前世田谷区基本構想(平成6年9月20日区議会議決)

最終更新日 平成25年9月27日

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世田谷区基本構想
平成6年9月20日
区議会議決

はじめに

世界は、歴史的な転換期にあります。それぞれの国や民族は、平和を求める相互の信頼と協力のもとに新たな国際秩序の形成を模索しています。わが国では、これまでの繁栄を支えてきた政治・経済・社会のありかたに対する改革が必要となり、行政制度についても国・地方それぞれに見直しが求められています。自治は、民主主義の基本であり、自立した住民に支えられ発展していかなければなりません。行政に今もっとも強く求められていることは、主体的に参加する広範な住民と協力して、より豊かな地域社会を実現することです。世田谷区は、昭和五十年の区長公選制の復活をきっかけに、区民本位のまちづくりをめざし、総合的・計画的な行政を進めてきました。区政の各分野で、数多くの先駆的な取組みが行われ、区民の主体的な参加によるまちづくりが展開されています。その一方で、「東京」への一極集中が強まってさまざまな問題が生じ、また、地域社会が構造的に変化して高齢化・少子化などが進み、区民の行政への要望も多様になってきています。この転換期にあって、二十一世紀の世田谷区の望ましい将来像を区民とともに確かめあい、その実現に向けた基本的な指針を明らかにすることは、区政の責務と考えます。世田谷区は、区民の創意と活力に支えられた「身近な政府」として、この基本構想のもとに、いっそう先駆的な取組みを進め、地方自治に基礎をおいた新しい地方・中央関係の確立をめざします。

1 意義と役割

基本構想は、世田谷区の望ましい将来像の実現に向けて区民主体のまちづくりを進め、自治の発展をめざす区政の基本的な指針です。したがって、基本構想は議会・区長はもとより、区民の基本的な合意を得てつくられる必要があります。世田谷区は、この指針のもとに、基本計画の策定をはじめ計画的・総合的な行政を推進します。

2 基本理念

世田谷区は、区政運営にあたり、つぎに掲げる基本理念に基づき、的確な施策を選択し、区民とともに実現していきます。

2-1 人間尊重のまちづくり

世田谷区は、男性と女性、子ども、高齢者、障害のあるひとびと、外国人などすべての区民と行政が協力し、人間尊重のまちづくりを進めます。

2-2 環境と共生する社会の実現

世田谷区は、区民と行政が協力して残された貴重な自然環境を守り、望ましい生活環境を育み、地域の資源循環に配慮した環境と共生する社会を実現します。

2-3 区民自治の確立

世田谷区は、地域の個性を育むとともに、さまざまな分野で区民参加を拡充し、区民の主体性をもとにした区民自治を確立します。

3 将来像

世田谷区は、広範な区民の参加のもとに、生活者の視点にたった平和で豊かな生活文化都市の実現を図ります。

3-1 生命と健康を守り長寿を喜びあえるまち

世田谷区は、子どもから高齢者まですべてのひとびとが、生涯を通じてともに安心して暮らしていけるまちをめざします。高齢・少子社会を迎え、住み慣れた地域で、ひとびとのふれあいに支えられ、いきいきと活動できる諸条件を整えることが大切です。すべての区民に、社会的に公正な生活水準が保障され、保健・福祉・医療・教育などの連携のもとに安心して生活が営めるまちでなければなりません。援助を必要とするすべてのひとが適切な福祉サービスを享受できるまちづくりを進め、区民の主体的な参加によって支えていくしくみを充実します。

3-2 いきがいと文化を育むまち

世田谷区は、すべての区民が生涯にわたって、すぐれた学習の機会を保障され、みずから文化を創造するまちをめざします。郷土が受け継いできた豊かな文化を守り、区民の手による文化の創造を支援して、いきがいのある豊かな地域社会をつぎの世代に伝えていかなければなりません。子どもをはじめすべての区民に水準の高い学習の場を整備し、多様な機会を提供して、みずから学び、楽しみ、高めあう喜びを実感できるまちをつくります。

3-3 いきいきとした暮らしのあるまち

世田谷区は、そこに住み、働き、生活を営むすべてのひとびとにとって、ふれあいと活力にあふれ、豊かな暮らしが実現するまちをめざします。ひとびとが地域でいきいきと暮らしていくためには、お互いの思いやりに支えられた活発な交流と自立したコミュニティの形成が欠かせません。また、区民の暮らしを身近なところで支える地域産業の役割は大きく、将来に向けていっそうの充実を図る必要があります。それぞれの地域において、すべてのひとびとが理解しあい、自立してともに生きていくための場と機会を整備し、消費生活の向上や資源循環型社会の実現をめざします。

3-4 快適な環境のなかで住み続けられるまち

世田谷区は、ひとびとの生活と自然が調和し、いつまでも住み続けられるまちをめざします。緑と水、落ち着いた住宅地の街並みは、世田谷区の貴重な財産です。とりわけ自然環境を保全し、回復し、創出して、つぎの世代に引き継いでいかなければなりません。快適な生活環境をつくるために、ともに手を携えて、すぐれた景観や自然環境を基調にしたまちづくりを推進します。また、すべての区民が安心して住み続けられるよう、住宅とそれを取りまく地域の環境を整備します。

3-5 安全で住みやすいまち

世田谷区は、安全で便利な都市生活を営めるまちをめざします。都市は、すべてのひとびとが災害から生命と財産を守られ、快適で便利な生活を営める場でなければなりません。災害に強く暮らしやすいまちをつくるために、無秩序な開発を防ぎ、調和のとれた土地利用によって健全な都市の形成を図ります。また、環境への影響や高齢者、障害者などに配慮した都市施設の整備を進めます。

4 実現の方策

世田谷区は、基本構想の実現に向けて、区民の信託にこたえて区民と行政の適切な協力関係を築き、適正かつ公正な行政運営を通して、自治を発展させます。

4-1 執行体制

  1. 社会構造の変化や行政需要に的確にこたえられるよう、執行体制の改革を進め、また地域行政制度の改善・充実を図ります。
  2. 職員の自発性や創造性を育み、政策形成への参加の機会を広げ、能力の向上を図ります。
  3. 財源の効率的運用を図り、健全財政を堅持します。

4-2 区民参加

  1. 区政において、計画・実施の過程が区民に広く開かれたしくみを拡充します。
  2. 地域情報の収集・提供のしくみを充実し、区民参加のまちづくりに役だてます。
  3. 地域社会への貢献をめざす、自発的で創造的な活動に対して適切な支援に努めます。

4-3 自治権拡充

  1. 世田谷区は、先駆的な自治体をめざして区民とともに努力します。
  2. 区の自治権拡充に積極的に取り組み、区民自治の確立をめざします。
  3. 区の財政自主権の確立と財源の拡充を図ります。

4-4 広域協力と自治体間交流

  1. 「身近な政府」としての主体性に基づき、都や国と対等な立場から課題解決に適した相互協力を行います。
  2. 近隣自治体と、相互の自主性や主体性に基づいた協力を通して、区民福祉の向上と「東京」の発展に寄与します。
  3. 国内外の自治体との交流を広げ、協力関係を確立して自治の振興と国際平和の増進に寄与します。

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