようということではないか。学校には学校の役割があり、学校だけに貧困家庭の対策をまかせておくのはいけない。学校・地域にそれぞれできることがあり、連携していかなければならない。 (議長)実態に触れること自体が難しい状況になっている。そもそもそこへアプローチする方法も考えなければいけない。 (委員)関係性が重要だというお話だったが、その点についてもう一度説明して欲しい。 (事務局)お金が無いために部活動に参加できなかったり、カードやゲームを持っていないために仲間はずれにされたりと、貧困によって本来なら持てるはずだった様々な関係を築くことができず、孤立化してしまうことがあるので、経済的な解消ではなく、人と人との関係づくりといったことが社会教育的アプローチと考える。 (委員)このテーマについて、どこまでできれば意味のある会議になるか考えていたが、課題をどうとらえるか、具体な提言をどうしていくのかを考えなければいけない。貧困にはその家庭ごとの個別の要因があるため、もう少し実体像を共有すべきではないか。世田谷区としての貧困がどういったものか知るのならば、貧困家庭に対しての支援や、居場所作りをしている多くのサードセクターの方から話を聞く必要があるのではないか。 (委員)家庭ごとに個別の事情がある。子どもは個別の家庭環境で育っているので、自らの置かれている環境に疑問を持たず、その状況から自発的に脱することは難しい。自分からその状況を打破できるきっかけになるような場があると良い。最近では子ども会の活動もない場所が多く、親同士の繋がりも少ない。子ども達が自由に集まれる場としては既に児童館があるが、児童館は仲の良い子ども同士が来るので、声を上げられない子が声を上げられるようなきっかけとなる場が必要。 (委員)客観的な比較ができる市区町村別の貧困に関するデータがあれば、世田谷区の特徴がつかめて議論がしやすい。 (事務局)世田谷区では1人親を対象としたアンケートはあるが、生活実態調査のようなものが無い。近隣だと足立区で生活実態調査を行ったが、地域性もあり、単純な比較はできない。世田谷区としては示せるデータが無いので、皆さんのお話を頂き、事象を積み重ねて捉えるしかないと考える。 (委員)複数のデータの積み重ねがあれば、見えてくるものもあると感じる。 (委員)世田谷区内では地域格差はあるのか。 (事務局)昔は成城や玉川田園調布など、いわゆる山の手の地域もあったが、現在は様々な方が区内に在住しており、一概には言えない。 (委員)学童保育は、以前は本当に共働きしなければ生活できない家庭が利用していたが、今はパートをするために利用する家庭もあり、学童保育利用者=貧困とは言えない。  政策的な提言をするためには、様々なデータがやはり必要である。それがないと貧困の定義も見出せないし、具体的な議論もできないのではないか。 (委員)対象は子どもと考える。小・中学校の関係者のお話を聞ける会議でもあるので、あくまで子ども中心の議論をしていくべきで、そこから親の問題も出てくると思う。まずは子どもへのアプローチであって、それから手をつけた方がいいのではないか。 たとえ周りから貧困に見えても、本人が貧困と感じず心豊かに生活していれば、それは貧困ではない。こちらが貧困の定義を決めて、一方的に押し付けるようなことはしてはいけない。その点は注意すべきである。資料の中に子どもの貧困は当事者だけの問題か、それともみんなで解決すべき社会問題かとあるが、心の拠り所の部分で「居場所」が一つの方策ではないか。貧困の定義に、あまり当て込みすぎない方がいい。 (委員)区内の貧困に関するケースを実際に共有した方がいいのではないか。類推で「関係者の貧困」ととらえるより、実際にこういう例があったということをいくつか共有できるとすごく深まると思う。 (事務局)教育のあらましの中に就学援助に関してのデータはあるが、そこで援助を受けている家庭が一概に貧困とは言えない。 (委員)統計的なデータも大事だが、実際の事例をお聞きしたい。 (委員)活動の中からいくつか話せる事例はある。誰かが抱え込むわけにはいかないので、大人のネットワークが作れるかがすごく大きい。私が知っている子では、小学校入学前から盗難癖のある子がいた。昔は自然とそういった子どもの情報が地域の大人同士で回り、それが学校にも繋がり、情報共有ができていた。父子家庭のその子は、給食が無い時は食事もできていないことが分かり、地域の方が集まって児童館で料理を振舞ったりして、その子が他者と繋がりを持てる機会を増やすようにした。 (委員)その事例の子は、他の子どもとの繋がりはあったのか。 (委員)友達はいた。そういう問題を抱えた子どもたちはお互いに優しく、なんとなく集団になっていった。 (議長)事例や大きなデータでなくても、世田谷区と他の自治体を比較したデータがあれば、議論がしやすいかもしれない。昭和女子大学に子育て関係についての研究をしている方がいる。世田谷と台東区などいくつかの自治体の中学生の聞き取り調査を行った結果、世田谷では近所付合いがないなど、明確な地域差があったという研究結果が出たそうだ。そういった研究をしている方をゲストスピーカーに呼んでもいいのではないか。 (委員)先程話した事例の子は元気で目立ったケースであり、外に発信するから非行に走る。外に自分の状況を発信しない子の方が、手助けとなる手立てが必要である。 (委員)実際に貧困の子どもと関わりのある方のお話しをもっと聞きたい。 (委員)学校にも様々な事例があるが、6人に1人が貧困という実態は感じない。中学校では貧困が表面化するのは進学の3年生の時であり、進路の結果、私立高校に進学ができず、分かることがある。 また貧困について定義づけが難しいという話もあったが、どこまでを貧困と捉え、対策、提言をしていくためにはやはり定義は必要だと思う。 最近感じるのは、夢がない。あきらめてしまうのか分からないが、貧困層だけでなく全体的に夢ややりたいことを語る子どもが少なくなっている。 (議長)国が示している相対的貧困の指標は、何を問題化しようとしているのか、ここに注目し、そこを切り口にして何が課題になるのか、ここに議論を進めないと雑ぱくになってしまい、事の本質がよく見えてこない。 (委員)実態として他の子と比べて自由がない環境で育つと、意欲が徹底的に疎外されてしまう。それは子どもの責任でもなく、親の責任でもない。そうなった時にその子どもが本来伸びるはずの人生を社会的に放置していいものかという視点に立つと、はじめて相対的貧困の深刻さがわかる。 (議長)一度子どもの貧困について包括的に研究している方にレクチャーをいただくのはどうだろうか。そこから先の課題が見えてくると思うし、イメージできるのではないか。 (委員)区内で寺子屋の活動を行っている方から話を聞いてみてはどうか。 (委員)寺子屋は子どもが集まれる具体的な場の1つといった感じがする。その前に全体像をレクチャーしていただける方にお話いただきたい。 (議長)次回会議ではまず世田谷に即した子どもの貧困についての研究している方から「子どもの貧困」の現状を聞くこととする。ゲストスピーカーは事務局と相談して決定する。   (2)その他 〈事務局より〉 ・「せたがや青少年委員だより」平成28年度2号が発行。 ・「とうきょうの地域教育」bP24が発行。 参考に情報提供する。 【9】今後の日程について 第4回定例会の日程について 「12月15日(木)18時30分〜 ブライトホール」で予定する。 会場が変更になる可能性があるので、その際は事務局より再度連絡する。 − 以上 −